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介護福祉士試験の各科目の試験内容ってどんな感じ?
あなたは今こんなことを考えていませんか?
結論から言うと、介護福祉士国家試験は筆記試験と実技試験から構成されています。筆記試験の内容は次の通りです。
領域 | 科目 | 問題数 |
---|---|---|
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 人間関係とコミュニケーション 社会の理解 | 2問 2問 12問 |
介護 | 介護の基本 コミュニケーション技術 生活支援技術 介護過程 | 10問 8問 26問 8問 |
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解 認知症の理解 障害の理解 こころとからだのしくみ | 8問 10問 10問 12問 |
医療的ケア | 医療的ケア | 5問 |
総合問題 | 12問 | |
合計 | 125問 |
この記事ではそれぞれの科目を深ぼり、各科目の特徴から過去の具体的な問題まで解説しました。
この記事を読めば、介護福祉士の試験内容から各科目の対策まで理解できます。ぜひ最後までご覧ください。
介護福祉士の試験内容について徹底解説
介護福祉士国家試験は筆記試験と実技試験から構成されています。
現在介護福祉士国家試験では、受験者の大多数は実技試験を免除され、筆記試験のみ受験しています。
ルート | 対象者 |
---|---|
福祉系高校ルート | ・2008年以前入学者で旧カリキュラムでの卒業者 ・特例高校等の2009年以降入学者で介護技術講習を修了していない人 |
経済連携協定(EPA)ルート | 介護技術講習または実務者研修を受講しなかった人 |
次に筆記試験の出題内容を解説します。
筆記試験
筆記試験の出題内容の構成は次の通りです。
領域 | 科目 | 問題数 |
---|---|---|
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 人間関係とコミュニケーション 社会の理解 | 2問 2問 12問 |
介護 | 介護の基本 コミュニケーション技術 生活支援技術 介護過程 | 10問 8問 26問 8問 |
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解 認知症の理解 障害の理解 こころとからだのしくみ | 8問 10問 10問 12問 |
医療的ケア | 医療的ケア | 5問 |
総合問題 | 12問 | |
合計 | 125問 |
各科目について、過去の問題・傾向・解答のポイントを含めて解説します。
人間の尊厳と自立(2問)
最初の科目は”人間の尊厳と自立”です。ここで問題例を紹介します。
『夜と霧』や『死と愛』の著作があるフランクル(Frankl, V.)が提唱した価値の説明として,適切なものを1つ選びなさい。
- 公民権運動により差別を解消すること。
- 生命が制限される状況において、いかなる態度をとるかということ。
- 最低生活水準を保障すること。
- ライフサイクル(life cycle)を通じたノーマルな発達的経験をすること。
- アパルトヘイト(人種隔離政策)を撤廃すること。
正解)2
第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)より
この科目は、毎年非常に難易度が高いです。
なぜなら福祉の歴史や福祉に貢献した人名など、現場の経験や知識が全く活きない問題が多いからです。最初の問題で躓き、ペースを乱してしまう受験者も少なくありません。
主な出題内容は、ノーマライゼーション・インフォームドコンセント・アドボカシー(代弁)など、利用者の尊厳を守る視点が問われる出題です。事例で出題されることも多い科目です。
”人間の尊厳と自立”の攻略ポイントは、難問が出ても焦らないことです。福祉の歴史・人物などは暗記なので、参考書やテキストブックを通じて、繰り返しインプットしましょう。
人間関係とコミュニケーション(2問)
2つ目の科目は、”人間関係とコミュニケーション”です。この科目の問題例を紹介します。
聴覚障害のある利用者と介護福祉職との間での筆談に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 中途失聴者が用いることは少ない。
- 空中に字を書くことは控える。
- 多人数での双方向のコミュニケーションに用いる。
- 図や絵よりも文字を多用する。
- キーワードを活用して内容を伝達する。
正解)5
第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)より
この科目では利用者などとの多様なコミュニケーションについて出題されます。例えば、聴覚や言語に障害のある方とのコミュニケーションの取り方や、コミュニケーションを通して相手の想いを引き出すための基本的な姿勢や必要な配慮についてです。
具体的なシーンや対象者を想像しながら問題を解くことができれば、回答しやすい問題です。”人間関係とコミュニケーション”の攻略ポイントは、利用者とのコミュニケーション場面をイメージすることです。
社会の理解(12問)
3つ目の科目は、”社会の理解”です。この科目の問題例を紹介します。
地域包括ケアシステムでの自助・互助・共助・公助に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 自助は、公的扶助を利用して、自ら生活を維持することをいう。
- 互助は、社会保険のように制度化された相互扶助をいう。
- 共助は、社会保障制度に含まれない。
- 共助は、近隣住民同士の支え合いをいう。
- 公助は、自助・互助・共助では対応できない生活困窮等に対応する。
正解)5
第32回介護福祉士国家試験(令和元年度)より
この科目では、主に介護・福祉に関する社会制度から出題されます。法令・介護保険のサービス種別など、現場で習得できない知識が多いため、難問も多い科目です。
特に介護保険制度や障害者総合支援法などに大きな法改正があったときは、その内容が出題されることが多いため、過去問だけではなく、制度に関する情報も常にインプットする必要があります。
”社会と福祉”の攻略ポイントは、法令・制度について幅広く学習し、制度情報を常に最新のものを頭に入れておくことです。
介護の基本(10問)
4つ目の科目は介護の基本です。この科目の問題例を紹介します。
訪問介護事業所のサービス提供責任者の役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 利用者の生活課題に沿って、居宅サービス計画書を作成する。
- 具体的な援助目標及び援助内容を記載した訪問介護計画書を作成する。
- 利用者の要望に応じて、他の事業所との利用調整を行う。
- 判断能力が十分でない人に対して、日常的な金銭管理を行う。
- 居宅サービス事業者を招集して、サービス担当者会議を開催する。
正解)2
第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)より
”介護の基本”では、介護福祉士の倫理や自立支援を支える介護、多職種連携やリスクマネジメントなど、介護職としての姿勢や役割が問われます。ICF(国際生活機能分類)に基づく考え方は毎年出題されています。
”介護の基本”では、介護職員としてあるべき姿勢を問う出題が多いです。実際の介護現場では「そんなことをしていたら業務が終わらない」「いちいちそんな丁寧な接遇ができるわけがない」と思うような選択肢も出てきます。
そんな現実離れした選択肢が、介護福祉士国家試験では正解になることも多いです。現場の介護福祉士の動きではなく、理想の介護福祉士像が正解になることが多いので注意しましょう。
”介護の基本”の攻略ポイントは、介護福祉士の置かれている現実ではなく、介護福祉士の理想像をイメージすることです。
コミュニケーション技術(8問)
5つ目の科目は、”コミュニケーション技術”です。この科目の問題例を紹介します。
意欲が低下した人とのコミュニケーションの基本として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
- 考え方を変えるように促す。
- 早く元気を出すように励ます。
- 意欲が自然に回復するまで待つ。
- 意欲低下の背景を考える。
- 自己決定してもらうのは避ける。
正解)4
第32回介護福祉士国家試験(令和元年度)より
”コミュニケーション技術”で出題されるのは、”人間関係とコミュニケーション”より具体的でテクニカルな質問です。
傾聴や受容的な姿勢、さらに視覚障害や聴覚障害の相手とのコミュニケーションも出題されます。対利用者だけではなく、職場内でのコミュニケーションの技術として、記録・報告・情報共有なども出題されます。
質問されている利用者像や状況をイメージできれば、比較的回答には困らない科目です。”コミュニケーション技術”の攻略ポイントは、対象となる利用者のイメージを膨らませることです。
生活支援技術(26問)
6つ目の科目は、”生活支援技術”です。この科目の問題例を紹介します。
肉入りのカレーを常温で保存し、翌日、加熱調理したときの食中毒の原因菌として、最も注意しなければならないものを1つ選びなさい。
- ウエルシュ菌
- カンピロバクター
- サルモネラ菌
- 腸炎ビブリオ
- 黄色ブドウ球菌
正解)1
第32回介護福祉士国家試験(令和元年度)より
毎年厄介な問題が多いのが、この生活支援技術の科目です。26問と問題数が多いのですが、範囲も非常に広く、介護技術以外にも家事の技術についても毎年出題されています。
衛生管理・掃除・ごみ捨てなど、家事に関する問題は出題範囲が広く、全てを網羅することは難しいでしょう。家事に関する問題は難問が多いので、あまり深く勉強せずに流すのも戦略の1つです。
この科目には毎年難問が必ずあると思い、わからない問題が出ても次の問題に向けてすぐに切り替えることが重要です。
”生活支援技術”の攻略ポイントは、家事の問題は捨てるつもりでOKくらいの気持ちを持ち、わかる問題を解いていくことです。
介護過程(8問)
7つ目の科目は介護過程です。この科目の問題例を紹介します。
介護計画を実施するときの留意点として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 介護計画の遂行自体を目的にする。
- 実施内容は個々の介護福祉職に任せる。
- 介護福祉職の満足度を基に継続を判断する。
- 介護計画の変更内容の説明は省略する。
- 利用者の反応や変化を観察する。
正解)5
第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)より
介護過程は、いわゆる介護のプロセスについての問題です。情報収集、目標設定・計画、実施、評価といった一連の流れについて出題されます。
自立支援を意識した介護ができているかどうか、本人の意思を尊重した支援ができているかなどをポイントに解くと良いでしょう。
”介護過程”の攻略ポイントは、利用者の意思の尊重や自立支援という立場に立っているかです。
発達と老化の理解(8問)
8つ目の科目は発達と老化の理解です。この科目の問題例を紹介します。
加齢に伴う嚥下機能の低下の原因に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 舌骨の位置の上昇
- 咽頭の位置の上昇
- 舌骨上筋の増大
- 喉頭挙上の不足
- 咳嗽反射の増強
正解)4
第32回介護福祉士国家試験(令和元年度)より
加齢に伴ってどのような現象が起こるのか、それにより心理や生活にどのような影響を与えるかなどが出題されます。”発達と老化の理解”という科目ですが、”発達”についての問題(乳幼児の発達など)は、例年1問あるかないかです。
”発達と老化の理解”の攻略ポイントは、加齢による変化を理解することです。
認知症の理解(10問)
9つ目の科目は認知症の理解です。
この科目の具体的な問題例は次の通りです。
認知症(dementia)の初期症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 血管性認知症(vascular dementia)では、幻視が認められる。
- 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)では、歩行障害が認められる。
- 前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)では、エピソード記憶の障害が認められる。
- アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)では、失禁が認められる。
- レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)では、もの盗られ妄想が認められる。
正解)2
第32回介護福祉士国家試験(令和元年度)より
この科目では認知症について出題されます。障害の分野などで勤務している方にとっては、8科目の”発達と老化の理解”と”認知症の理解”は、普段接していない対象者に関する問題なので難しく感じるでしょう。
認知症と一言で言っても、疾患の違いによる特徴やBPSD(行動・心理症状)の違いなど様々です。認知症の行動障害では、失行・見当識障害・失認などの分類に当てはめる問題が多く出題されます。地域での連携や家族への支援も大きなポイントです。
”認知症の理解”の攻略ポイントは、様々な認知症疾患の特性を知ることです。
障害の理解(10問)
10番目の科目は、”障害の理解”です。この科目の問題例を紹介します。
統合失調症(schizophrenia)の特徴的な症状として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 妄想
- 躁うつ
- 強迫観念
- 振戦せん妄
- 見捨てられ不安
正解)1
第31回介護福祉士国家試験(平成30年度)より
今度は障害に関する問題なので、高齢者を対象としたサービスを提供している方の多くは対策が必要になるでしょう。
障害といっても範囲は広く、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病などがあります。様々な疾患だけでなく、障害者を支援するための制度やサービスの種類も多く、暗記が多い科目です。
”障害の理解”の攻略ポイントは、浅くても幅広く疾患や制度についての知識を得ることです。
こころとからだのしくみ(12問)
11番目の科目は、”こころとからだのしくみ”です。この科目の問題例を紹介します。
抗ヒスタミン薬の睡眠への影響として、適切なものを1つ選びなさい。
- 就寝後、短時間で覚醒する。
- 夜間に十分睡眠をとっても、日中に強い眠気がある。
- 睡眠中に足が痛がゆくなる。
- 睡眠中に無呼吸が生じる。
- 夢の中の行動が、そのまま現実の行動として現れる。
正解)2
第32回介護福祉士国家試験(令和元年度)より
”こころとからだのしくみ”と聞くと簡単そうに思えますが、どちらかというと医学的分野からの出題です。そのため呼吸・排泄・睡眠といった基本的なしくみや身体の機能についての理解が問われます。
また介護職が終末期ケアにより深く関わる場面が増えたこともあり、ターミナルケア(看取り)に関する出題も増えています。
この科目は難問もあれば、比較的回答率が高い優しい問題もあります。難問は切り捨て、比較的優しい問題で点数を稼ぐ戦略が必要です。
”こころと体の仕組み”の攻略ポイントは、確実に取れる問題を落とさないことです。
医療的ケア(5問)
12番目の科目は医療的ケアです。
この科目の具体的な問題例は次の通りです。
口腔内・鼻腔内の喀痰吸引に必要な物品の管理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 吸引チューブの保管方法のうち、乾燥法では、浸漬法に比べて短時間で細菌が死滅する。
- 浸漬法で用いる消毒液は、72時間を目安に交換する。
- 吸引チューブの洗浄には、アルコール消毒液を用いる。
- 吸引チューブの洗浄水は、24時間を目安に交換する。
- 吸引物は、吸引びんの70~80%になる前に廃棄する。
正解)5
第32回介護福祉士国家試験(令和元年度)より
医療的ケアの科目で出題されるのは、ズバリ喀痰吸引と経管栄養です。清潔保持・感染予防・実施上の留意点など、実務者研修の医療的ケアで学習するテクニカルな内容が出題されます。研修で学習したことを思い出して回答しましょう。
”医療的ケア”の攻略ポイントは、スクーリングの実技で行ったことを思い出しながら学習、解答することです。
総合問題(12問)
13番目の科目は、総合問題です。この科目の問題例を紹介します。
【事例】Mさん(80歳、男性)は、2年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。Mさんは自宅で暮らし続けることを希望して、介護保険サービスを利用しながら妻と二人で生活していた。その後、Mさんの症状が進行して妻の介護負担が大きくなったため、Mさんは、U社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設に入所することになった。Mさんの入所当日、担当のA介護福祉職は、生活相談員が作成した生活歴や家族構成などの基本情報の記録を事前に確認した上で、Mさんと関わった。
次のうち、A介護福祉職が確認した記録として、適切なものを1つ選びなさい。
- 施設サービス計画書
- インシデント報告書
- エコマップ
- プロセスレコード
- フェイスシート
正解)5
第32回介護福祉士国家試験(令和元年度)より
最後の科目は総合問題。この科目では様々な事例をもとに出題されます。
最後の科目なので、時間的に余裕があればじっくり事例を読み込んでおくといいですが、意外に事例をきちんと読まなくても回答できる問題も多いです。
最後の総合問題は、時間との戦いになります。時間があれば事例をじっくり読み込み、時間がなければ事例をざっくり読んで回答しましょう。
以上が介護福祉士国家試験(筆記)の全13科目です。
実際に過去問や演習問題を解いてみると、それぞれ得意科目・苦手科目があることに気が付くでしょう。勉強しなくてもこれまでの経験や知識でカバーできる得意分野と対策が必要な苦手分野に別れるでしょう。
得意分野で点を稼ぎつつ、苦手分野をどのように対策していくかが介護福祉士試験突破の関門となります。
続いて実技試験について解説します。
実技試験
介護福祉士の実技試験は3月に開催されます。令和2年度の実技試験は3月7日(日)開催予定です。実技試験の会場は東京と大阪の2会場のみです。
実技試験対象者は、筆記試験に合格した受験生のうち、実技試験免除を受けていない人です。制度改正により、実技試験の対象者は大幅に減っています。平成28年度より、介護福祉士実務者研修が義務化されたことで、実務経験ルートの受験生は全員実技試験免除になりました。
また介護技術講習を受講すれば、実技試験が免除となるため、一発勝負の実技試験を避け、技術講習を受講する人も多いです。
過去の出題を紹介します。
山田さん(85歳)は右上下肢に麻痺があります。移乗は一部介助が必要です。車椅子を使用して全介助で移動しています。山田さんはテラスでレクリエーションを終えて、車いすに浅く座っています。山田さんは「少し疲れた」と言って、飲み物を希望しています。途中にある段差を越えて、食堂まで移動してください。そして椅子に移乗して、飲み物を勧めるまでの介護を行ってください。山田さんの返事は「はい」またはうなずくだけです。
引用:第28回介護福祉士国家試験|実技試験
実技試験は、片麻痺の方に対する出題が圧倒的に多いのが特徴です。
この過去問題の課題では
- 声かけによる意思確認
- 体調確認
- 安全のため車いすに深く座りなおしてもらう
- 段差を超える際の車椅子操作
- 椅子への移乗動作
- 飲み物を選択してもらう(2種類の飲み物が用意されています)
など、チェックポイントがいくつもあります。時間をかけても慌てずに、ひとつひとつの介助をクリアしていくように心がけることが合格の近道です。
ここまで介護福祉士国家試験の筆記・実技を含めて試験問題を解説しました。次の章では、合格基準について解説します。
介護福祉士試験の合格基準と難易度
介護福祉士試験の合格基準と難易度について解説します。まずもう一度介護福祉士国家試験(筆記試験)の125問の構成を確認しましょう。
領域 | 科目 | 問題数 |
---|---|---|
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 人間関係とコミュニケーション 社会の理解 | 2問 2問 12問 |
介護 | 介護の基本 コミュニケーション技術 生活支援技術 介護過程 | 10問 8問 26問 8問 |
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解 認知症の理解 障害の理解 こころとからだのしくみ | 8問 10問 10問 12問 |
医療的ケア | 医療的ケア | 5問 |
総合問題 | 12問 | |
合計 | 125問 |
合格基準
介護福祉士国家試験に合格するには、次の2つの基準をクリアする必要があります。
次の2つの条件を満たした者を筆記試験の合格者とする。
ア.問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者
イ.アを満たした者のうち、以下の試験科目11科目群すべてにおいて得点があった者
- 人間の尊厳と自立、介護の基本
- 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
- 社会の理解
- 生活支援技術
- 介護過程
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
- 医療的ケア
- 総合問題
※配点は1問1点の125点満点である。
基準1:60%程度の基準点を超える得点
1つ目の基準は合格基準点を超えることです。
”問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者”とあるように、問題の難易度によって毎年合格基準点は異なります。
125問の60%は75点ですが、75点を取っても、問題の難易度が低い年度の試験では不合格になる場合もあります。
合格基準が60%・補正を考慮すると、得点率70%以上を目標に得点しておきたいところです。
基準2:すべての科目群で得点
2つ目の基準はすべての科目群で得点を取ることです。
介護福祉士国家試験では、11個の科目群があります。得点を取れなかった科目群が1つでもあれば、不合格になります。
もしあなたが合計70%以上得点しても、1つの科目で全問不正解があると、不合格です。そのため全科目群、万遍なく勉強しておく必要があります。
試験の難易度
結論からいうと、介護福祉士試験は例年合格率が”70%台”で推移しているように、難易度はそれほど高くありません。
次の表は、過去4年間の合格率の推移です。
合格率 | 受験者数 | 合格者数 | |
---|---|---|---|
第29回 (平成28年度) | 72.1% | 84,032人 | 55,031人 |
第30回 (平成29年度) | 70.8% | 94,610人 | 65,574人 |
第31回 (平成30年度) | 73.7% | 92,654人 | 69,736人 |
第32回 (令和元年度) | 69.9% | 76,323人 | 58,745人 |
数年前には合格率が40%台の年度もありましたが、平成28年度以降は実務者研修が必須になるなど、取得のハードルが高くなったことで、資格取得へのモチベーションの高い受験生が増えました。
介護福祉士になるために費用や時間を費やし、試験対策を十分に行う人が圧倒的に増え、結果として合格率が高くなっています。
ただ合格率が高いからといって、油断してはいけません。不合格率は30%台なので、毎年約2~3万人が不合格になっていることも事実です。
油断は大敵です。介護福祉士試験に向けてしっかり対策することで、合格をたぐりよせることができます。
次の章では、受験対策に欠かせない2つのポイントについて解説します。
介護福祉士試験に合格するための2つのポイント
介護福祉士に合格するためのポイントが2つあります。
- 勉強の習慣をつけ、毎日少しでも勉強する
- 講座を活用する
この2つのポイントを具体的に解説します。
勉強の習慣をつけ、毎日少しでも勉強する
1つ目のポイントは、勉強の習慣をつけて毎日少しでも勉強することです。学習の習慣をつけることで、毎日コツコツと知識を定着できるからです。
介護福祉士試験を受験者の多くは、現場の介護職として勤務しています。働きながら、まとまった学習時間を確保することは困難です。そのため短時間の学習を積み重ねることが重要です。
通勤電車の中・仕事の休憩時間・帰宅した後など、わずかな時間の学習を積み重ねれば大きな力になります。いきなりハイペースに学習するのではなく、20~30分などの短時間でも勉強を進め、学習を習慣化することから始めましょう。
講座を活用する
2つ目のポイントは講座を活用することです。
もしあなたが「確実に介護福祉士試験を合格したい!」と考えているなら、講座を活用することをオススメします。
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介護福祉士の国家試験は難関試験ではないため、独学で合格することももちろん可能です。しかし学習する範囲が広く、闇雲にテキストを読むだけでは力はつきません。
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具体的な講座活用のメリットは次の通りです。
- 学習の効率化
- 仕事や家庭と勉強の両立ができる
- 学習計画を立てなくても良い
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- わからないことは質問できる
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まとめ
いかがだったでしょうか。
介護福祉士国家試験(筆記)の出題内容は以下のように構成されていましたね。
領域 | 科目 | 問題数 |
---|---|---|
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 人間関係とコミュニケーション 社会の理解 | 2問 2問 12問 |
介護 | 介護の基本 コミュニケーション技術 生活支援技術 介護過程 | 10問 8問 26問 8問 |
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解 認知症の理解 障害の理解 こころとからだのしくみ | 8問 10問 10問 12問 |
医療的ケア | 医療的ケア | 5問 |
総合問題 | 12問 | |
合計 | 125問 |
介護福祉士の合格率は70%台でした。
次の2つのポイントを抑え、あなたが今年の介護福祉士試験に合格することを祈っています。
- 勉強の習慣をつけ、毎日少しでも勉強をする
- 講座を活用する
新型コロナウイルスの影響が危惧されている2021年度介護福祉士国家試験の詳細は、『新型コロナウイルスの影響は?令和3年度介護福祉士試験の全てを解説』にて解説しています。今年度受験される方必見です。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
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