こんな悩みを抱えていませんか?
この記事では、転職を繰り返す介護職員の特徴、介護職で転職を繰り返すメリット・デメリット、介護職転職を繰り返さない方法を解説します。
なぜ介護業界は離職率が高いのか、採用選考で不利になる転職回数、転職してもやっぱり介護に戻ることは可能なのかについても触れているので参考にしてください。
転職を繰り返す介護職員の5つの特徴
人のためになる仕事に憧れて介護職をはじめる人も多いですが、介護職員のなかには転職を繰り返してしまう人がいます。
転職を繰り返す介護職員には次の5つの特徴が挙げられます。
①人間関係に疲れて退職している
介護職は利用者以外にも、利用者の家族や一緒に仕事をする職員同士の関わりが多い仕事です。
そのため、人間関係のトラブルや気を遣うことに疲れて退職する人が多いのです。
人間関係にストレスを感じてしまうと周囲に馴染めなかったり、コミュニケーション不足から仕事で問題を起こしてしまう可能性もあります。
たくさんの人と関わる仕事だからこそ、相手を理解する姿勢や程よく距離感を持って接することが必要です。
②素直に間違いや指摘を認められない
素直に自分の間違いや指摘を認められない人は介護職で転職を繰り返す人に見られる特徴です。
介護職は人の命に関わる仕事です。
そのため、間違いや指摘を認めない人は利用者や職員から信頼してもらえず、仕事を任せてもらえません。
自分の信念を持って働くことも大切ですが、ミスや間違いなどを指摘されたら素直に受け止めることもコミュニケーションを取るうえで大事です。
③キャリアアップばかり意識している
働くうえでキャリアアップは重要です。
しかし、キャリア形成のことばかり考えていると仕事に集中できなかったり、ポジションや給料などばかり気になり転職を繰り返してしまう恐れがあります。
介護職に限らず、いきなりキャリアアップできる人は少ないです。
職場を変えて経験やスキルを身につけることも大切ですが、短期間で転職を繰り返すと採用で不利になるリスクも高くなるので注意しましょう。
④条件だけで転職先を決めている
転職先を探す際、休日や給料、待遇などの条件だけで判断すると、転職を繰り返す恐れがあります。
入社しても条件に納得できなかったり、思ったより仕事がキツかったりすると再び好条件の求人を探して転職を考えてしまうからです。
転職先を探す際は条件以外にも、仕事内容やスキルもきちんと確認しておくと早期転職を防げます。
⑤過大に自己評価している
自分を過大評価しすぎて客観視できない人は、職場に不満を感じて転職を繰り返す場合が多いです。
「自分はもっと評価されるべき」「こんなに頑張っているのに認めてもらえない」など、転職することで解決できると考えてしまうからです。
転職を繰り返さないためには自己分析をして、自分の能力や性格に合う職場を見つけましょう。
介護業界は施設や事業所によって働き方や仕事内容が異なるため、きちんと自己分析することが重要です。
なぜ介護業界は離職率が高い?
介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」によると、介護士の離職率は14.3%でした。
他の職種の離職率は平均で12.4%なので、平均値より少し高い結果となっています。
なぜ、介護業界の離職率が高いのか解説します。
人手不足による忙しさ
「介護労働実態調査」で人手が足りないと回答した人が52.3%いることがわかりました。
少子高齢化の影響で介護職の需要は年々増加傾向にあります。
しかし、高齢者の人数が増えても介護職として働く人材が足りていないので、休憩が取れなかったり、休日出勤や残業が多くなり介護職を離れてしまう人が多いのです。
身体が休まらないことでストレスも増え、職場の人間関係にも影響してしまい、結果的に退職や転職を選択する人が増えています。
体力的にしんどくなる人が多い
介護職には移動介助や入浴介助、更衣介助など利用者の身体を支えてサポートする業務があります。
そのため、体力的にしんどいと感じたり、腕や腰を痛める人が多いです。
厚生労働省が実施した「業務上疫病発生状況等調査」によると、介護士を含む保健衛生業の疫病で災害性腰痛の割合が27.8%と報告されています。
立ち仕事や中腰での作業が原因で腰痛を患う介護職員が多いことがわかります。
将来性が低い
介護職の将来性が低いことも離職率に影響を及ぼしています。
厚生労働省が実施した「労働統計要覧ーE賃金」によると、介護業界の給与水準は他の業種に比べて低く、社会的評価も低い結果となっています。
職種 | 所定内給与額(千円) |
---|---|
介護職員 (医療・福祉施設等) | 239.8 |
訪問介護従事者 | 245.8 |
保育士 | 245.8 |
栄養士 | 245.6 |
歯科衛生士 | 244.9 |
業務の過酷さや給料の低さが原因で経済的に将来の見通しが立たず、不安を抱えている人が多いです。
女性の場合は結婚や出産、育児など家庭と仕事の両立に不安を抱える人も多い傾向にあります。
介護職を辞めてよかったという人も多い
忙しさや体力的負担、将来性などの理由で介護職を離れる人もいますが、やめてよかったという人も多いです。
介護職を辞めることがプラスになった人の理由は次のとおりです。
- 規則正しい生活を送れるようになった
- 人間関係の悩みが減った
- プライベートの時間が充実するようになった
- 年収が上がった
- 身体的負担が減った
また、介護で培った経験は自分の家族に介護が必要になった際に活用できたりと、退職しても活かせる場面が多くあります。
介護職の転職は当たり前?介護職で転職するメリット
介護職は転職することで得られるメリットが多くある職種です。
介護職でのキャリアプランや介護転職の参考にしてみてください。
転職で知識やスキルアップができる
転職は新しく仕事を覚えたり、それまでのキャリアが振り出しに戻るなどマイナスイメージを持たれることもあります。
しかし、介護職の場合は転職することで知識やスキルアップできるケースが多いです。
介護業界にはさまざまな施設や事業所があり、担当する仕事内容も幅広くあるからです。
転職で新しい知識や専門的スキルを学び、介護職員としてスキルアップできます。
一般企業に比べて転職しやすい
介護職は一般企業に比べて転職しやすい職種です。
介護業界は人手不足が続いているので、少しでも介護経験がある人は即戦力として重宝されるからです。
また、転職している人はそれだけたくさんの経験を積んでいると判断され、高いポジションや責任ある仕事を任される場合もあります。
そのため、一般的には転職の難易度が高い年齢や経験値が低くても、介護職であれば転職できる可能性が高いです。
有資格者は収入アップを狙える
介護業界には専門的な技術やスキルを身につけられる資格がたくさんあります。
そして、施設や事業者によっては有資格者に資格手当をつける場合も多く、介護に関する資格を持っていれば収入アップを狙えます。
また、資格によっては一定期間の研修と試験を受けるだけで取得できるものもあるので、介護職初心者でも挑戦しやすいです。
資格によっては手当の対象にならないこともあるので、事前に転職先の条件をよく確認しておくのがおすすめです。
介護職を転々とするのはまずい?介護職で転職を繰り返すデメリット
介護職で転職を繰り返すデメリットは次の3つです。
これから転職をしようと考えている人や3回以上転職経験がある人はデメリットを理解したうえで、本当に転職が必要か検討しましょう。
仕事が長続きしないイメージを持たれる
介護業界の転職難易度は比較的低い傾向ですが、転職回数が多すぎると「仕事が長続きしない」「すぐ辞める」などの悪いイメージを持たれてしまいます。
そのため、短い期間で転職を繰り返している人や3回以上転職経験がある人は注意しましょう。
ただし、転職理由が「キャリアアップしたい」「資格を活かせる仕事に就きたい」などポジティブな場合はマイナスイメージを払拭できる可能性が高いです。
転職ばかり繰り返していると出世が厳しくなる
短期間で転職ばかり繰り返していると、将来的に出世が厳しくなる可能性があります。
「ポジションアップや役職を与えてもすぐ辞めるのではないか」と思われてしまうからです。
また、一般的に30代から40代までがキャリア形成のラインになっており、30代〜40代で転職を繰り返す人を出世させる企業はほとんどいません。
出世したい人や役職がある仕事に就きたい人は本当に必要な転職か考え直しましょう。
転職先の選択肢が狭まる
転職先を決める際、自宅から通いやすいエリアで選ぶ人が多いです。
しかし、同じ地域内で転職を繰り返していると転職先の選択肢が少なくなるデメリットが生じます。
また、地域によっては介護施設が限られていたり、同じ系列の施設・事業所がある場合も多く、転職の選択肢が狭まります。
転職回数が多いと採用選考で不利になる?
介護職に就きたくても転職回数が気になって応募できない人や何回ぐらいから多いと思われるのか気になる人も多いでしょう。
転職回数が多いと採用選考で不利になるのか解説します。
介護職の平均転職回数
Leverages Medical Careが実施した「きらケア介護白書2022」によると、介護職員の転職回数は以下の結果になりました。
転職回数 | 割合 |
---|---|
1回 | 51.2% |
2回 | 18.8% |
3回 | 15% |
4回 | 6.5% |
5回以上 | 8.7% |
転職回数1回が最も多く、2〜3回転職している人が20%近くの割合でいることがわかります。
転職3〜5回以上は多いと判断される
転職経験がある介護職員はたくさんいますが、転職回数が3〜5回以上あると多いと判断されることがあるので注意しましょう。
一般的に年代別の平均転職回数は20〜30代が1〜2回、40代で3〜4回です。
そのため、20代30代で既に転職回数が3回以上、40代で5回以上転職している人は転職回数が多いと判断されてしまいます。
正しい転職回数を伝えなくていいと考える人もいますが雇用保険や源泉徴収、年金手帳などでバレてしまうので、絶対に嘘の転職回数を伝えないでください。
1年未満での転職も危険
1年未満で転職を繰り返す人も注意が必要です。
採用担当によっては転職回数より、仕事をどれだけ長く続けられたかを重要視する人がいるからです。
そのため、短期間で何度も転職を繰り返していると「忍耐力がない人」「長続きしない人」だと判断され、採用選考で不利になります。
新しい職場で仕事をはじめたら最低でも1年は働くよう努力しましょう。
転職しまくりから脱却!介護職転職を繰り返さない方法
転職を繰り返してしまう人は自分で働きづらい環境や合っていない職場を選んでいる可能性があります。
次の5つの方法を参考にして、介護職転職を繰り返さないよう実践してみましょう。
転職する理由・目的をはっきりさせる
理由や目的があやふやな状態で転職をしても仕事へのモチベーションが維持できず、また転職を繰り返してしまう可能性が高いです。
転職する理由や取りたいスキル・資格など、転職の目的をはっきりさせると自分の希望に合う転職先を見つけやすくなります。
また、 働く理由や目的ができると仕事で悩んだり、辛く感じても頑張れる理由になるので仕事を長く続けられるようになります。
退職理由は周りや環境のせいにしない
退職理由は周りや環境のせいにせず、自分で選んだ職場であることを自覚しましょう。
職場に馴染めなかったり、仕事で評価されなかったとしても、自分の働き方や人との接し方が原因で働きづらい環境を作ってしまっている可能性があるからです。
また、前職の不平不満を採用担当者に伝えても、いい印象は持ってもらえません。
そのため、まずは自分の言動や仕事への姿勢を見直すことからはじめましょう。
自分の強みを活かせる職場か確認する
就職・転職する際は自分の強みを活かせる職場を選びましょう。
強みを活かせる職場を選ぶことで仕事へのモチベーションを維持しやすくなり、長く働けるようになるからです。
経験値やスキルアップできると介護職としての自信もつくので、自然と転職を繰り返さなくなります。
妥協点を決めて働く
自分の希望する条件がすべて叶う職場は多くありません。
そのため、希望する条件に優先順位をつけ、妥協点を決めておくと理想に近い職場を見つけやすくなります。
また、妥協点を決めておくことで働くうえでの重要なポイントがわかり、働き方や仕事に対する姿勢を見つめ直せます。
介護職から一度離れてみるのもあり!
介護職として働いてみて自分の性格に合っていないと感じたり、しんどくなることが続くのであれば、一度介護職から離れてみましょう。
違う仕事に就くことで、どちらの仕事がより自分に合っているか比較できるからです。
さらに、介護業界は慢性的な人手不足が続いているので、経験者や有資格者であれば再就職の難易度も低いです。
何度も転職を繰り返すより、一度介護職を離れてから戻る方が無駄に転職するリスクを減らせます。
転職してもやっぱり介護に戻りたい!異業種から介護職に戻れる?
介護職を辞めて異業種へ転職しても、また介護職に戻ることは可能です。
ただし、転職理由や志望動機、キャリア形成など明確な理由や目的を持って介護職に戻る決意をしたことをアピールする必要があります。
ポジティブな転職理由であれば可能
「資格やスキルを活かした仕事がしたい」「介護職でキャリアアップしたい」などポジティブな転職理由であれば、異業種から介護職に戻ることは可能です。
また、転職理由では異業種で身につけた経験やスキルをどのように介護職で活かした行きたいかを伝えると、より効果的です。
志望動機でスキルややる気をアピールする
介護経験者であれば未経験者に比べて就職の難易度は低いですが、やる気がない人は採用してもらえません。
なぜ、介護職に戻りたいと思ったのか、介護職で学んだスキルを今後どのように活かしたいかなど、志望動機でスキルややる気をアピールしましょう。
介護職での経験談や利用者とのやり取りなど、具体的なエピソードを取り入れると志望動機の説得力が高まります。
長期的なキャリアアップをアピールする
異業種から介護職へ戻る際、介護職で長期的なキャリアアップを目指していることをアピールしましょう。
介護職員のなかには転職を繰り返す人が多いからです。
そのため、採用担当者は長く働く意思がある人や介護職でキャリアアップを目指している人を積極的に採用したいと考えています。
また、長期的なキャリアアップをアピールすることで、企業としてのキャリア教育や職場での役割を決めやすくなるので、採用してもらえる可能性が高まります。
介護福祉士やケアマネージャーなど資格取得を目指す
資格取得やスキルアップに意欲的な人材は採用されやすいです。
介護に関する資格は専門的なスキルや技術が必要で、資格によっては長い実務経験を求められる場合があり、簡単には取得できないからです。
また、資格を取得すれば難易度の高い介護サービスを提供できるようになるので、施設としては任せられる仕事が増えるメリットがあります。
資格取得やスキルアップに意欲的な人は重宝されます。
介護職で正社員・非正規どちらを選べばいい?
介護職で働く際、正社員か非正規のどちらの雇用形態を選べばいいのか迷う人が多いです。
正社員・非正規それぞれの良さや選ぶポイントを解説します。
介護正社員は負担が多い
正社員で募集されている求人も多くありますが、介護正社員の負担は多いです。
介護正社員の負担が多い理由は次のとおりです。
- 人手不足が原因で一人当たりの業務量が多い
- 残業・夜勤・休日出勤が多い
- 非正規が対応できなかった仕事が回ってくる
- 業務量が多いうえに、責任も重い
正社員は非正規に比べて給料や待遇がいいイメージを持っている人が多いですが、近年の介護業界では非正規の待遇が改善されてきています。
勤務条件や待遇で必ずしも正社員が有利ということはなく、むしろ負担が多い雇用形態と考える人が多いです。
非正規の方が働き方を選びやすい
正社員は決められたシフトで働きますが、非正規であれば出勤日数や勤務時間を自分で調整できます。
そのため、家庭や育児などで忙しい人は非正規の介護職がおすすめです。
介護労働安定センターが実施した「令和元年度 介護労働実態調査結果」によると、正社員と非正規の残業の有無ついて、以下の結果が報告されています。
「残業なし」と答えた人の割合 | |
---|---|
正社員 | 48.4% |
非正規 | 74.2% |
正社員と非正規では残業に30%近く差があり、非正規の方が負担なく働けていることがわかります。
非正規・介護派遣でも高収入を狙える
正社員であれば毎月安定した収入を得られるので、非正規より雇用条件がいいイメージがあります。
しかし、介護業界は非正規や介護派遣への待遇改善が進んでいるので、正社員と変わらないもしくは高収入を狙える可能性が高いです。
また、正社員でなくても福利厚生を利用できたり、ボーナスがもらえる職場もあります。
非正規や介護派遣は人手が不足している部署へスポット的に雇えるので、時給相場が高く設定されており、短い勤務時間でも稼げます。
パート・派遣からでも正社員は目指せる
介護職は条件さえ満たせば、パートや派遣からでも正社員になれます。
そのため、いきなり正社員になるのが不安な人はまず、パートや派遣から介護職をはじめるのがおすすめです。
正社員は退職手続きが面倒で、辞めたいと思ってもすぐには退職できないからです。
パートや派遣で働きはじめて、いい職場だと思えたら正社員になりたい旨を相談してみましょう。
介護業界で転職を繰り返すと不利になる理由のまとめ
介護職はやりがいを感じられることが多い反面、身体的・精神的負担が多い仕事です。
そのため、仕事内容や職場が合わないと感じ、転職を繰り返す人がたくさんいます。
しかし、転職ばかり繰り返していると忍耐力や責任感がない人だと思われたり、採用してもすぐ辞めてしまう人だとマイナスなイメージを持たれてしまいます。
無意味に転職を繰り返さないためにも働く条件の優先順位を決めて、自分の強みやスキルを活かせる職場を見つけましょう。