この記事の結論

この記事で分かること

  • 修了評価は1時間程度の筆記試験で、100点中70点程度が合格の目安とされます。落とすための試験ではありません。
  • 「合格率90%以上」といった数値に、公的な統計はありません。答案は回収され、各スクールが実施するため、全国の合格率は公表されていません。
  • 本当のハードルは試験ではなく、130時間(10科目)の日程を確保できるかです。講義約55時間+演習約75時間で、演習は通学が必要です。
  • 最も多いつまずきは「欠席したときの振替」です。申し込む前に、振替の可否・回数・追加費用を必ず確認してください。
  • 不合格でも再試験を用意しているスクールが一般的です。ただし扱いは実施機関により異なるため、事前に確認してください。

「試験があるって聞いたけど、落ちたらどうしよう」
「合格率90%以上って書いてあるけど、本当?」
「働きながら130時間って、現実的なの?」

結論からお伝えします。試験そのものは、落とすためのものではありません。修了評価は1時間程度の筆記で、100点中70点程度が合格の目安とされています。

そして、正直にお伝えしておきたいことがあります。「合格率90%以上」「ほぼ100%」といった数値に、公的な統計はありません。修了試験は各スクールが実施し、答案も回収されるため、全国の合格率は公表されていないのです。

実際につまずくのは試験ではなく、130時間の日程を確保できるかどうか、そして欠席したときに振り替えられるかどうかです。この記事では、そこを中心に整理します。

この記事で参照した公開情報(2026年8月26日確認)
・介護職員初任者研修のカリキュラム:10科目・130時間(講義約55時間/演習約75時間)
・修了評価:1時間程度の筆記試験、選択式・記述式、100点中70点程度が合格の目安
全国の合格率について公的な統計は公表されていません

カリキュラム・試験の形式・再試験の扱いは実施機関および制度改正により異なることがあります。受講の前に、必ず各スクールおよびお住まいの都道府県の案内をご確認ください。

結論|難易度は高くありません。ただし「通い切れるか」は別問題です

心配していること実際
試験が難しいのでは1時間程度の筆記。講義で扱った内容が中心です
落ちたら資格が取れない再試験を用意しているスクールが一般的です
勉強時間を確保できない授業後にその日の内容を振り返る程度で対応できるとされます
130時間も通えるかここが本当のハードルです
シフトが変わったらどうなるか振替制度の有無がスクールにより違います。最も確認すべき点です

「合格率90%以上」という数字の扱い方

多くのサイトで見かける数字ですが、出どころを確認しておく必要があります。

よく見る記載実際
「合格率は90%以上」全国の合格率について公的な統計は公表されていません
「ほぼ100%が合格」
統一の国家試験があるありません。修了試験は各実施機関が行います
答案が返却される答案は回収されるのが一般的です

「難易度は高くない」というのは事実ですが、それを裏づける公的な数値はない——これが正確な説明です。数値を根拠に安心するのではなく、「授業に出て、その日のうちに振り返る」という進め方で臨むほうが確実です。

修了試験の中身|何が出るのか

項目内容
時間1時間程度
形式選択式・記述式
合格の目安100点中70点程度
出題範囲講義で扱った内容が中心
実施各スクール(統一の試験ではありません)
再試験用意しているスクールが一般的。扱いは実施機関により異なります

形式・配点・再試験の扱いは実施機関により異なります。受講前に各スクールへご確認ください。

押さえておくと安心な用語

  • バイタルサイン——体温、脈拍、血圧、呼吸などの生命の兆候
  • ボディメカニクス——身体の仕組みを使って、負担を減らして介助する技術
  • ノーマライゼーション——障害の有無にかかわらず、同じように生活できる社会を目指す考え方
  • ICF——国際生活機能分類。生活機能を多面的にとらえる枠組み
  • 尊厳の保持・自立支援——介護保険法の基本的な考え方

こうした用語の意味を自分の言葉で説明できれば、試験対策としては十分です。

10科目の中身|何を学ぶのか

科目学ぶこと試験に出やすいか
職務の理解介護の仕事の全体像、働く場所の種類
介護における尊厳の保持・自立支援ノーマライゼーション、ICF、権利擁護、身体拘束◎ 用語が出ます
介護の基本介護職の役割、職業倫理、安全とリスク、健康管理
介護・福祉サービスの理解と医療との連携介護保険制度、障害福祉制度、多職種連携◎ 制度名が出ます
介護におけるコミュニケーション技術利用者・家族との関わり、記録と報告
老化の理解加齢による心身の変化、高齢者に多い疾患
認知症の理解認知症の中核症状と行動・心理症状、対応の考え方◎ 現場で最も効きます
障害の理解障害の考え方、家族への支援
こころとからだのしくみと生活支援技術最も時間が長い科目。移動・移乗・食事・入浴・排泄の介助◎ 実技の中心
振り返り学んだ内容の総括

科目の構成・時間配分は制度および実施機関により異なることがあります。詳細は各スクールの案内をご確認ください。

試験対策としては「用語」と「制度名」を押さえてください

記述式で問われやすいのは、用語の意味と制度の考え方です。移乗の手順そのものより、「なぜその手順なのか」を説明できるほうが効きます。

実技演習では何をするのか

約75時間を占める演習が、初任者研修の中心です。受講生同士でペアを組み、介助する側とされる側を交代しながら進めます。

演習の内容体験すること
ベッド上の体位変換力任せにしない体の使い方(ボディメカニクス)
ベッドから車いすへの移乗実務で最も使う技術。腰を痛めない方法を学びます
車いすの操作・段差の越え方実際に乗る側も体験します
食事介助姿勢、一口の量、ペース
衣類の着脱麻痺のある方への対応(脱健着患)
入浴・清拭プライバシーへの配慮
排泄介助おむつ交換、尊厳への配慮

「介助される側」を体験できるのが、この研修の価値です

車いすに乗せられる、ベッドで体を動かされる——この体験があるかないかで、現場での声のかけ方が変わります。試験対策としてではなく、実務のために意味のある時間です。

服装は動きやすいもの(ジャージ・スニーカーなど)が指定されるのが一般的です。爪を短く切っておく、アクセサリーを外すといった準備も求められます。

本当のハードルは130時間|10科目の内訳

区分時間の目安受講の形
講義約55時間通信で受けられる部分があります
演習(実技)約75時間通学が必要です
合計130時間(10科目)

期間の目安と、働きながらの現実

通うペース期間の目安向いている人
週4〜5回(短期集中)1か月程度離職中/まとまった時間が取れる
週2回2か月程度シフトを調整しやすい
週1回3〜4か月程度働きながらが前提の方
土日のみ/夜間スクールによる平日日勤の方

「試験が不安」より「通い切れるか」を先に検討してください。途中で通えなくなるほうが、金銭的にも時間的にも損失が大きくなります。

通信と通学の組み合わせ|どこまで自宅で受けられるか

受講の形注意点
講義(約55時間)通信で受けられる部分があります課題の提出が必要な場合があります
演習(約75時間)通学が必要ですここは自宅では完結しません
修了試験スクールで実施

「全部オンラインで取れる」という案内を見かけたら、演習の扱いを必ず確認してください。実技演習を通学なしで完結できる形は、一般的ではありません。

最もつまずくのは「欠席したときの振替」です

介護の現場は急なシフト変更が起こります。実技演習を欠席した場合、振替受講が必要になるのが一般的です。

確認することなぜ重要か
振替受講ができるかできないスクールだと、修了できなくなる可能性があります
振替の回数に上限があるか上限を超えると対応してもらえないことがあります
振替に追加費用がかかるか総額が変わります
他の教室・他の日程で受けられるか選択肢が多いほど安心です
受講できる期間に期限があるか長期化すると期限に引っかかることがあります

申し込む前に、この一言を聞いてください。
「仕事の都合で欠席してしまった場合、振替受講は可能でしょうか。回数の上限や追加費用はありますか
ここを曖昧にしたまま申し込むと、後から困ります。

試験に落ちた場合はどうなるか

確認すること一般的な扱い
再試験があるか用意しているスクールが一般的です
再試験の回数実施機関により異なります
追加費用無料の場合と有料の場合があります
受けられる期間期限が設けられていることがあります

「落ちたら終わり」ではありません。ただし扱いはスクールごとに違うため、申し込み前の確認事項に加えてください。

受講している人はどんな人か|年齢も経歴もばらばらです

「自分だけ浮くのでは」と心配する方がいますが、初任者研修の受講者は年齢も経歴も非常に幅広いのが実際です。

  • 10代・20代——進路として介護を選んだ方、他業種から早期に転職した方
  • 30代・40代——子育てが一段落して働き始める方、異業種から転職する方
  • 50代・60代——セカンドキャリアとして始める方、親の介護をきっかけに学びに来た方
  • すでに介護施設で働いている方——無資格で入職し、働きながら取得する方

年齢制限はありません。体力に不安がある方も、演習は「力任せにしない方法」を学ぶ場なので、体力勝負にはなりません。

初任者研修を取ると何が変わるか

変わること内容
訪問介護に従事できる無資格では訪問介護に従事できません。ここが最大の違いです
資格手当対象となる事業所が多くなります(金額は事業所により異なります)
実務者研修の科目免除受講料が下がります。介護福祉士までの総額に効きます
認知症介護基礎研修受講の対象から外れます
求人の選択肢応募できる求人の幅が広がります

とくに実務者研修の科目免除は、介護福祉士を目指す場合の総額に直接効きます。先に初任者研修を取っておくほうが、結果的に安く済むことが多くなります。

取得後の流れ|次に何を目指すか

段階資格・研修要件できるようになること
いま介護職員初任者研修130時間訪問介護に従事できる/資格手当
実務者研修450時間(初任者研修修了で科目免除サービス提供責任者/介護福祉士の受験要件
その次介護福祉士実務経験3年以上+実務者研修国家資格。受験手数料18,380円
さらに介護支援専門員(ケアマネ)介護福祉士取得後に5年以上かつ900日以上現場の介助業務から離れられる

ケアマネの受験に必要な実務経験は、介護福祉士を取得した後の期間しか算入されません。初任者研修や無資格の時期に働いた年数は数えられないため、資格は早めに取っておくほうが将来の選択肢が広がります。

スクールを選ぶときに比較する6項目

  1. 通える範囲に会場があるか——演習は通学が必要です。交通費も総額に含めて考えてください
  2. 自分のシフトに合う開催形式か(週1/土日/夜間/短期集中)
  3. 振替受講の可否・回数・追加費用——最重要です
  4. 再試験の扱い
  5. 受講料にテキスト代が含まれるか——別途だと総額が変わります
  6. 割引・分割払いの有無、教育訓練給付制度の対象か

勤務先の資格取得支援制度も確認してください。費用を負担してもらえる場合があります。ただし「取得後◯年以内に退職した場合は費用を返還」という取り決めがあることがあります。金額と期間を、就業規則または書面で確認してから申し込んでください。

受講前に不安な方へ|介護の現場を先に見る方法もあります

130時間と数万円をかける前に、「そもそも自分に介護が合うのか」を確かめたいという方もいると思います。

無資格でも、施設介護であれば働けます(訪問介護は資格が必要です)。まず現場に入ってから資格を考える、という順番も選べます。

スキマかんごでは、介護助手・看護助手を含む1日単位ではたらける単発のお仕事と、掲載施設へ直接応募できる求人をご案内しています。「1日だけ現場を見てから、資格を取るか決める」という進め方ができます。担当者からの営業連絡はありません。

よくある質問

介護職員初任者研修の試験は難しいですか?

落とすための試験ではありません。修了評価は1時間程度の筆記試験で、選択式と記述式の問題が出され、100点中70点程度が合格の目安とされています。出題されるのは講義で扱った内容が中心です。授業に出席し、テキストを見直していれば対応できる水準です。

合格率はどのくらいですか?

全国の合格率について、公的な統計は公表されていません。修了試験は各実施機関が行い、答案も回収されるためです。「ほぼ100%」「90%以上」といった数値を目にすることがありますが、公的な裏づけのある数字ではありません。難易度の目安として受け止め、断定的な数値としては扱わないほうがよいでしょう。

試験に落ちたらどうなりますか?

再試験を用意しているスクールが一般的です。ただし、再試験の回数、追加費用の有無、受けられる期間は実施機関により異なります。申し込む前に「不合格の場合はどうなりますか」と確認しておくと安心です。仮に修了できなかった場合でも、受講そのものが無駄になるわけではありません。

130時間はどのくらいの期間で終わりますか?

最短で1か月程度、週1回のペースだと3〜4か月程度が目安です。カリキュラムは10科目130時間で、講義が約55時間、演習が約75時間とされています。通信で受けられる部分がある一方、演習は通学が必要です。自分のシフトに合う開催形式を選べるかが、期間を左右します。

働きながらでも取れますか?

取れます。週1回コース、土日コース、夜間コースなど、働きながら通える形式を用意しているスクールがあります。ただし演習の日程は決まっていることが多く、シフトとの調整が必要です。急なシフト変更が起きやすい職場の方は、振替制度があるスクールを選ぶことをおすすめします。

欠席したらどうなりますか?

実技演習は通学が必要なため、欠席した回は振替受講が必要になるのが一般的です。ただし振替の可否、回数の上限、追加費用の有無はスクールによって異なります。ここが実際に最もつまずきやすい点なので、申し込む前に必ず確認してください。

勉強はどのくらい必要ですか?

毎回の授業のあとに、その日の内容を振り返る程度で十分とされることが多くなっています。試験は講義で扱った内容が中心で、独学で難しい理論を覚える種類のものではありません。用語(バイタルサイン、ボディメカニクス、ノーマライゼーションなど)の意味を押さえておくと安心です。

初任者研修を取ると何ができるようになりますか?

訪問介護に従事できるようになります。無資格では訪問介護に従事できないため、ここが最も大きな違いです。また資格手当の対象となる事業所が多く、実務者研修を受ける際に科目が免除され費用が下がるという利点もあります。認知症介護基礎研修の受講対象からも外れます。

まとめ|試験より、通い切れるかを先に確認してください

  • 修了評価は1時間程度の筆記、100点中70点程度が合格の目安。落とすための試験ではありません
  • 「合格率90%以上」に公的な統計はありません。各スクールが実施し、答案も回収されるためです
  • 本当のハードルは130時間(講義約55時間+演習約75時間)の日程確保です。演習は通学が必要です
  • 最も多いつまずきは欠席時の振替。可否・回数・追加費用を申し込み前に必ず確認してください
  • 不合格でも再試験があるのが一般的ですが、扱いはスクールにより異なります
  • 取得すると訪問介護に従事でき、実務者研修の科目免除で介護福祉士までの総額も下がります

試験の心配で足踏みしている方が多いのですが、実際に受講を断念する原因のほとんどは、シフトと日程が合わなくなることです。

そして演習で得られるのは、技術だけではありません。介助される側を体験することで、現場に立ったときの声のかけ方が変わります。ここは独学では手に入らない部分です。

スクール選びで見るべきは価格だけではありません。「振替できますか」の一言を、申し込む前に必ず聞いてください。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

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