この記事の結論
この記事で分かること
- 初任者研修の修了評価(筆記試験)は受講者を落とすための試験ではありません。基準に達しない場合も補講・再試験で修了できるのが一般的です。
- 出題はテキストの内容から。選択式・穴埋め式が中心で、記述が数問加わる形式が多く見られます。
- 頻出は基本理念(ノーマライゼーション・尊厳・自立支援・QOL)/介護保険制度/認知症/感染対策/ボディメカニクス/バイタルサインの正常値。
- 対策は3〜5時間程度の復習で十分。通信課題を自分で解いていれば、それがそのまま試験対策になります。
- 本当に注意すべきは試験ではなく「規定時間の欠席」。欠席した回は振替受講をしないと修了できません。
「初任者研修の最後にテストがあると聞いて不安…」
「どんな問題が出るの?勉強しないと落ちる?」
「もし落ちたらどうなるの?」
介護職員初任者研修は、130時間のカリキュラムの最後に修了評価(筆記試験)が実施されます。「試験」と聞くと身構えてしまいますが、結論から言うとこの試験で修了できなくなることはほとんどありません。
理由は明確です。修了評価は受講者を選別するための試験ではなく、到達目標に達しているかを確認するためのものだからです。基準に達しない場合も、補講や再試験によって修了できる運用が一般的です。
とはいえ、まったく準備をしないのも不安でしょう。この記事では、介護分野の求人メディアを運営する編集部が、試験のしくみ、出題形式、分野別の練習問題30問、重要用語20、落ちる人の特徴、前日の過ごし方までまとめました。
結論|初任者研修の修了試験はほぼ全員が合格する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験の位置づけ | 到達度の確認(選別のための試験ではない) |
| 試験時間 | 1時間程度(厚生労働省の通知による目安) |
| 出題範囲 | 受講したテキストの内容 |
| 出題形式 | 選択式・穴埋め式が中心+記述が数問 |
| 合格ラインの目安 | 正答率70〜80%程度(スクールにより異なる) |
| 基準に達しない場合 | 補講・再試験で修了できるのが一般的 |
| 実質的な修了率 | ほぼ100%とされる |
※厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」および各スクールの受講案内をもとに編集部が整理しました。運用はスクールにより異なるため、詳細は受講先にご確認ください。
ここが一番大事:不安を感じるべきは試験ではなく、通学日に欠席してしまうことです。130時間の規定時間を満たさなければ、どれだけ試験ができても修了できません。詳しくは後半の章で解説します。
修了評価(筆記試験)のしくみ
なぜ試験があるのか
介護職員初任者研修は、厚生労働省が定めるカリキュラムに沿って実施される公的な研修です。修了時に到達目標に達していることを確認するため、筆記による評価が行われます。
重要なのは、この評価が「達していない人を落とす」ためではなく「達していない部分を補う」ために設計されている点です。基準に満たない受講者に対しては、補講などにより到達を確認する運用が想定されています。
実施のタイミング
多くのスクールでは、通学課程の最終日に実施されます。演習が一通り終わり、振り返りの科目のなかで行われるのが一般的です。
採点と結果の通知
採点結果は、その場で返却される場合もあれば、後日通知される場合もあります。修了証明書は、規定時間の受講と修了評価の両方を満たした後、おおむね数週間以内に交付されます。
出題形式と問題数の目安
| 形式 | 特徴 | 対策 |
|---|---|---|
| 選択式(○×・4択) | 最も多い形式。基本用語の理解を問う | 用語の定義を正確に覚える |
| 穴埋め式 | 用語や数値を書かせる | 漢字で書けるようにしておく |
| 語句説明 | 「ノーマライゼーションとは何か」など | 1〜2文で説明できるようにする |
| 短文記述 | 「介護における留意点を述べよ」など | 定義+自分の考えの2段構成で書く |
スクールによって形式・問題数は異なりますが、選択式・穴埋め式が中心で、記述が数問加わるというのが標準的な構成です。
【練習問題30問】分野別の頻出テーマ
実際の試験問題そのものではありませんが、頻出テーマを網羅した確認問題です。すべて答えられれば、試験対策としては十分です。
分野1:介護の基本理念(5問)
- ノーマライゼーションとは、どのような考え方か説明してください
- 「尊厳の保持」が介護保険法に明記されている意味を説明してください
- 自立支援における「自立」には、身体的自立のほかに何が含まれますか
- QOLとは何の略で、どのような概念ですか
- ICF(国際生活機能分類)の構成要素を挙げてください
分野2:介護保険制度(5問)
- 介護保険制度が施行されたのは何年ですか
- 介護保険の保険料を負担するのは何歳以上の人ですか
- 第1号被保険者と第2号被保険者の違いを説明してください
- 要介護認定の申請先はどこですか
- ケアプランを作成する専門職の名称は何ですか
分野3:認知症の理解(5問)
- 認知症の「中核症状」を3つ挙げてください
- BPSDとは何の略で、どのような症状を指しますか
- アルツハイマー型認知症と血管性認知症の違いを説明してください
- 認知症の方への対応で「否定しない」ことが重要な理由を説明してください
- 認知機能が低下しても最後まで保たれるものは何ですか
分野4:からだのしくみとバイタルサイン(5問)
- 成人の体温・脈拍・呼吸数・血圧のおおよその正常範囲を答えてください
- 誤嚥とはどのような状態ですか。誤嚥を防ぐ姿勢を説明してください
- 褥瘡(じょくそう)ができやすい部位を3つ挙げてください
- 脱水のサインとして観察すべき点を挙げてください
- 高齢者に多い骨折の部位を答えてください
分野5:生活支援技術(5問)
- ボディメカニクスの原則を3つ挙げてください
- 片麻痺のある方の着脱介助で、脱ぐとき・着るときの順序を説明してください
- 車いすへの移乗介助で、健側・患側のどちらに車いすを置きますか
- 入浴介助の前に確認すべきことを3つ挙げてください
- 口腔ケアを行う目的を2つ挙げてください
分野6:コミュニケーションと記録(5問)
- 傾聴とはどのような姿勢ですか
- 共感と同情の違いを説明してください
- バイステックの7原則を挙げてください
- 記録を書く際に、事実と主観を分けて書くべき理由を説明してください
- 車いすの方と話すとき、どのような姿勢をとるべきですか
使い方:答えを見ずに、まず自分の言葉で説明してみてください。説明できなかった項目だけをテキストで確認すれば、効率よく復習できます。全部を読み返す必要はありません。
絶対に押さえる重要用語20
| 用語 | 覚えるべき説明 |
|---|---|
| ノーマライゼーション | 障害の有無にかかわらず、誰もが地域で当たり前の生活を送れる社会を目指す考え方 |
| 尊厳の保持 | 利用者を一人の人間として敬い、価値観や意思を尊重する姿勢 |
| 自立支援 | 本人が持つ力を活かし、できない部分だけを支える考え方 |
| QOL | Quality of Life。生活の質 |
| ICF | 国際生活機能分類。心身機能・活動・参加と環境因子・個人因子から生活機能を捉える枠組み |
| エンパワメント | 本人が本来持つ力を引き出し、自ら選択・決定できるよう支えること |
| アドボカシー | 権利擁護。意思を表明しにくい人に代わり権利と意思を守ること |
| バイステックの7原則 | 個別化/意図的な感情表出/統制された情緒的関与/受容/非審判的態度/自己決定/秘密保持 |
| 中核症状 | 記憶障害・見当識障害・判断力低下など、脳の障害から直接起こる症状 |
| BPSD | 認知症の行動・心理症状。環境や関わり方の影響を受けて現れる |
| ボディメカニクス | 身体の力学的な原理を活用し、少ない力で安全に介助する技術 |
| 褥瘡 | 床ずれ。持続的な圧迫により皮膚や組織が壊死する状態 |
| 誤嚥 | 食べ物や唾液が気管に入ること。誤嚥性肺炎の原因になる |
| 標準予防策 | スタンダードプリコーション。すべての血液・体液を感染性があるものとして扱う考え方 |
| チームケア | 多職種がそれぞれの専門性を活かし、情報を共有して一人の利用者を支える体制 |
| 介護保険制度 | 2000年施行。40歳以上が保険料を負担し、社会全体で介護を支える公的保険制度 |
| 要介護認定 | 市町村に申請し、認定調査と主治医意見書をもとに介護の必要度を判定する仕組み |
| ケアマネジャー | 介護支援専門員。ケアプランを作成し、サービス事業者との調整を行う |
| ADL/IADL | ADLは日常生活動作(食事・排泄・入浴など)、IADLは手段的日常生活動作(買い物・調理・金銭管理など) |
| リスクマネジメント | 事故を未然に防ぐための取り組み。ヒヤリハットの共有が中心 |
スクール別の試験の傾向
試験の形式・問題数・持ち込みの可否はスクールにより異なります。共通のカリキュラムに基づく評価であるため出題範囲は同じですが、運用には差があります。
| 確認すべき項目 | なぜ重要か |
|---|---|
| テキストの持ち込み可否 | 可なら付箋を貼る準備、不可なら暗記の必要がある |
| 問題数と試験時間 | 1問あたりに使える時間の見当がつく |
| 記述問題の有無・字数 | 記述があるなら書き方の型を準備しておく |
| 合格ラインの目安 | どこまで仕上げれば安心かの目安になる |
| 基準に達しなかった場合の対応 | 再試験の有無・費用・日程を事前に把握できる |
これらは受講前または受講中に教室のスタッフへ聞けば教えてもらえます。不安があるなら、最終日を待たずに早めに確認してください。
落ちる人に共通する5つの特徴
ほとんどの方が修了できる試験ですが、基準に達しない方には共通点があります。
- テキストを一度も開いていない——通信課題を人任せにし、講義も聞き流していると、さすがに厳しくなります
- 用語の意味を取り違えている——「自立支援」を「何でも自分でやらせること」と誤解しているケースが典型です
- 数値を覚えていない——バイタルサインの正常値、介護保険の施行年、被保険者の年齢区分は頻出です
- 記述問題で設問に答えていない——「留意点を述べよ」に対して定義だけを書くと点になりません
- 体調不良で当日の集中力が続かない——夜勤明けでそのまま受験するのは避けたいところです
前日〜当日の過ごし方
前日にやること(所要1〜2時間)
- 重要用語20を上から読み、説明できないものだけテキストで確認する
- バイタルサインの正常値と介護保険制度の数値を確認する
- 持ち込み可の場合、テキストの主要ページに付箋を貼る
- 持ち物(筆記用具・受講票・テキスト)を準備する
- 早く寝る——直前の詰め込みより睡眠のほうが効果があります
当日の進め方
- まず全問に目を通す——分かる問題から解くと時間を有効に使えます
- 選択式・穴埋め式を先に片づける——配点効率が高い問題を確実に取ります
- 記述は最後に、設問の言葉を使って書く——「留意点を述べよ」なら答案に「留意点は」と書き出します
- 空欄を残さない——分からなくても、関連しそうな用語を書けば部分点の可能性があります
- 見直しの時間を5分残す——漢字の誤りや記入漏れを確認します
万が一、基準に達しなかったときの流れ
基準に達しなかった場合でも、その時点で不合格が確定するわけではありません。一般的には次のような流れになります。
- スクールから結果と今後の案内が伝えられる
- 補講または再試験の日程が案内される
- 補講・再試験を受けて到達を確認する
- 修了証明書が交付される
再試験の費用や回数はスクールにより異なるため、申込前に「基準に達しなかった場合の対応と費用」を確認しておくと安心です。
本当に注意すべきは試験ではなく「欠席」
ここが本記事で最もお伝えしたい点です。
初任者研修で修了できない最大の原因は、試験ではなく「規定時間の未受講」です。130時間のカリキュラムのうち通学部分は原則として全出席が必要で、欠席した回は振替受講をしなければ修了できません。
| 欠席の理由 | 起こりやすさ | 対策 |
|---|---|---|
| 仕事のシフトが変わった | 高い | 申込前に職場へ通学日を伝えておく |
| 子どもの体調不良 | 高い | 預け先を複数確保しておく |
| 自分の体調不良 | 中 | 通学期間中は無理をしない |
| 交通機関の乱れ | 中 | 通学時間の短い教室を選ぶ |
| 日程を忘れていた | 低い | スマホのカレンダーに全日程を登録 |
申込前に必ず確認したい3つのこと
- 振替受講は可能か(可否・回数・費用)
- 近隣の別教室でも振替できるか
- 通学日に、休みそうな予定が入っていないか
教室数が多いスクールが有利な理由:振替先の選択肢が増えるためです。受講料の数千円の差より、振替できるかどうかのほうが「修了できるか」への影響は大きいと考えてください。
修了後の流れと履歴書の書き方
修了までのスケジュール
- 通信課題(レポート)の提出
- 通学(スクーリング)——講義と演習
- 修了評価(筆記試験)——1時間程度
- 修了証明書の交付——おおむね数週間以内
履歴書への正しい書き方
- 正式名称で書く:「介護職員初任者研修課程 修了」。「ヘルパー2級」「初任者研修」などの略称は避けます
- 修了年月を書く:修了証明書に記載された年月を確認して記入します
- 「取得」ではなく「修了」:資格試験ではなく研修課程のため、「修了」が正しい表記です
記載例:令和◯年◯月 介護職員初任者研修課程 修了
修了後は「1日単発」で現場を試すという方法
資格を取ってすぐフルタイムの常勤で働き始めるのは、不安が大きいものです。近年は、資格を活かして1日単位で働ける単発の求人が増えており、複数の職場を実際に見てから就職先を決める方法が現実的になっています。
初任者研修の修了試験に関するよくある質問
筆記テストはどんな問題が出ますか?
テキストの内容から出題される選択式・穴埋め式が中心で、記述問題が数問加わる形式が一般的です。頻出は、ノーマライゼーション・尊厳の保持・自立支援・QOLといった基本理念、介護保険制度、認知症の中核症状とBPSD、感染対策、ボディメカニクス、バイタルサインの正常値です。
試験に落ちることはありますか?
ほとんどありません。修了評価は受講者を選別するための試験ではなく、到達目標に達しているかを確認するためのものです。基準に達しない場合も補講や再試験で修了できる運用が一般的で、実質的な修了率はほぼ100%とされています。
合格ラインは何点ですか?
スクールにより異なりますが、正答率70〜80%程度を目安としているところが多く見られます。基準に達しなかった場合も即不合格ではなく、再試験や補講で到達を確認する運用が一般的です。正確な基準は受講先にご確認ください。
テキストの持ち込みはできますか?
スクールによります。持ち込み可であっても、どのページに何が書かれているかを把握していないと時間内に解き終わりません。事前にテキストへ付箋を貼っておくと安心です。
試験時間はどのくらいですか?
厚生労働省の通知では、修了評価は1時間程度を目安とする旨が示されています。実際の試験時間・問題数はスクールにより異なるため、受講先で確認してください。
どのくらい勉強すればいいですか?
テキストを通読し、各科目の重要用語を説明できる状態にしておけば十分です。目安として3〜5時間程度の復習で対応できます。通信課題(レポート)を自分で解いていれば、その内容がそのまま試験対策になります。
再試験は有料ですか?
スクールにより異なります。無料で再試験を実施するところもあれば、補講費用がかかる場合もあります。申込前に「基準に達しなかった場合の対応と費用」を確認しておくと安心です。
試験より欠席のほうが問題だと聞きました
そのとおりです。初任者研修で修了できない最大の原因は試験ではなく、規定時間の未受講です。通学部分は原則として全出席が必要で、欠席した回は振替受講をしないと修了できません。振替の可否・回数・費用は申込前に必ず確認してください。
まとめ|試験は怖くない。怖いのは欠席
- 修了評価は受講者を落とすための試験ではありません。基準に達しない場合も補講・再試験で修了できるのが一般的です
- 出題はテキストの内容から。選択式・穴埋め式が中心で、記述が数問加わる形式が多く見られます
- 頻出は基本理念/介護保険制度/認知症/感染対策/ボディメカニクス/バイタルサインの正常値
- 対策は3〜5時間程度の復習で十分。重要用語を説明できるかを確認してください
- 本当に注意すべきは「規定時間の欠席」。振替の可否を申込前に確認してください
試験のために身構える必要はありません。それより、通学日をすべてカレンダーに入れ、休まず通い切ることのほうが確実に重要です。修了後は、まず1日単発のお仕事から現場を確かめる進め方もおすすめです。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
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