この記事の結論

この記事で分かること

  • 夜勤職員の基準は施設種別と規模で決まっています。従来型の特養は利用者25以下で1以上、26〜60で2以上、61〜80で3以上です。
  • グループホームは共同生活住居(ユニット)ごとに1以上。9人を1人で見る体制が制度上成り立ちます。
  • 介護施設は2交代・16時間夜勤が主流で、うち2時間程度が休憩(仮眠を含む)です。
  • 深夜割増(22時〜5時・25%以上)は法律上の義務。夜勤手当は事業所が独自に決めるもので、法令上の額の定めはありません。
  • 「宿直」は労働基準監督署の許可を受けたものだけ。許可がなければ法律上は通常の夜勤です(深夜割増と有給は宿直でも適用されます)。
  • きついのは深夜ではなく、夕方と朝の2つの山です。日勤より少ない人数でこなします。

「介護の夜勤って、1人でやるの?」
「16時間って本当?途中で寝られるの?」
「求人票の『宿直』って、夜勤と違うの?」

介護の夜勤で最初に知っておくべきことは、「何人体制か」が施設の種別と規模で決まっているという点です。

厚生労働大臣が定める基準では、従来型の特別養護老人ホームは利用者25人以下で夜勤職員1以上、26〜60人で2以上、61〜80人で3以上。つまり利用者60人の特養なら、夜勤は2人で基準を満たします。グループホームは共同生活住居(ユニット)ごとに1以上——1ユニット9人を1人で見る、という体制です。

そしてもう一つ、求人票で見落とされやすいのが「宿直」と「夜勤」の違いです。宿直は労働基準法41条第3号に基づき、労働基準監督署長の許可を受けた場合にだけ、労働時間・休憩・休日の規定が適用除外になる働き方です。許可がなければ、それは宿直ではなく通常の夜勤です。

この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、1日の流れ、施設種別ごとの夜勤職員の基準、手当の仕組み、宿直との違い、そして応募前に確認すべきことを整理します。

この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)より
 従来型の指定介護老人福祉施設(特養):利用者の数が25以下は1以上26以上60以下は2以上61以上80以下は3以上
 ユニット型の指定介護老人福祉施設2のユニットごとに、夜勤を行う介護職員又は看護職員の数が1以上
 指定介護老人保健施設:利用者等の数が40以下で常時、緊急時の連絡体制を整備しているものは1以上、その他は2以上
 指定認知症対応型共同生活介護(グループホーム):事業所を構成する共同生活住居ごとに1以上
労働基準法第37条第4項22時から5時までの深夜労働には25%以上の割増賃金が必要です
労働基準法第41条第3号:監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたものは、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外となります。許可を受けていなければ適用除外にはなりません
・同条に該当する場合でも、深夜割増賃金(第37条)と年次有給休暇(第39条)は適用されます
介護職の夜勤回数について、法令上の上限は定められていません。実質的な上限は労働時間の上限と事業所の夜勤協定で決まります

配置基準・加算の要件は介護報酬改定により変わることがあります。宿日直の許可の有無や運用は事業所により異なります。個別の労働条件については、必ず応募先および労働条件通知書でご確認ください。労働条件に疑問がある場合は、所轄の労働基準監督署にご相談ください。

結論|「何人体制か」は施設の種別と規模で決まります

施設夜勤職員の基準実際のイメージ
特養(従来型)利用者25以下は1以上/26〜60は2以上/61〜80は3以上利用者60人なら2人
特養(ユニット型)2ユニットごとに1以上4ユニット(約40人)なら2人
老健利用者40以下+緊急時連絡体制ありは1以上、その他は2以上規模により2人以上
グループホーム共同生活住居(ユニット)ごとに1以上1ユニット9人を1人で

出典:厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)。上記は基準上の最低人数で、実際の配置は事業所により異なります。

これは「最低これだけ置きなさい」という基準です。多くの事業所は基準ぎりぎりで運用しているため、求人票を見るときは「利用者数」と「夜勤の人数」をセットで確認してください。

16時間夜勤とは|2交代制の仕組み

2交代制3交代制
1回の夜勤約16時間(休憩を含む)約8時間
回数月4〜5回程度が一般的月8〜10回程度
拘束1回が長い1回は短いが回数が多い
明けの扱い夜勤明けの日は勤務がないことが多い準夜・深夜で生活リズムが崩れやすい
介護施設での採用2交代が主流です採用している施設もあります

16時間の内訳

たとえば16時30分〜翌9時30分のような勤務です。この中に休憩(仮眠を含む)が2時間程度組み込まれているのが一般的です。

  • 休憩時間は労働時間に含まれません。16時間拘束でも、労働時間は14時間程度という計算になります
  • 仮眠室があるか、実際に休憩が取れているかは事業所によって大きく違います
  • 「休憩2時間」と書かれていても、コールが鳴れば対応することになります
  • 休憩が取れていない状態は、労働時間として扱われるべきものです

夜勤中の休憩は、実際に取れていますか。仮眠室はありますか。休憩中にコール対応が発生した場合、どのように扱われていますか」

1日の流れ(特養・16時間夜勤の例)

時間帯業務
16:30出勤、日勤からの申し送り
17:00〜19:00夕食の準備・食事介助・服薬介助、口腔ケア
19:00〜21:00排泄介助、就寝の準備、着替え、居室への誘導
21:00〜翌6:00巡視(2時間おきなど)、体位変換、おむつ交換、コール対応、記録
(うち2時間程度)休憩・仮眠
6:00〜8:00起床介助、着替え、洗面、朝食の準備・食事介助・服薬介助
8:30〜9:30日勤への申し送り、記録の仕上げ、退勤

夜勤の負担は「静かな時間」にはありません

夜勤がきついと言われる理由は、深夜にやることがないからではありません。逆です。

  • 夕方から就寝までと、起床から朝食までが最も忙しい時間帯です
  • この2つの山を、日勤より少ない人数でこなします
  • 深夜帯も巡視・体位変換・おむつ交換・コール対応が続きます
  • 体調不良や転倒があれば、その対応が加わります

手当の仕組み|深夜割増と夜勤手当は別です

深夜割増賃金夜勤手当
根拠労働基準法第37条第4項事業所が独自に定めるもの
対象22時〜5時の労働夜勤1回ごと
金額25%以上の割増法令の定めはありません
支払い法律上の義務事業所の判断

深夜割増は法律上必ず支払われます。一方、夜勤手当(1回◯円)の額は事業所が決めるものです。求人票の「夜勤手当」だけを見ても、深夜割増が別に支払われるのかが分かりません。

夜勤手当は1回いくらでしょうか。深夜割増賃金は、夜勤手当とは別に支給されますか。それとも夜勤手当に含まれる形でしょうか」

回数の上限は法律にありません

介護職の夜勤回数について、法令上の上限は定められていません。看護師の「月平均夜勤時間数72時間」のような規定は、介護職にはありません。

実質的な上限は、労働時間の上限(法定労働時間および36協定の範囲)と、事業所ごとの夜勤協定で決まります。夜勤を集中させる働き方は介護の夜勤専従は月何回まで?で詳しく扱っています。

「宿直」と「夜勤」は別物です

ここが求人票で最も注意すべき点です。

夜勤宿直(許可を受けたもの)
根拠通常の労働労働基準法第41条第3号(監視又は断続的労働)
前提使用者が行政官庁(労働基準監督署長)の許可を受けていること
労働時間・休憩・休日の規定適用されます適用除外になります
深夜割増適用されます適用されます
年次有給休暇適用されます適用されます
業務の中身通常の介護業務ほとんど労働する必要のない、待機が中心の業務

許可がなければ、それは宿直ではありません

労働基準法第41条第3号の適用除外は、「使用者が行政官庁の許可を受けたもの」に限られます。

  • 許可を受けていない「宿直」は、法律上は通常の労働です。労働時間・休憩・休日の規定が適用されます
  • 実態が通常の介護業務であれば、宿直としては認められません
  • おむつ交換や体位変換、頻繁なコール対応が続く状態は、待機が中心とは言えません
  • グループホームや有料老人ホームで「宿直」として募集されている場合、実態と許可の有無を確認する価値があります

こちらの宿直は、労働基準監督署の許可を受けたものでしょうか。宿直中の業務内容と、実際にどの程度対応が発生するかを教えてください」

個別の勤務が宿直に当たるかどうかは、許可の有無と実際の業務内容により判断されます。疑問がある場合は、所轄の労働基準監督署にご相談ください。

施設種別ごとの夜勤の違い

施設夜勤の特徴
特養(従来型)人数が多く、フロアを分担。介護度が高く、体位変換とおむつ交換が中心
特養(ユニット型)2ユニットを1人で見ることになり、移動が発生します
老健医療依存度が高め。看護職員が夜勤に入る施設もあります
グループホーム1ユニット(5〜9人)を1人で。調理を担当することもあります
有料老人ホーム・サ高住介護度の幅が広く、施設により差が大きい
小規模多機能型居宅介護宿泊・通い・訪問が混在し、動きが読みにくくなります

グループホームの1人夜勤について

基準では共同生活住居ごとに夜勤職員1以上とされています。1ユニットは5〜9人ですから、9人を1人で見る夜勤が制度上は成り立ちます。

  • 認知症のある方が中心のため、夜間の行動への対応が発生します
  • 急変時に相談できる職員がその場にいません
  • オンコール(管理者・看護師)の体制があるかを必ず確認してください
  • 調理や洗濯を担当する事業所もあります

夜勤記録で書くこと

夜勤の記録は、日勤に引き継ぐための情報です。何を書くかは決まっています。

書くことポイント
いつもと違ったこと時刻と、具体的に何が違ったかを書きます
睡眠の状況入眠・覚醒の時刻、途中で起きた回数
排泄回数、性状、失禁の有無
食事・水分摂取量(朝食)
訴え・行動本人の言葉をそのまま書きます
体調バイタル、発熱、痛みの訴え
対応したこと何をして、その後どうなったか

書けなくなるのは「変化がなかった」とき

(伝わらない例)変化なく経過。

(伝わる例)21時30分に入眠。深夜1時と4時の巡視時、いずれも入眠を確認。2時ごろに1回覚醒され「トイレに行きたい」と訴えあり、誘導して排尿あり。その後再入眠され、6時の起床まで覚醒なし。

「変化なし」でも、いつ確認して、どうだったかを書けば記録になります。時刻を入れることが最も簡単な改善です。

夜勤明けの過ごし方

  • 帰宅後すぐ長時間寝ると、夜に眠れなくなります。2〜3時間の仮眠にとどめる方法がよく使われます
  • 帰り道の運転は事故のリスクが高くなります。眠気が強いときは仮眠してから帰ることも検討してください
  • 明けの日を「休み」と数える事業所と、勤務日として扱う事業所があります
  • 連続で夜勤に入る場合は、間の休息時間を確認してください

応募前に確認すべき10項目

  • 利用者数と、夜勤の人数(基準ぎりぎりかどうか)
  • 2交代(16時間)か3交代(8時間)か
  • 夜勤は月何回か
  • 夜勤手当は1回いくらか。深夜割増は別に支給されるか
  • 休憩・仮眠は実際に取れているか。仮眠室はあるか
  • 「宿直」の場合、労働基準監督署の許可を受けているか
  • □ 夜間のオンコール体制(看護師・管理者)
  • □ 夜勤明けの日の扱い
  • □ 独り立ちまでの期間と、同行の回数
  • □ 記録は紙かソフトか

面接での聞き方は介護職の面接で聞かれる質問、入職前の確認事項は介護の転職で後悔する原因は入職前に9割わかりますにまとめています。

夜勤なしで働くという選択

夜勤を外すと収入は下がりますが、選択肢はあります。

働き方特徴
デイサービス夜勤なし。日曜・祝日が休みの事業所が多い
訪問介護日中中心。事業所により夜間対応があります(訪問介護への転職
生活相談員原則夜勤なし。平均給与額353,950円生活相談員とは
介護事務夜勤なし。ただし給与は下がります(介護事務とは
福祉用具専門相談員夜勤なし(福祉用具専門相談員とは

介護職全体の給与水準は介護士の給料はいくら?、資格による差は介護福祉士の年収をご覧ください。

よくある質問

介護の夜勤は何人体制ですか?

施設の種別と規模で決まります。厚生労働大臣が定める基準では、従来型の特別養護老人ホームは利用者25人以下で1以上、26〜60人で2以上、61〜80人で3以上。ユニット型の特養は2ユニットごとに1以上。介護老人保健施設は利用者40人以下で常時緊急時の連絡体制を整備しているものは1以上、その他は2以上。グループホームは共同生活住居(ユニット)ごとに1以上です。これは最低基準で、実際の配置は事業所によります。

1人夜勤は違法ではないのですか?

基準を満たしていれば違法ではありません。グループホームは共同生活住居ごとに夜勤職員1以上とされているため、1ユニット(5〜9人)を1人で見る体制が制度上成り立ちます。従来型の特養でも利用者25人以下なら1人で基準を満たします。ただし急変時に相談できる職員がその場にいないため、オンコール体制があるかを必ず確認してください。

16時間夜勤の間、休憩は取れますか?

休憩(仮眠を含む)が2時間程度組み込まれているのが一般的ですが、実際に取れているかは事業所により大きく違います。「休憩2時間」と書かれていても、コールが鳴れば対応することになります。なお休憩が取れていない状態は、労働時間として扱われるべきものです。面接では「休憩は実際に取れているか」「仮眠室はあるか」「休憩中の対応はどう扱われるか」を確認してください。

夜勤手当と深夜割増は違うのですか?

別のものです。深夜割増賃金は労働基準法第37条第4項に基づき、22時から5時までの労働に25%以上の割増を支払うことが義務づけられています。一方、夜勤手当は事業所が独自に定めるもので、法令上の金額の定めはありません。求人票の「夜勤手当」だけでは深夜割増が別に支払われるか分からないため、面接で確認してください。

「宿直」と「夜勤」は何が違いますか?

宿直は労働基準法第41条第3号の「監視又は断続的労働」にあたり、使用者が行政官庁(労働基準監督署長)の許可を受けた場合に限り、労働時間・休憩・休日の規定が適用除外になります。許可を受けていなければ、それは法律上は通常の労働です。また実態が通常の介護業務であれば宿直としては認められません。なお宿直に該当する場合でも、深夜割増賃金と年次有給休暇は適用されます。

夜勤の回数に上限はありますか?

介護職の夜勤回数について、法令上の上限は定められていません。看護師の「月平均夜勤時間数72時間」のような規定は介護職にはありません。実質的な上限は、労働時間の上限(法定労働時間および36協定の範囲)と、事業所ごとに締結されている夜勤協定によって決まります。2交代の16時間夜勤であれば月4〜5回程度が一般的ですが、事業所により異なります。

夜勤のどこがいちばんきついですか?

深夜の静かな時間ではなく、夕方から就寝までと、起床から朝食までの2つの時間帯です。夕食の準備・食事介助・服薬介助・排泄介助・就寝準備が続き、朝は起床介助・着替え・洗面・朝食が続きます。この2つの山を日勤より少ない人数でこなすことが、夜勤の負担の中心です。

夜勤記録には何を書けばよいですか?

日勤に引き継ぐための情報を書きます。いつもと違ったこと(時刻と具体的な内容)、睡眠の状況(入眠・覚醒の時刻)、排泄、朝食の摂取量、本人の訴えや行動、体調、対応したことと結果です。「変化なく経過」だけでは伝わりません。時刻を入れて「21時30分に入眠、深夜1時と4時の巡視時いずれも入眠を確認」と書けば、それだけで記録になります。

まとめ|求人票では「利用者数」と「夜勤の人数」をセットで見てください

  • 夜勤職員の基準は施設種別と規模で決まっています(特養従来型は26〜60人で2以上など)
  • グループホームは共同生活住居ごとに1以上。9人を1人で見る体制が制度上成り立ちます
  • 介護施設は2交代・16時間夜勤が主流。うち2時間程度が休憩です
  • 深夜割増(22時〜5時・25%以上)は法律上の義務。夜勤手当は事業所が決めます
  • 「宿直」は労働基準監督署の許可を受けたものだけ。許可がなければ通常の夜勤です
  • きついのは深夜ではなく、夕方と朝の2つの山です

夜勤の負担は、体力より「何人で、何人を見るか」でほぼ決まります。求人票の手当の額より先に、利用者数と夜勤の人数を聞いてください。夜勤を集中させる働き方は介護の夜勤専従は月何回まで?をご覧ください。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

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