「毎日こんなに大変なのに、どうして介護の給料はこんなに安いの?」。利用者さんの命を預かり、体力も気力も使う仕事なのに、手取りを見てため息をつく。その気持ちはもっともです。この記事では、介護職の給料が安いと言われる理由を、公的データと制度の仕組みから解き明かします。ただ「安い」と嘆いて終わりにはしません。なぜ安いのか(構造)を理解したうえで、その構造の中でも収入を上げる具体策まで、順番に見ていきます。

先に結論。介護職の給料が上がりにくい最大の理由は、あなたの頑張りが足りないからではなく、給与の原資が「介護報酬」という国が決めた公定価格に縛られているという構造にあります。だからこそ、個人でできる対策は「構造を理解して、その中で有利なポジションを取る」こと。精神論ではなく、仕組みで考えましょう。

データで見る:介護職の給料は本当に安いのか

まず、感情ではなく数字で現状を確認します。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、介護職員の「きまって支給する現金給与額」は月27.1万円。全職種平均の35.96万円と比べると、月8.8万円ほど低いのが実情です。

職種月給の目安介護職との差
全職種平均約35.96万円+8.8万円
看護師約36万円台約9万円高い
介護職員約27.1万円基準
調理・接客・販売など介護職と同程度ほぼ同水準

ここで大事な事実が2つ。①看護師や薬剤師など、資格・教育年数の長い医療職との差は大きい。②一方で、調理・接客・販売など、他のサービス業とは同程度。つまり介護職は「全職種の中では低め」だが「飛び抜けて低い」わけではない、というのが正確な現在地です。なお、介護福祉士の資格を持つと平均年収は約420万円まで上がる傾向があります(処遇状況等調査)。

出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」/「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」

介護職の給料が安い5つの理由

①給与の原資が「介護報酬」に縛られている

これが最大の構造要因です。介護サービスの料金(介護報酬)は国が決める公定価格で、事業所が自由に値上げできません。利用者さんの自己負担は1〜3割で、収入の大半は国費。つまり事業所がどれだけ頑張っても、売上の上限が制度で決まっているため、人件費に回せる額にも限界があるのです。

②「誰にでもできる仕事」という誤解

介護は本来、専門的な知識と技術が必要な仕事です。しかし無資格・未経験からでも始められるため、「専門性が低い」と誤解されがち。この社会的認知の低さが、賃金水準の低さにつながっています。

③無資格から働けて、需要も多い

手に職をつけたい主婦(主夫)やブランクのある人にも門戸が広く、「給料が高くなくても働きたい人」が一定数いるため、施設側が無理に賃上げしなくても人が集まる面があります。

④非正規職員の割合が高い

パート・アルバイトなど非正規の割合が高く、処遇改善が行われても正社員ほど恩恵を受けにくい構造があります。

⑤基本給が低く、手当依存になりやすい

給与が夜勤手当や処遇改善手当に依存しがちで、基本給そのものは低め。基本給は賞与や退職金の計算基準になることが多いため、基本給の低さは生涯賃金にも響きます

処遇改善加算で、状況は変わってきている

暗い話ばかりではありません。国も手をこまねいているわけではなく、介護職員の賃金改善を目的とした「処遇改善加算」を導入・拡充してきました。2024年度の介護報酬改定では報酬が全体で+1.59%引き上げられ、複数あった処遇改善の加算が一本化されて、より賃上げにつながりやすい仕組みに整理されています。

ただし注意点として、この加算がどう配分されるかは事業所しだい。同じ加算を受けていても、職員にしっかり還元する事業所とそうでない事業所があるのが現実です。だからこそ、次章の「自分でできること」と、その次の「職場選び」が効いてきます。

今の職場で収入を上げる4つの方法

  • ①資格を取って手当をつける:初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士 → ケアマネジャーと資格を重ねるごとに資格手当がつきます。介護福祉士になると年収が大きく変わる傾向。資格の入り口は 初任者研修とは をどうぞ
  • ②夜勤の回数を増やす:夜勤手当は1回あたりの単価が大きいため、収入アップに直結します(体力との相談は必要)
  • ③役職を目指す:リーダー・サービス提供責任者・管理者などの役職につくと役職手当がつきます
  • ④処遇改善加算の配分を確認する:自分の職場が加算をどう分配しているか、上司に確認・相談してみる価値があります

職場を変えて収入を上げるという選択

ここまでやっても給料が上がらないなら、職場を変えるのも有力な選択肢です。同じ介護職でも、施設形態や運営法人によって給与水準は大きく違います。

ねらい向かう先
夜勤手当で稼ぎたい特養・老健など夜勤のある入所施設
基本給の高い職場へ大手法人・社会福祉法人など、給与体系のしっかりした事業所
処遇改善をきちんと還元する職場へ加算の分配が明確な事業所(面接で確認)

転職で年収を上げる人は珍しくありません。ただし「今より下がる」リスクもあるので、基本給・手当・賞与を含めた額面全体で比較することが大切です。

「安いだけじゃない」介護職の価値

給料の話をしてきましたが、介護職を続ける人が口をそろえるのは「お金では測れない価値がある」ということ。

  • 「ありがとう」が直接返ってくる:人の暮らしを支え、感謝が言葉で返る仕事
  • 努力が資格・キャリアで可視化される:頑張りが資格と手当という形で報われる
  • 需要が安定している:高齢化で仕事がなくなる心配が小さい
  • 働き方を選べる:パート・短時間・夜勤専従など、生活に合わせやすい

辞める前に、他の職場を試す方法

「今の職場は給料が上がらない。でも、転職先がもっと良いとも限らない」。給与や処遇改善の還元は、入ってみないと分からない部分が大きいのが悩みどころです。

そこで役立つのが、スキマかんごの「単発1日」のお仕事です。今の職場に在籍したまま、休みの日に別の施設で1日働いてみる。夜勤のある施設の雰囲気、他法人の職場の空気を、自分の目でたしかめられます。「転職するかどうか」を決める前に、他の現場を体験して比べれば、給与だけでなく働きやすさも含めて納得のいく判断ができます。はたらいた分のお給料は即日払い。しつこい勧誘もありません。→ 単発バイトについてくわしく

よくある質問

Q. 介護職の給料は今後上がりますか?

国は処遇改善を進めており、2024年度改定でも報酬が引き上げられました。今後もベースアップ加算の継続や最低賃金の上昇が見込まれますが、事業所による還元の差は残るため、職場選びは依然として重要です。

Q. いちばん確実に給料を上げる方法は?

資格取得(特に介護福祉士)がもっとも確実です。資格手当がつき、役職への道も開け、転職時の交渉材料にもなります。

Q. 処遇改善加算は、私の給料に反映されていますか?

給与明細の手当欄を確認するか、事業所に配分方法を尋ねてみましょう。加算を受けていても職員への還元が不十分な事業所もあるため、確認する価値があります。

Q. デイサービスは給料が低いと聞きますが本当ですか?

夜勤手当がないぶん、夜勤のある入所施設より低く見える傾向はあります。ただし日勤のみで生活リズムが整うメリットもあるため、収入と働きやすさのバランスで考えましょう。

まとめ

  • 介護職の給料は全職種平均より月8.8万円ほど低いが、他のサービス業とは同水準。飛び抜けて低いわけではない
  • 安い最大の理由は介護報酬という公定価格の構造。個人の頑張りの問題ではない
  • 処遇改善加算で状況は改善傾向。ただし事業所による還元の差が残る
  • 収入を上げるなら資格取得・夜勤・役職・加算の確認。それでも上がらなければ職場を変える
  • 転職前に単発で他の現場を体験して比べると、給与も働きやすさも納得して選べる

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