介護職員意見交換グループ,太田

2万人の介護グループを運営|無償で管理人を引き受ける歯科医師の想い

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2020年7月06日時点で登録者数1.9万人のFacebookグループ「介護現場から聞く〜意見交換・相談〜」の管理者である太田博見さんにインタビューを敢行しました。

介護職員の交流の場所を作成したきっかけから、管理人としてのエピソード・グループのビジョンまで余すことなくお話をお聞きしました。

介護職員意見交換グループを作ろうと思った経緯

介護職員の意見交換グループの創設の経緯について太田さんは次のように語ります。

太田さん 元々介護職員意見交換グループを創設したのは自分ではなく、恩師に当たる方でした。

2014年にNHKで、コミュニティ・ソーシャルワーカーの仕事を主人公にした深田恭子さん主演の「サイレントプア」というドラマがあり、

その恩師がこのドラマに強く感銘を受け、ドラマの感想について意見交換をしあう場所として意見交換グループを創設したのが今のグループの原型になります。

その当時は500名くらいの規模でドラマの感想を言い合ったり、自分たちの住んでいる地域のCSWについて意見交換をしていました。

最初から介護職員の意見交換の場所ではなく、あくまでドラマの感想を言い合う場所であったという意見交換グループ。

そこから介護現場意見交換の場所に変わった経緯について、太田さんは次のように語ります。

太田さん グループに参加している介護職員には「他の現場はどうなんだろう?」などの『他の施設の取り組みや様子を知りたい』という潜在的なニーズがあったんだと思います。

本来はドラマの意見交換を言い合う場所でしたが、自然に「他の現場ではどうですか?」といった介護に関する投稿が増えていきました。

自分たちが意図して介護現場の意見交換の場にしたというより、自然に他の現場の様子を尋ねる質問が溜まっていき、介護現場の意見交換の場になったという形になります。

そして管理人が別の人に変わっていく中で、参加者が1500人の時に自分が引き継いだという流れになります。

管理人としてのエピソード

現場スタッフの声を生々しく理解できた

1.9万人のグループを運営する中で良かった点について太田さんはこう語ります。

太田さん 自分は法人の中でデイサービスを経営しています。自分自身現場で働いた経験がないため、現場の介護職員の心情を理解しづらいことがありました。

そのためグループを管理する中で、他の現場のスタッフも含めて現場スタッフの声を生々しく理解できたことは一経営者としてとても学びになりました。

現場で働くスタッフの気持ちを理解する助けになり良かったと感じています。

グループ内のルール変更

グループ内の管理について「管理人の仲間を増やし、ルール・制度を改正しながらコミュニティ内の秩序を保っていった」と太田さんは語ります。

太田さん 愚痴1つの投稿でも、投稿した側は「愚痴を誰かに聞いてほしい、吐き出したしたい」という理由から投稿しています。ただ見る側としては「ネガティブな情報を見たくはない」という思いを持つ人もいます。

投稿者側と見る側の対立などが原因で、グループの参加者同士が揉めたことは多々あります。

またグループの中で「介護職は〇〇だ!」と決めつけるような投稿が原因で炎上したこともあります。

他にも見知らぬ人に直接メッセージを送ったり、いきなり電話をかけたり、その人の居るところまで会いに行ったり、「死にたい・自殺したい」などの書き込みも投稿されたりします。

そのため「相手を傷つける行為を繰り返した際には退会措置を行う」と警告するイエローカード制度も作成しました。

客観的にみても「どちらが正しいか?」を一概に判断できないことが増え、どちらの意見を尊重すべきかについて迷ったこともあります。

その度にルールを見直し改正しました。雑談だけのグループ・愚痴だけのグループなど目的別にグループを作成し、姉妹グループなども作成しました。

人数の増加に伴い管理者も増やした

太田さんはFacebookグループ内の人数増加に伴い、体制を次第に変更していきました。

太田さん 人数が2万人近くのグループになったことから、自分だけで運営することは難しいと判断し管理人のメンバーも増やしました。

グループ内で管理人を募りながら、現在では数名の体制でグループを運営しています。

リアルではお会いしたことのないメンバーもいらっしゃいますが、メッセンジャーなどを駆使しながら、グループのルールや運営について常に議論しています。

今はお互いの強みを活かしながら運営しています。また方針について迷ったときは、グループの中でアンケートを取って方針を決めたりもします。

意見交換グループ管理人としての将来のビジョン

引用:介護現場から聞く〜意見交換・相談〜

炎上やグループメンバー同士のトラブルがありながらも、無償で1.9万人の介護職員意見交換グループを管理する太田さん。

これからも管理人を続けるのは、グループを通じて成し遂げたい3つのビジョンがあるからだと言います。

太田さん グループの管理人を続けるのは、主に3つのグループへの想いや理由があります。

  1. 介護経営者と現場の人たちがディスカッションができる場にしたい
  2. 有権者として、介護に関わる政策について議論ができる場所にしたい
  3. 雇用の流動性を高める場所にしたい

1つ目が「介護経営者と現場の人たちがディスカッションができる場にしたい」ことです。

介護現場では、経営者が現場のスタッフから労働力を搾取し儲けている、といった議論が度々起こります。

ただ私は「現場のスタッフも経営者もどちらも頑張っている。だから双方が手を取り合ってしっかりとディスカッションをし、より介護業界が良い方向に導くのが良い」と考えています。

意見交換グループを経営者と現場のスタッフがしっかりとディスカッションできる場所にしていきたいと思っています。

2つ目が「有権者として介護に関わる政策についてしっかりと議論する場所にしたい」ということです。

どこの党を特別に応援するといった話ではなく、どういった政策を実施していけばいいのか。

政策に関する意見などこの意見交換グループでディスカッションをし、自分たち介護職に関係する政策について理解を深めていける場所にしたいと考えています。

3つ目が「雇用の流動性を高める場所にしたい」ということです。

原則、意見交換グループでは職場の宣伝や採用情報の掲載を許可しています。

このグループを通じて今の職場に不満のある人に視野を広く持ってもらい、より自分にあった施設に転職ができればいいなと考えています。

最終的にグループを通じて成し遂げたいことは、グループが盛り上がることではなく、グループに参加している人の悩みが解消されその職員さんの職場が良くなることだと考えています。

「グループに参加する介護関係者の職場や現場が良くなることが最終的なビジョン」と太田さんは語ってくれました。

介護業界で働く多様な人々が活発に意見交換をする場を、太田さんは今も作り続けています。


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