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介護施設長の平均年収は573万円!施設形態別に年収を徹底比較

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施設長になると給料はいくらなの?

あなたは今こんなことを考えていませんか?

結論から言うと、介護施設長の年収は573.4万円です。介護職員の平均年収が361.2万円なので、施設長は介護職員より年収が212.2万円も高いことが分かります。

この記事では、施設長の給料を大解剖していきます。具体的には次の項目から施設長の給料事情を解説しました。

最後には現役で施設長の仕事に就かれている方に向けて、施設長として給料を上げるための4つの方法も解説しました。ぜひ参考にしてください。

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介護施設の施設長の年収は574万円

最新の介護施設に関する情報がまとめられている、公益財団法人介護労働安定センターの平成30年度「介護労働実態調査」の結果によると、介護施設の施設長の年収は全国平均で約573.4万円です。

まずは年収の内訳を解説します。同資料では、事業所管理者(施設長)のうち月給の者の月額平均賃金は35.9万円/月。また賞与の平均は、71.1万円です。

これらを合算すると、次のようになります。

給与内訳金額支給回数合計
給与35.9万円12(ヶ月)431.2万円
賞与77.1万円2(夏・冬)142.2万円
合計573.4万円

つまり施設長の平均年収は約574万円であることが分かります。

ただこの数字は、あくまで平均の金額です。実際の施設ではどうでしょうか?具体例として、私が所属している社会福祉法人に勤務する、4年制大学を卒業した55歳管理者の場合を見てみましょう。

実際の給与規定を元に、単純計算で算出すると次のようになります。

給与内訳金額支給回数合計額
基本給35.0万円12(ヶ月)419.5万円
職務手当6.5万円12(ヶ月)78.0万円
賞与78.7万円2(夏・冬)157.3万円
合計654.8万円

筆者自身も驚いていますが、在籍する法人では、施設長の給料は全国平均以上の654.8万円でした。


ここまでをまとめると、施設長の平均年収は573.4万円でした。ただ654.8万円の事例もあるように、各施設ごとに年収に大きな違いはあります。

施設長・管理者の年収を徹底解剖

次に今回の記事の根拠となっている平成30年度「介護労働実態調査」のデータを読み解き、施設長・管理者の年収について徹底解剖していきます。

介護職員と比較した施設長の年収

「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員全体での月収はボーナス込みで30.1万円となので、年収に換算すると約361.2万円です。

一方、施設長の平均年収は約573.4万円でした。つまり介護職員と施設長の年収には、212.2万円の差があります。

今度は、私の施設の介護職員と施設長の給料の比較を見てみます。

筆者が勤務する法人の介護職員の年収(55歳・4年制大学卒業)

給与内訳金額支給回数合計額
基本給24.7万円12(ヶ月)296.6 万円
職務手当0円12(ヶ月)0円
賞与55.6万円2(夏・冬)111.2万円
合計407.8万円

この条件では、介護職員の年収は約408万円でした。

筆者が勤務する法人の施設長の年収(55歳・4年制大学卒業)

給与内訳金額支給回数合計額
基本給35.0万円12(ヶ月)419.5万円
職務手当6.5万円12(ヶ月)78.0万円
賞与78.7万円2(夏・冬)157.3万円
合計654.8万円

対する施設長の年収は、約655万円でした。

上記の例では、私が勤務する社会福祉法人の場合、介護職員と施設長では年収で約247万円の差があることが分かります。あくまで単純計算ですが、2者の年収には約1.6倍の差が生じていることになります。

このように、介護職員と施設長では年収に相当の差が出ます。施設長は、確かに多数の利用者や職員の責任を預かる重要職なので、「重責を負いたくない…」と考える人も多いです。しかし施設長になると大幅な年収アップに繋がるのは、実際のデータ、筆者の施設の給料事情から明らかです。

【施設体形別】施設長の年収を比較

続いては、施設体系別に、施設長の年収を比較していきます。

平成30年度「介護労働実態調査」の171、175ページを読み解くと、最も年収が高いサービス種別は介護老人福祉施設(特養)、続いて地域密着型介護老人福祉施設(通称ミニ特養)でした。

※厳密には、施設長の中で最も年収が高い施設体系は、介護老人保健施設(老健)で、続いて通所リハビリテーション(デイケア)となっています。しかし老健やデイケアの施設長は、医師である必要があるため、今回は比較対象から省いています。

特養の施設長の平均年収が高い理由は、入所可能要件が関係しています。要介護認定には程度が軽い方から要支援1・2、要介護1~5の全部で7段階あります。要介護度が高ければ高いほど、基本的に給料の財源となる“介護報酬”も高くなります。

特養やミニ特養は、基本的に要介護3以上でないと入居できないことや利用者数も多い傾向にあることから、総じて給料の原資である介護報酬が多くなり、給料も高くなるのです。

一方、在宅系サービスで有名な訪問介護(ホームヘルパー)や通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)の年収は、特養やミニ特養と比較して低いです。

具体例で比較してみましょう。

施設種別の施設長平均年収表(一部施設抜粋)

施設種別月給月給12ヶ月分賞与賞与(夏・冬)年収
特別養護老人ホーム46.9万円562.6万円123.1万円246.2万円808.7万円
地域密着型特別養護老人ホーム41.5万円498.5万円100.4万円200.8万円699.3万円
訪問介護29.7万円356.7万円57.1万円114.3万円471.0万円
通所介護30.6万円366.7万円69.4万円138.7万円505.5万円
短期入所31.7万円380.9万円64.4万円128.8万円509.7万円

このように同じ施設長の給料でも、訪問介護・通所介護・短期入所といった在宅系の介護施設より、特別養護老人ホーム・地域密着型特別養護老人ホームといった施設系のサービスの方が年収が高いことが分かりました。

年収にこだわって施設長を目指す場合は、施設系サービスでのキャリアアップを強くお勧めします。

【年齢別】施設長の年収を比較

続いては、年齢別に比較してどのような違いがあるのかを解説します。

平成30年度「介護労働実態調査」の172、176ページを参照した結果、同じ施設長でも年齢が上がるにつれて年収が増えることが分かりました。

介護施設は他の大手企業と同様に、勤続年数に応じた定期昇給の仕組みを取っている施設がほとんどです。年代別の施設長平均給料をまとめると、次のようになります。

年代別の施設長平均年収(一部抜粋)

年代月給月給12ヶ月分賞与賞与(夏・冬)年収
20~25歳25.5万円306.2万円32.0万円64.0万円370.2万円
30~35歳28.2万円337.9万円51.0万円101.9万円439.8万円
40~45歳32.7万円392.0万円70.2万円140.4万円532.4万円
50~55歳35.3万円424.1万円76.7万円153.3万円577.4万円
60~65歳37.2万円446.3万円72.4万円144.9万円591.2万円

このように年齢が上がれば上がるほど、施設長の年収も上がる傾向があります。

色々な施設を転々としても、キャリアアップには結びつかないこともあります。逆に一つの施設に腰を据えると年収アップに繋がることもあります。

【番外編】施設長になるには

かなりの年収アップを目指せる施設長ですが、それは施設に1人、まさに狭き門です。実際に施設長になるには、次の3つが求められます。

施設長になるために必要なこと
  1. 法律で定められた研修を修了する
  2. 日々の業務をこなして実績を積み、上司や同僚から信頼を勝ち取る
  3. 介護現場の知識や経験だけでなく、経営的視点を身につける

それぞれを解説します。

1:法律で定められた研修を修了する

全てのサービス種別に当てはまるわけではありませんが、例えば特別養護老人ホームや認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などでは、施設長になるために所定の研修を修了する必要があります。

2:日々の業務をこなして実績を積み、上司や同僚から信頼を勝ち取る

1で説明した研修を受けるには、介護福祉士や介護支援専門員といった資格要件があったり、受講者の倍率が高く、費用もかかります。

そのため資格を取得しながら勤務実績を積み上げ、その研修を受けるに値する職員として経営者から認められる必要があります。

3:介護現場の知識や経験だけでなく、経営的視点を身につける

施設長の業務は、現場の第一線で働くことではありません。

  • 経営の管理
  • 事業運営の管理
  • 利用者(顧客)の管理
  • 職員の管理

が主となります。

これらの業務には、次のような経営者としての業務や能力が必要になります。

  • 事業収支の把握
  • 事業運営に必要な手続き
  • 行政からの指導に対する対応や連絡調整
  • 利用者との契約や空床を出さない工夫
  • 職員の健康管理や人材育成、人心掌握

このように単純に”介護技術がある”・”知識が豊富”といった、現場の技能だけで施設長になることは難しいのです。

一般職員→主任格→課長格→部長格とキャリアップしていく中で、そのステージに応じた幅広い成長が求められています。

施設長として給料を上げるための3つの方法

人材不足が叫ばれている介護業界。中小事業所では例え20代でも施設長として勤務する事例もあります。逆に「定年間近になって年功序列で施設長に…」という事例は少ないです。

ここでは、実際に施設長になった後にできる給料アップの3つの方法をご紹介します。

方法1:勤続年数を重ねる

一般的に各事業所で定められている給与規定では、〇級〇号といった等級で給与表が作成されています。〇級では職員のランク、〇号は勤続年数による評価です。

同じ勤続年数でも、職員のランクである級が上がれば年収がアップします。自身の等級と給与規定を見比べて、どうすれば職員ランクを上げられるのかを考えて行動しましょう。

また定期昇給も大切なポイントです。長年勤め上げることにより、少しずつですが確実に年収はアップします。賞与は基本給に応じて倍率がかかるため、月収だけでなく賞与の額も増額になります。

例えば基本給が3,000円ベースアップすると、私が所属している法人では年収で49,500円の増額となります。これだけ毎年年収が上がると、10年間では495,000円のアップになるので大きいですね。

方法2:介護職員を兼務する

現在、現場で直接介護業務を担う職員に対して、待遇改善のために算定される処遇改善加算・特定処遇改善加算(以下、処遇改善加算等)という制度があります。

通常、管理者は直接介護に関わる業務ではないため、この加算による昇給を受けることはできません。しかし“施設長兼介護職員”といって、介護現場で直接介護に携わりながら管理者業務を行う場合は、処遇改善加算等による給料アップが期待できます。

職種は違いますが、私が特別養護老人ホームで施設ケアマネとして勤務していた際に、“介護支援専門員兼介護職員”という肩書きで働いていたため、通常であればもらえない加算による給料がアップしました。金額で言うと、月15,000円程度の支給でした。

職名はただの施設長だとしても、実際に身体介護等の業務を行っていれば、加算の対象になる場合もあるので、法人に確認してみるとよいでしょう。

方法3:転職をしてみる

施設長としての経験は、転職でも非常に有利です。「いくら今の法人で頑張っても、これ以上の年収アップは難しい…」と感じたら、転職に挑戦してみることもよいでしょう。

現在の施設での施設長年収を確認し、よりよい条件を求めていくことは年収アップの重要なポイントです。

施設長候補・副施設長・施設長補佐といった肩書の求人でも、施設長に準ずる待遇を期待することができ、転職先でも次期施設長として想定していることが多いため、転職後のスムーズなキャリアアップや年収アップが期待できます。

先程も解説したように、最も平均年収が高いのは、特別養護老人ホームの管理者です。年収アップを目指して転職先を探す場合は、特別養護老人ホームを検討するのがお勧めです。

試しにレバウェル求人で検索してみると、仙台市では

  • グループホーム管理者:月収31.2万円~
  • デイサービスの管理者:月収25.5万円~
  • ホームヘルパーの管理者:月収20.1万円~

の求人がヒットしました。一方、特別養護老人ホームの管理者の求人はありませんでした。

特別養護老人ホームでは、長年勤務している職員が管理者になることも多く、職員数も多いため、そもそも求人募集が出ること自体がレアです。もし見つけたら、真っ先に応募することをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

全介護施設の施設長の平均年収は約574万円でした。ただし私が在籍する事業所では、約655万円であるように法人ごとに大きく差があります。

介護職員の給料を比較すると、施設長の方が平均180万円も高いです。また施設長の年収を施設体系別に見ると、特別養護老人ホームが最も高いです。

つまり特別養護老人ホームに就職して施設長を目指すことが、一番の年収アップにつながります。転職する方は、選択肢として検討すると良いでしょう。

管理職として給料を上げるためには

  • 勤続年数を重ねること
  • 介護職員を兼務すること
  • それでもダメなら転職を検討すること

がポイントです。

施設長は、一朝一夕でなれるものではありません。まずは一つずつ、着実に目の前の仕事をこなしていくことが大切です。