この記事の結論

この記事で分かること

  • 資格の種類は多く見えますが、土台になる道筋は1本です。認知症介護基礎研修→初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネジャーの順に進みます。
  • この順番には意味があります。初任者研修を修了すると実務者研修の130時間分が免除され、費用が下がります。飛ばすと高くつきます。
  • 無資格でも施設介護なら働けます。ただし訪問介護は初任者研修以上が必須で、ここが最初の分かれ道です。
  • ケアマネの受験に必要な実務経験は、介護福祉士を取得した後の期間しか算入されません。資格を早く取るほど、将来の選択肢が広がります。
  • すべての資格を取る必要はありません。働く場所が決まっていない段階で専門分野の資格に手を出すと、費用と時間が無駄になりやすくなります。

「介護の資格、種類が多すぎて分からない」
「まず何から取ればいいの?」
「全部取らないとダメ?」

安心してください。資格の種類は多く見えますが、キャリアの土台になる道筋は1本です。

認知症介護基礎研修 → 介護職員初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士 → ケアマネジャー。この順に進むだけで、介護のキャリアはひととおり開きます。

そしてこの順番には意味があります。初任者研修を修了していると、実務者研修の130時間分が免除され、費用が下がります。順番を飛ばすと、かえって高くつきます。

この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、1本道の中身と、急いで取る必要のない資格の見分け方までお伝えします。

この記事で参照した公開情報(2026年8月26日確認)
・介護職員初任者研修:10科目・130時間/実務者研修:20科目・450時間以上(保有資格による科目免除あり)
・介護福祉士国家試験(実務経験ルート):実務経験3年以上+実務者研修の修了/受験手数料18,380円
・介護支援専門員:国家資格に基づく業務等に5年以上かつ900日以上(資格取得後の期間)
・認知症介護基礎研修:2024年4月完全施行。無資格で介護に直接携わる職員への受講が事業者の義務

要件・時間数・費用は制度改正および実施機関により異なることがあります。受講・受験の前に、実施主体(都道府県等)が公表する最新の情報を必ずご確認ください。

結論|迷ったら介護職員初任者研修から。理由は費用です

順番資格・研修要件できるようになること
0無資格施設介護で働けます(訪問介護は不可
1認知症介護基礎研修短時間・eラーニング可義務化への対応。認知症ケアの基礎
2介護職員初任者研修130時間訪問介護に従事できる/資格手当/実務者研修の免除
3実務者研修450時間(初任者研修修了で130時間免除サービス提供責任者/介護福祉士の受験要件
4介護福祉士実務経験3年以上+実務者研修国家資格。処遇改善の配分でも評価されやすい
5介護支援専門員(ケアマネ)介護福祉士取得後に5年以上かつ900日以上現場の介助業務から離れられる

なぜ初任者研修からなのか

実務者研修の費用が下がるからです。実務者研修は450時間ですが、初任者研修を修了していると130時間分が免除されます。

進め方実務者研修の受講時間費用の傾向
初任者研修 → 実務者研修免除により短縮2段階に分散し、合計も抑えられます
いきなり実務者研修450時間すべて一度に高額になります

受講料は保有資格により3万〜18万円程度と幅が出ます。「どこが安いか」を探す前に、「自分の場合はいくらか」を教室に確認してください。

最初の分かれ道|訪問介護をやるなら資格が必須です

働く場所無資格で働けるか身体的負担
特別養護老人ホーム働けます重い
介護老人保健施設働けます中〜重い
有料老人ホーム働けます
グループホーム働けます
デイサービス働けます軽い
訪問介護働けません(初任者研修以上が必須)

「まず訪問介護で働きたい」と考えている方は、先に資格を取る必要があります。ここが最初の分かれ道です。

認知症介護基礎研修|無資格で入職したら、これが最初になります

2024年4月に完全施行された制度で、無資格で介護に直接携わる職員に受講させることが事業者の義務とされています。

項目内容
誰が対象か医療・福祉の資格を持たず、身体介護や生活援助に直接携わる職員
いつまでに新規採用者は採用から1年以内が目安
対象外介護福祉士、初任者研修・実務者研修修了者、看護師などの有資格者
受講方法多くの自治体でeラーニングによる受講が可能です
費用事業者が負担する例が多く見られます

「無資格では働けなくなる」という説明を見かけますが、正確ではありません。いまも無資格で就職できます。義務を負っているのは事業者側です。

介護職員初任者研修|介護を続けるなら最初に取るべき資格です

項目内容
時間10科目・130時間(講義約55時間/演習約75時間)
期間の目安短期集中で1か月程度/週1回で3〜4か月程度
受講資格年齢・学歴・実務経験の制限はありません
修了評価1時間程度の筆記試験。落とすための試験ではありません
取ると何が変わるか訪問介護に従事できる/資格手当/実務者研修の科目免除

申し込むときに最も重要なのは「振替受講ができるか」です。介護の現場は急なシフト変更が起こります。振替の可否・回数の上限・追加費用を必ず確認してください。

実務者研修|介護福祉士を目指すなら避けて通れません

項目内容
時間20科目・450時間以上(保有資格により免除あり)
位置づけ介護福祉士を実務経験ルートで受験するには必須
医療的ケアカリキュラムに含まれます(講義・演習)
取ると何が変わるかサービス提供責任者に就任できる
期間の目安初任者研修修了者で6か月程度

注意点があります。実務者研修の医療的ケアは講義と演習が中心です。実際に喀痰吸引などを業務として行うには、実地研修の修了など別の要件を満たす必要があります。「修了すれば現場で実施できる」わけではありません。

介護福祉士|国家資格。ここから選択肢が大きく広がります

項目内容
受験要件(実務経験ルート)実務経験3年以上+実務者研修の修了
受験手数料18,380円(2026年8月時点)
試験年1回。合格後に登録の手続きが必要です
取ると何が変わるか資格手当/処遇改善加算の配分/サービス提供責任者/ケアマネの受験要件

受験の申し込みで見落としやすいこと

実務経験証明書は、退職した職場の分も必要になります。法人が変わっていたり担当者が把握していなかったりすると、取り寄せに時間がかかります。申し込みの受付期間に間に合わないと、受験は翌年です。

ケアマネジャー|受験要件で最も誤解されている点

要件内容
従事期間5年以上
従事日数900日以上
関係両方を満たす必要があります
算入される期間介護福祉士などの資格を取得した後の期間のみ

最後の行が最も誤解されています。介護福祉士を取得する前の実務経験は算入されません。

「介護の仕事を10年やってきたから受験できる」と思っていたら、介護福祉士を取ったのが3年前で、算入されるのは3年分だけだった——これは実際に起きています。

だからこそ、資格は早く取るほど将来の選択肢が広がります。これがこの記事で最もお伝えしたい点です。

1本道から外れる資格|取る前に「目的があるか」を確認してください

介護の分野には多くの資格があります。ただし、すべてを取る必要はありません。

資格誰に向くかいつ取るか
喀痰吸引等研修医療的ケアの必要な利用者が多い職場の方職場で必要になったとき
福祉用具専門相談員用具の提案に関わりたい方介護福祉士は該当資格として認められています
介護予防運動指導員デイサービス・デイケアで運動を担当している方受講資格があるため、要件を満たしてから
福祉住環境コーディネーター住宅改修の提案に関心がある方受験資格の制限なし
認知症介護実践者研修認知症ケアを深めたい方実務経験の要件あり。職場を通じて申し込むことが多い
社会福祉士相談援助の職種に移りたい方取得の負担が大きい。目的が明確になってから

働く場所が決まっていないうちは、専門資格を急がないでください

「資格が多いほど有利」ではありません。資格手当の対象になるとは限らず、就職で評価される範囲も職場によって変わります。

まず初任者研修と実務者研修という土台を固める。進みたい方向が見えてから専門資格を検討する。この順番のほうが、費用も時間も無駄になりません。

費用の全体像|どこにいくらかかるか

段階費用の目安負担を減らす方法
認知症介護基礎研修実施主体により異なります事業者が負担する例が多い
初任者研修数万円〜十数万円資格取得支援/教育訓練給付制度/自治体の助成
実務者研修保有資格により3万〜18万円程度初任者研修の修了で下がります
介護福祉士受験手数料18,380円+登録の費用
ケアマネジャー受験手数料+実務研修の費用都道府県により異なります

費用は実施機関・自治体・年度により異なります。最新の金額は各実施機関でご確認ください。

勤務先の資格取得支援制度を必ず確認してください。費用の補助、受講日の勤務扱い、シフトの調整といった形で負担が大きく下がります。ただし「取得後◯年以内に退職した場合は費用を返還」という取り決めがあることがあります。金額と期間を、就業規則または書面で確認してから申し込んでください。

資格を取る前に、現場を見ておく方法もあります

130時間と数万円をかける前に、「そもそも自分に介護が合うのか」を確かめたいという方も多いと思います。

無資格でも、施設介護であれば働けます。先に現場に入ってから資格を取る、という順番も選べます。

スキマかんごでは、介護助手・看護助手を含む1日単位ではたらける単発のお仕事と、掲載施設へ直接応募できる求人をご案内しています。「1日だけ現場を見てから、資格を取るか決める」という進め方ができます。担当者からの営業連絡はありません。

よくある質問

介護の資格は何から取ればいいですか?

介護職員初任者研修からです。約130時間のカリキュラムで、介護の基礎を体系的に学べます。これを修了すると訪問介護に従事でき、実務者研修を受ける際に130時間分の科目が免除されて費用も下がります。なお無資格で入職した場合は、事業者に認知症介護基礎研修を受講させる義務があるため、先にそちらを受けることになります。

無資格でも介護の仕事はできますか?

施設介護(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービスなど)は無資格でも働けます。ただし訪問介護は無資格では従事できず、介護職員初任者研修以上の資格が必要です。また2024年4月から、無資格で介護に直接携わる職員には認知症介護基礎研修を受講させることが事業者の義務となっています(新規採用者は入職から1年以内)。

資格を取る順番に決まりはありますか?

法律上の決まりはありませんが、費用と時間の面で合理的な順番があります。初任者研修→実務者研修→介護福祉士の順です。初任者研修を修了していると実務者研修の科目が130時間分免除され、受講料が下がります。いきなり実務者研修を受けることもできますが、その場合は450時間すべてを受講することになります。

介護で一番簡単に取れる資格は何ですか?

受講時間で言えば認知症介護基礎研修が最も短く、多くの自治体でeラーニングによる受講が可能です。ただしこれは義務化への対応が主目的で、資格手当の対象になることは少なくなります。就職や給与に効く資格としては、介護職員初任者研修が最初の一歩になります。

独学で取れる介護の資格はありますか?

介護福祉士は国家試験に合格すれば取得できますが、受験には実務経験3年以上と実務者研修の修了が必要なため、実質的に研修の受講は避けられません。初任者研修や実務者研修は、指定された時間数の受講と修了試験が必要で、独学のみでは修了できません。実技演習は通学が必要です。

介護福祉士を持っていると取れる資格はありますか?

サービス提供責任者には追加の資格なしで就任できます。介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護福祉士取得後に5年以上かつ900日以上の実務経験で受験できます。福祉用具専門相談員の該当資格としても認められています。また上位資格として認定介護福祉士があります。

取らなくてもよい資格はありますか?

働く場所や方向性が決まっていない段階で、専門分野の民間資格に手を出すのはおすすめしません。介護の分野には多くの民間資格がありますが、資格手当の対象になるとは限らず、就職で評価される範囲も限定的です。まず初任者研修と実務者研修という土台を固め、進みたい方向が見えてから専門資格を検討してください。

働きながら資格を取れますか?

取れます。多くの教室が週1回コース、土日コース、通信と通学の組み合わせを用意しています。ただし実技演習は通学が必要です。介護の現場は急なシフト変更が起こるため、申し込む前に「振替受講は可能か、回数の上限や追加費用はあるか」を必ず確認してください。ここが最もつまずきやすい点です。

まとめ|迷ったら初任者研修から。順番には費用の理由があります

  • 土台になる道筋は1本です。認知症介護基礎研修→初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネジャー
  • 初任者研修を修了すると実務者研修の130時間分が免除され、費用が下がります。飛ばすと高くつきます
  • 無資格でも施設介護なら働けます。ただし訪問介護は初任者研修以上が必須です
  • ケアマネの実務経験は、介護福祉士を取得した後の期間しか算入されません。早く取るほど選択肢が広がります
  • 専門資格は、働く方向が見えてから。「資格が多いほど有利」ではありません
  • 費用は勤務先の資格取得支援で大きく下がります。返還条件を書面で確認してください

資格の一覧を見ると数十種類あって圧倒されますが、実際に順番を気にする必要があるのは5つだけです。残りは、進む方向が決まってから考えれば足ります。

そして最後にもう一度お伝えします。資格を取る時期そのものが、将来の受験要件に効いてきます。「いつか取ろう」と先延ばしにすると、ケアマネまでの道のりがそのぶん遅くなります。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

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