この記事の結論

この記事で分かること

  • 後悔の原因の大半は、入職前に確認できたことです。「聞いていた話と違う」ではなく「聞かなかった」というのが実際のところです。
  • 最も多いのは施設種別のミスマッチです。同じ介護職でも、特養とデイサービスでは仕事の中身がまったく違います。
  • 給与は総額ではなく内訳で確認してください。夜勤手当が含まれた額を提示されると、実際の基本給が見えません。
  • 「直近1年で職員何名中何名が退職しましたか」——この1問が最も実態を映します。答えられない、はぐらかされる場合はそれ自体が情報です。
  • 求人票と面接だけでは分からないことがあります。見学、できれば1日単位の勤務で現場を見てから決めると、後悔の確率が大きく下がります。

「聞いていた話と全然違った」
「前の職場のほうがマシだったかもしれない」
「また転職するのは気が引ける」

結論からお伝えします。介護の転職で後悔する原因の大半は、入職前に確認できたことです。

「聞いていた話と違う」と感じている方の多くは、実際には聞かなかったのです。夜勤が何人体制か、賞与の直近の実績は何か月分か、去年何人辞めたか——これらは面接で聞けば答えが返ってきます。

この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、後悔の原因を「防げたもの」と「防げなかったもの」に分け、入職前に確認すべき12項目を整理します。

この記事で参照した公開情報(2026年8月26日確認)
・厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」(求人等に関する情報の的確な表示の義務化/令和4年10月1日施行)
・労働基準法(労働条件の明示)

個別の労働条件やトラブルの取扱いは、勤務先の就業規則および各窓口によって異なります。判断に迷う場合は、労働基準監督署または都道府県労働局の総合労働相談コーナーにご相談ください。

結論|後悔の原因は「防げたもの」が9割です

後悔の内容入職前に防げたかどう防ぐか
思っていた仕事内容と違った防げます施設種別ごとの業務の違いを知る(後述)
給与が思ったより低かった防げます総額ではなく内訳を確認する
夜勤の負担が想定以上だった防げます回数だけでなく「何人体制か」を聞く
人手が足りず回らなかった防げます直近1年の退職者数を聞く
教育がなく放り出された防げます中途入職者の教育担当と期間を聞く
腰を痛めたある程度防げます移乗リフトの導入と、実際に使っているかを見る
人間関係が合わなかった面接では分かりません見学・1日勤務で職員同士の様子を見る
方針が合わなかった一部分かります理念を「日々の業務でどう表れるか」で聞く

最後の2つ以外は、質問すれば分かることです。そして最後の2つも、見学や1日勤務でかなり見えます。

最も多いのは「施設種別のミスマッチ」です

同じ「介護職」でも、施設種別によって仕事の中身がまったく違います。ここを知らずに求人の条件だけで決めると、入職後に驚くことになります。

職場1日の中心身体的負担夜勤ギャップになりやすい点
特別養護老人ホーム移乗・入浴・排泄介助重いあり介助量が想像を超えることがあります
介護老人保健施設在宅復帰に向けた支援・記録中〜重いあり書類と多職種連携が多い
有料老人ホーム生活支援・接遇あり施設により入居者の状態の幅が大きい
グループホーム認知症ケア・家事あり調理や洗濯も業務に含まれます
デイサービス健康チェック・レク・入浴軽いなし送迎の運転を求められることがあります
訪問介護1対1の身体介護・生活援助原則なし単独で判断する場面。資格が必須
ショートステイ入退所の対応中〜重いあり利用者が頻繁に入れ替わり、覚えることが多い

とくに見落とされる3つ

  • グループホームの調理——「認知症ケアをしたい」と入って、調理が業務に含まれることに驚く方がいます
  • デイサービスの送迎——運転が必須の事業所があります。運転に不安がある方は必ず確認してください
  • 老健の書類量——在宅復帰を目標とするため、記録と会議が多くなります

面接で確認する12項目|数字で聞いてください

聞くことなぜ重要か
1「夜勤は月何回で、何人体制でしょうか」2人夜勤と3人夜勤では負担が別物です
2「直近1年で、職員何名中何名が退職されましたか」最も実態を映す質問です
3「基本給はいくらで、どの手当が含まれていますか」夜勤手当込みの総額に注意
4「賞与の直近の支給実績は何か月分でしょうか」「◯か月分(規定)」と実績は違います
5「みなし残業は含まれますか。何時間分ですか」含まれると、その分の残業代は出ません
6「処遇改善加算はどの区分で、給与にどう反映されていますか」賞与にまとめられると月々の手取りは変わりません
7「中途入職者の教育は、どなたがどのくらい担当されますか」放り出されないかを確認
8「移乗リフトは導入されていますか。実際に使われていますか」あっても使っていない施設があります
9「有給休暇の取得率はどのくらいでしょうか」制度と運用は別です
10「試用期間中の条件に変更はありますか」給与が下がる場合があります
11「入職して1年後、私はどのような業務を担当している見込みでしょうか」期待される役割が分かります
12「入職前に見学させていただけますか」断られる場合、その理由を考えてください

聞きにくいと感じる方へ。この前置きを使ってください。
長く働きたいと考えていますので、いくつか確認させていただけますでしょうか
労働条件の確認は当然のことです。むしろ、これらに淀みなく答えられる施設ほど、労務管理が整っています。

給与は「総額」ではなく「内訳」で見てください

提示のされ方確認すること
「月給28万円」基本給はいくらか。夜勤手当が何回分含まれているか
「年収400万円可能」その年収は夜勤月何回の前提か
「賞与4か月分」規定なのか、直近の支給実績なのか
「各種手当あり」どの手当がいくらか
「昇給あり」直近の昇給の実績額

「月給28万円」のうち夜勤4回分の手当が含まれていれば、夜勤を減らした瞬間に大きく下がります。体力的に夜勤を続けられるかも含めて考えてください。

求人票と実際が違ったとき|的確な表示は法律上の義務です

2022年10月1日に施行された改正職業安定法により、求人等に関する情報の的確な表示が事業者の義務とされています。対象は求人情報、求職者情報、求人企業に関する情報、自社に関する情報、事業の実績に関する情報です。

気づいた時期やること
面接中その場で確認する。「求人票では◯◯となっていましたが、相違ありませんか」
内定後・入職前労働条件通知書を書面で受け取り、求人票と1行ずつ突き合わせる
入職後まず施設に確認する
改善されない労働基準監督署/都道府県労働局の総合労働相談コーナー

労働条件通知書は必ず書面(または本人が希望した場合は電子メール等)で受け取ってください。労働基準法で労働条件の明示が定められています。「入職してからお渡しします」という施設は、その時点で判断材料になります。

面接では分からないこと|見学と1日勤務で見えるもの

見るもの何が分かるか
職員同士の会話の仕方指示が一方通行か、相談が成立しているか
利用者への声のかけ方ケアの質が最も表れる部分です
職員の年齢構成自分と近い年代がいるか
シフト表・掲示物実際の夜勤回数、有給の取得状況が見えることがあります
移乗リフトが実際に使われているか導入だけして使っていない施設があります
休憩室実際に休憩が取れているか
夕方に残っている職員の数残業の実態。夕方に見学できると分かります
質問への答え方数字で答えられるか、曖昧にされるか

現場の職員に直接聞けるとよい3つ

「差し支えなければ教えてください。①だいたい何時ごろに退勤される方が多いですか ②有給は取りやすい雰囲気でしょうか ③中途で入られた方は、どのくらいで慣れられますか

案内役ではなく現場の職員に聞けるかどうかが重要です。「職員の方に少しお話を伺ってもよいですか」と申し出て断られる場合、その反応自体が情報になります。

後悔しやすい進め方・しにくい進め方

後悔しにくい進め方後悔しやすい進め方
何が嫌で辞めるのかを言葉にした「とにかく辞めたい」で動いた
絶対条件を1〜2つに絞った「良いところがあれば」で応募を重ねた
施設種別ごとの違いを理解して選んだ求人の条件だけで選んだ
見学に行った/1日働いてみた求人票と面接だけで決めた
労働条件通知書を書面で受け取った口頭の説明で納得した
回答期限を自分で決めた「今週中に」と急かされて決めた
次が決まってから辞めた離職期間が長引き、焦って妥協した

「急かされて決めた」は、後悔の典型です

人材紹介を使っている場合、担当者から「今日中にお返事を」と言われることがあります。これは、入職が決まって初めて売上が発生するという仕組みから生じるものです。

回答の期限は自分で決めて、先に伝えてください。「◯日までに回答します」と言えば、それで足ります。本当に埋まってしまう求人なら、縁がなかったと考えるほうが結果的に損をしません。

入職後に「違う」と気づいたときの順番

状況やること
労働条件が求人票と違う労働条件通知書と突き合わせ、施設に確認。改善されなければ労働基準監督署へ
仕事に慣れない(2〜3か月)この時期に感じるのは一般的です。判断材料にしないでください
教育がなく放り出されている上司に「どなたに聞けばよいか」を明確にしてもらう
ハラスメントがある記録を残し、事業所に報告。対応されるかを見る
心身に不調のサインが出た期間に関係なく、早めに相談してください

眠れない、食欲がない、出勤前に動悸がする——この状態は「慣れの問題」ではありません。産業医、かかりつけ医、都道府県労働局の総合労働相談コーナー、自治体のこころの健康相談などにご相談ください。

短期間で辞めることになった場合

在籍期間が短いと、次の選考で理由の説明を求められます。ただし介護職は人材不足が続いており、説明が納得できるものであれば大きな障害にはなりにくいのが実際です。

「前職では求人票と実際の夜勤回数に差があり、体調を維持できないと判断しました。今回は事前に夜勤の回数と人数体制を確認したうえで応募しています」

前職を批判せず、事実と「次はどう選んだか」をセットで伝えるのがポイントです。

後悔の確率を下げる、最も確実な方法

ここまで12項目の質問や見学のポイントをお伝えしましたが、それでも面接と見学では分からないことが残ります。

職員同士の距離感、実際の忙しさ、自分がその場にいて心地よいかどうか。これらは1日でも働いてみれば、はっきり分かります。

スキマかんごでは、介護助手・看護助手を含む1日単位ではたらける単発のお仕事と、掲載施設へ直接応募できる求人をご案内しています。「常勤で決める前に、1日だけ現場を見る」という進め方ができます。合わなければその日で終えられます。担当者からの営業連絡はありません。

よくある質問

介護の転職で後悔する原因で最も多いのは何ですか?

施設種別のミスマッチです。同じ介護職でも、特別養護老人ホームとデイサービスでは身体的負担も業務の中身もまったく違います。次に多いのが給与の内訳の確認不足で、夜勤手当込みの総額だけを見て決めてしまうケースです。いずれも入職前に確認できたことです。

面接で給与や休みのことを聞くと印象が悪くなりませんか?

なりません。労働条件の確認は当然のことで、むしろ曖昧なまま入職するほうが双方にとって不幸です。聞き方を工夫すれば問題ありません。「長く働きたいので確認させてください」と前置きしてから、夜勤の回数、賞与の直近の支給実績、退職者数などを具体的に聞いてください。

「聞いていた話と違う」場合はどうすればいいですか?

入職前であれば、労働条件通知書と求人票を突き合わせて、その場で指摘してください。2022年10月施行の改正職業安定法により、求人等の情報を的確に表示することは事業者の義務とされています。入職後に発覚した場合は、まず施設に確認し、改善されなければ労働基準監督署に相談できます。

介護職が辞める前兆はありますか?

「この職場で5年後の自分を想像できない」と感じ始めたとき、改善を申し出ても変わらなかったとき、心身に不調のサインが出たときが目安です。とくに眠れない、食欲がない、出勤前に動悸がするといった状態は、慣れの問題ではありません。早めにご相談ください。

介護職は転職しやすいですか?

人材不足が続いているため、採用されること自体は他業種より難しくありません。難しいのは「続く職場を選ぶこと」です。入りやすいからこそ、条件を確認せずに決めてしまい、短期間で再び転職するという流れになりやすい面があります。

入職して何か月で判断すべきですか?

一人前に動けるまで3か月から半年かかるのは一般的です。最初の2か月で「向いていない」と感じるのは多くの方が通る時期で、それ自体は判断材料になりません。ただし、労働条件が求人票と違う、ハラスメントがある、心身に不調が出ている場合は、期間に関係なく早めに動いてください。

後悔しないために、入職前にできることは何ですか?

3つあります。①面接で条件を数字で確認する(夜勤の回数と人数体制、退職者数、賞与の実績)②見学に行き、職員同士の会話や夕方の残り具合を見る③可能であれば1日単位の勤務で実際に現場に入る。とくに③は、求人票にも面接にも出てこない情報が得られます。

短期間で辞めると次の転職に不利になりますか?

在籍期間が短いと、次の選考で理由の説明を求められます。ただし介護職は人材不足が続いており、説明が納得できるものであれば大きな障害にはなりにくい傾向があります。とはいえ繰り返すと不利になるため、次の職場は条件を確認したうえで選んでください。

まとめ|「聞かなかった」を「聞いた」に変えるだけで変わります

  • 後悔の原因の9割は、入職前に確認できたことです
  • 最も多いのは施設種別のミスマッチ。特養とデイサービスでは仕事の中身が別物です
  • 給与は総額ではなく内訳で。夜勤手当込みの提示に注意してください
  • 「直近1年で職員何名中何名が退職しましたか」——この1問が最も実態を映します
  • 求人票と違う場合、的確な表示は法律上の義務です。指摘してよい話です
  • 人間関係と職場の雰囲気だけは、見学か1日勤務でしか分かりません

「聞きにくい」と感じる質問ほど、後で効いてきます。労働条件の確認は当然のことであり、それに淀みなく答えられる施設ほど労務管理が整っています。

そして、質問だけでは埋まらない部分があります。決める前に見学へ行き、できれば1日でも現場に立ってみてください。求人票を100回読むより、確実に多くのことが分かります。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

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