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2020年8月8日の「コロナ災害を乗り越えるいのちとくらしを守るなんでも電話相談会」にてNPOほっとプラス理事の藤田孝典さん、総合サポートユニオンの池田一慶さんに、「介護職員の低賃金・ブラック労働問題」をテーマについて取材を敢行しました。
今の施設で介護職員として働き、現状今の施設の待遇に悩んでいる方にとって非常に役に立つ内容です。ぜひご覧ください。
NPO法人ほっとプラスによく寄せられている介護職員からの相談とは?
藤田さんが理事を務めるNPO法人ほっとプラスにも、介護職員からの相談は多々あると藤田さんは語ります。
藤田さん 団体にも介護職員からの相談はよくあります。よくある具体的な相談内容としては「休みがもらえない」「給与が低すぎる」「残業代が支払われない」などが多いですね。
介護職はよく30代定年と言われますよね。「20歳代であればこの給与でやっていけるけども、30代となると厳しい」「結婚・子育てなどライフスタイルが変化するとこの年収では生きていけない」という声はやはり多いです。
訪問介護のヘルパーさんでいうと『施設との契約が業務委託契約になっていて、本来は労働契約を交わさなくてはいけないのに違法労働をさせられている』といったケースもあります。
最近では、コロナウイルスの影響で休業手当に関する相談がありました。『施設側は休業手当として職員に本来の給与の6割ほどを支給しているのですが、そもそもの給料が安く生活が困窮している』という相談がありました。
あとは職員さん自身のコロナ感染が怖いという相談もよくありますね。
今の施設で働いていて、違法労働問題に直面されている介護職員はどのような行動を取ればいいのでしょうか?
現状の施設の待遇に対して不満を抱えながらも、我慢している介護職員さんに対して、藤田さんは「労働組合に加入することが重要」と語ります。
藤田さん 労働組合に相談して対応していくことが最も重要ですね。とはいうものの、職場の中に労働組合が組織化されていない施設も多いかと思います。
そのため他の施設の職員たちと連携した、外部の労働組合に加入することが良いのではないでしょうか。どこでもいいのでまずは労働組合に加入し、1人で声をあげるよりも労働組合として組織化して声をあげることが重要です。
憲法で保証されている団体交渉権をきちんと使わないといけないですよね。労働組合に加入することは、他の施設の職員とつながりを持てるという点でもメリットがあります。
職場内の仲間も大事ですが、職場外の仲間を作る重要性はありますよね。介護職員は自分たちの施設に止まりがちになってしまっていて、なかなか外からの情報を得ようとしないです。
なので地域の職員の集まりに参加したり、労働組合に加入し、横のつながりを作ったりして、自分の施設と他の施設を「相対化」して考えることが重要と思います。労働組合に加入することで、自分の施設の待遇を他の施設と明確に比較することができます。
また労働組合を通じて、現場の職員の声が理事長などの上の人間につながると、理事長も国に対し、「介護報酬をもう少し増やして欲しいなど」圧力もかけやすくなります。労働者が「この給与で良い」と我慢してしまうと声が国に伝わららず、介護報酬が上がりにくくなります。
あと解決策としては極端な話、給与が高い施設や待遇の良い施設に転職することも1つの方法かと思います。そうすれば待遇が悪い施設はどんどん人が離れてしまい、待遇を良くしなければならない状況になります。
今の職場の待遇に不満を抱えたら労働組合に加入する、あるいは別の待遇の良い施設に転職することが解決策だと語る藤田さん。
介護職員がこれから転職する場合、転職候補先がブラック施設かどうかを見極める方法・基準を藤田さんは語ります。
転職候補先がブラック施設かどうかを見極める方法・基準などはありますか?
藤田さん 1番は離職率でしょうね。職場に人が居着かないのは目安としてはわかりやすい基準ですよね。学生など就活されている方には、「就職候補先の施設の離職率をしっかりと見ておけ」というのはよく伝えています。
あとは給与面の上昇ベースも大事です。最初は給与が低くとも、5年後10年後に給与がどのくらい上がっているのか。また資格手当や処遇改善加算などの基本給以外にどのくらい支給されるのかもしっかりと確認しておくべきですね。
『入職時の給料は高いんだけど、10年後の給料もそのまま』という施設も中にはあります。なのでしっかりと求人を確認したり、転職アドバイザーなどに相談しておくことが大切ですよね。
企業や経営層が給与を隠したがるケースもよくあります。転職する介護職員に1番伝えたいのは「情報収集」です。インターネットに限らず、生の声を集めることが重要です。
ブラック施設に転職しないためにも、転職時に重要なのは「情報収集」と語る藤田さん。
続いて介護職員の労働組合、介護・保育ユニオンについて池田さんにお話を聞いていきます。
介護職員の労働組合〜介護・保育ユニオンについて〜
池田さん 介護・保育ユニオンは介護士と保育士の労働組合になります。拠点は、仙台と世田谷にあります。宮城県と東京都の近郊にお住まいの介護職員の方は介護ユニオンの労働組合に参加することができます。
ただ電話の無料相談会は全国各地から受け付けています。日本の場合、他の企業などは1企業あたりで労働組合を結成するのが一般的ですが、介護業界の場合は施設に所属する人数が少ないので、1施設単位で結成するのが難しい状況にあります。
そのため介護業界の場合は、都道府県単位で労働組合を結成することが一般的です。介護業界の労働組合は施設に待遇向上を求める以外にも、現場の声を拾い上げ、介護保険制度の改善案を国に伝えたりすることもあります。
介護・保育ユニオンではどのような相談が多いのでしょうか?
池田さん 介護・保育ユニオンの活動の中では「過重労働の規制」「残業代の支払い」の相談が多く、それらに対応してきました。
残業代未払いは労働基準法違反ですので、証拠がそろっていれば、施設側は労働組合から残業代の支払いの請求を受けると、ほぼ100%要求を呑まなくてはいけません。私たちはどのような対応をすれば、正確に証拠を抑えることができ、未払い残業代を請求できるかをサポートしています。
介護・保育ユニオンに参加するステップはどのような手順になりますか?
池田さん まずは介護・保育ユニオンに電話で連絡をいただきます。次に、介護・保育ユニオンの説明をさせていただいた上で、組合に加入していただきます。加入していただいた上で組合から問題解決のためのサポートをしていきます。
具体的なサポートでいうと、証拠の集め方、施設の状況の法的整理、施設側との交渉のアドバイスなどです。
組合にはさまざまな企業で働く労働者がおり、労働組合のメンバー同士で助け合いながら改善を進めていきます。不安なことも相談しながら進めていけますので安心です。
会社から不利益な扱いを受けるのではないかというご心配をお持ちの方もおられますが、それに対しても対処します。
介護・保育ユニオンの会計について教えてください
池田さん 主に組合員からの組合費と様々な方からの寄付で成り立っています。
組合員になるには加入費が1000円・毎月の組合費が1000円(年収400万円未満の場合)がかかります。組合費や寄付金は労働組合の人件費や事業所の家賃などに支払われます。
現状の施設での待遇に不満を抱えていたり、悩みを抱えている方は、NPO法人ほっとプラス、介護・保育ユニオンに相談してみてはいかがでしょうか。
公式ページ:NPO法人ほっとプラス
公式ページ:介護保育ユニオン公式サイト