この記事の結論
この記事で分かること
- 特養の看護職員は入所者30人以下で1以上、50人超130人以下で3以上。入所者100人でも3人で基準を満たします。
- 老健は看護・介護職員の総数の7分の2程度が看護職員。入所者100人なら約10人で、特養の3倍以上です。
- 特養に医師の常勤配置義務はありません。受診させるかどうかの判断を看護師が担う場面が多くなります。
- 「看護技術を使う量」は減り、「一人で判断する量」は増えます。ここが病院との最大の違いです。
- 夜間はオンコールの施設が多く、看護職員が3人なら3日に1回回ってくる計算になります。
- 施設選びでは入所者数・看護職員の人数・オンコールの実態を必ず確認してください。
「特養の看護師って、実際どんな仕事?」
「1人夜勤なのに、看護師は自分だけって本当?」
「老健とはどう違うの?」
介護施設で働く看護師の実際は、配置基準を見ると一気に分かります。
特別養護老人ホームの基準では、看護職員は入所者30人以下で1以上、30人超50人以下で2以上、50人超130人以下で3以上と定められています。つまり入所者100人の特養でも、看護職員は常勤換算で3人いれば基準を満たします。介護職員は「入所者3人に1人以上」ですから、人数の桁が違います。
そしてもう一つ。特養に医師の常勤配置は義務づけられていません。だから看護師の判断の重みが病院とはまったく違います。
この記事では、看護師の求人情報サービスを運営する立場から、特養・老健の配置基準、実際の業務、病院との違い、そして施設選びで見るべき数字を整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第2条より
介護職員及び看護職員の総数:常勤換算方法で、入所者の数が3又はその端数を増すごとに1以上
看護職員の数:入所者30人以下は常勤換算で1以上/30人超50人以下は2以上/50人超130人以下は3以上/130人超は3に、入所者の数が130を超えて50又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上
看護職員のうち1人以上は常勤の者でなければならない
・介護老人保健施設(老健):看護・介護職員は常勤換算方法で入所者の数が3又はその端数を増すごとに1以上。うち看護職員の員数は看護・介護職員の総数の7分の2程度を標準とされています
・厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」における看護師:推定年収 524万7,200円/きまって支給する現金給与額 月36万5,900円/所定内給与額 33万3,200円(差の3万2,700円が超過労働給与額)。勤務先の種別ごとの集計はありません
配置基準・加算の要件は介護報酬改定により変わることがあります。施設の運営や夜間の体制は事業者により異なります。個別の取扱いは応募先または指定権者にご確認ください。
結論|看護師の人数が少ない。だから判断の重みが違います
| 入所者数 | 看護職員(常勤換算) | 介護職員+看護職員の総数 |
|---|---|---|
| 30人以下 | 1以上 | 10以上 |
| 30人超50人以下 | 2以上 | 約17以上 |
| 50人超130人以下 | 3以上 | 約43以上(130人の場合) |
| 130人超 | 3+50人ごとに1追加 | 入所者3人に1人以上 |
出典:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第2条。総数の欄は「入所者3人に1人以上」から算出した目安です。看護職員のうち1人以上は常勤である必要があります。
入所者100人の施設で、看護職員は3人。この数字が、特養の看護師の働き方を決めています。
特養と老健の違い
| 特別養護老人ホーム | 介護老人保健施設 | |
|---|---|---|
| 施設の目的 | 生活の場(原則として終の住処) | 在宅復帰を目指す |
| 医師 | 常勤配置の義務はありません(配置医師) | 常勤の医師が配置されます |
| 看護職員の配置 | 入所者数に応じた区分(30人以下1以上など) | 看護・介護職員の総数の7分の2程度 |
| 看護師の比率 | 低い | 高い(100人規模で約10人) |
| リハビリ職 | 機能訓練指導員 | PT・OT・STが配置されます |
| 看取り | 看取り介護に関わることが多い | 在宅復帰が目的のため相対的に少ない |
老健のほうが看護師は多い
老健は「看護・介護職員の総数の7分の2程度」が看護職員とされています。入所者100人なら総数は約34人、その7分の2で看護職員は約10人という計算です。
特養(3人)と老健(約10人)で、3倍以上の差があります。「介護施設の看護師」と一括りにせず、種別で分けて考えてください。
仕事内容|医療処置より「判断」の比重が高くなります
日常的な業務
- バイタル測定、健康状態の観察
- 服薬管理(種類も人数も多く、時間がかかります)
- 褥瘡の処置、皮膚トラブルの対応
- 胃ろう・経管栄養の管理、インスリン注射
- 喀痰吸引(介護職員との連携。喀痰吸引等研修)
- 記録、家族への報告
特養で比重が大きい業務
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| 受診の判断 | 医師が常勤でないため、受診させるかどうかを看護師が判断する場面が多くなります |
| 配置医師への報告 | 状態の変化を整理して伝えます |
| 介護職員からの相談対応 | 「この人おかしい気がする」を受けて判断します |
| 看取りの支援 | 本人・家族の意向確認、状態の説明 |
| 受診の付き添い・調整 | 通院の手配、家族との連絡 |
| 感染対策 | 施設内での拡大を防ぐ体制づくり |
「看護技術を使う量」は病棟より減りますが、「一人で判断する量」は増えます。ここが最大の違いです。
夜間の体制を必ず確認してください
不利益になりやすい点なので、はっきり書きます。
| 夜間の体制 | 内容 |
|---|---|
| 看護師の夜勤あり | 施設内に看護師がいます |
| オンコール対応 | 自宅待機。呼ばれたら出勤、または電話で指示します |
| 夜間の看護体制なし | 介護職員が対応し、必要に応じて救急要請 |
オンコールが生活に効きます
- 看護職員が3人の施設では、オンコールが3日に1回回ってくる計算になります
- 当番の回数より「実際に電話が鳴る回数」を聞いてください
- 手当の額(待機1回・出動1回)も確認が必要です
- 夜勤がある施設では、看護師1人夜勤ということもあります
「看護職員は何名配置されていますか。夜間はオンコールですか、夜勤ですか。オンコールの当番は月何回で、実際に電話が鳴るのは平均何回くらいでしょうか」
「老健の看護師を辞めたい」と言われる理由
老健は看護師の人数が多い一方、別の負担があります。
- 在宅復帰が目的のため、入退所の入れ替わりが多い
- 3か月ごとの判定など、書類と会議が多い
- リハビリ職・介護職・支援相談員との調整が常時発生します
- 医療依存度の高い入所者が増えている
- 病院ほど設備が整っていないなかで、医療的な対応を求められます
「介護施設だから落ち着いている」というイメージで入ると、ずれます。種別ごとに負担の質が違います。
年収の考え方
厚生労働省の統計に、勤務先の種別ごとの看護師の年収はありません。構造から考えてください。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 夜勤手当 | 夜勤がある施設では乗ります(平均で月3万2,700円が超過労働給与額) |
| オンコール手当 | 待機1回・出動1回ごとに支給する形が一般的です |
| 賞与 | 法人の規模によります(企業規模10〜99人は年62万4,200円) |
| 基本給 | 法人の給与体系による |
比較の基準は看護師全体の推定年収524万7,200円、企業規模10〜99人の469万8,200円です。詳しくは勤務先別の看護師の給料をご覧ください。
施設選びで見るべき8項目
- □ 入所者数と、看護職員の人数(基準ぎりぎりかどうか)
- □ 夜間は夜勤かオンコールか
- □ オンコールの当番回数と、実際に鳴る回数
- □ オンコール手当(待機・出動それぞれ)
- □ 配置医師の来訪頻度(特養の場合)
- □ 看取りに関わるか。方針は決まっているか
- □ 喀痰吸引等研修の修了者が介護職員に何名いるか
- □ 医療依存度の高い入所者の割合
看護職員が基準ぎりぎりの人数で回っている施設は、休みが取りにくくなります。面接での聞き方は看護師の面接で聞かれる質問を参照してください。
向いている人
| 特徴 | |
|---|---|
| 向いている | 一人で判断できる/生活を支える看護に関心がある/介護職と協働できる/看取りに関わりたい/夜勤を減らしたい |
| つらくなりやすい | 医療技術を伸ばしたい/相談できる医療職がそばにいないと不安/オンコールが生活に響く/急変時に設備が足りないと感じる |
デイサービスの看護師についてはデイサービスの看護師、訪問看護は訪問看護への転職にまとめています。
よくある質問
特養の看護師の配置基準を教えてください。
指定介護老人福祉施設の基準では、看護職員は常勤換算方法で、入所者30人以下は1以上、30人超50人以下は2以上、50人超130人以下は3以上、130人超は3に入所者の数が130を超えて50又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上とされています。また看護職員のうち1人以上は常勤である必要があります。介護職員及び看護職員の総数は、入所者の数が3又はその端数を増すごとに1以上です。
特養と老健では、看護師の人数はどのくらい違いますか?
大きく違います。特養は入所者100人でも看護職員は3人いれば基準を満たします。老健は看護・介護職員の総数の7分の2程度が看護職員とされているため、入所者100人なら総数約34人のうち約10人が看護職員という計算になります。3倍以上の差があるため、「介護施設の看護師」と一括りにせず種別で分けて考えてください。
特養に医師はいますか?
常勤配置の義務はありません。配置医師が定期的に訪れる形が一般的です。そのため受診させるかどうかの判断を看護師が担う場面が多く、状態の変化を整理して医師に伝える力が求められます。一方、介護老人保健施設には常勤の医師が配置されます。
夜間はどうなりますか?
施設により、看護師の夜勤がある場合、オンコール(自宅待機)で対応する場合、夜間の看護体制がなく介護職員が対応して必要に応じて救急要請する場合があります。看護職員が3人の施設ではオンコールが3日に1回回ってくる計算になるため、当番の回数と実際に電話が鳴る回数、手当の額を必ず確認してください。
病院と何がいちばん違いますか?
「看護技術を使う量」は減りますが、「一人で判断する量」は増えます。医師が常勤でない特養では、受診の判断、配置医師への報告、介護職員からの相談への対応が業務の中心になります。設備も病院ほど整っていないなかで判断することになります。
老健の看護師がきついと言われるのはなぜですか?
在宅復帰を目的とする施設のため入退所の入れ替わりが多く、判定に関わる書類や会議が多くなります。リハビリ職・介護職・支援相談員との調整も常時発生します。医療依存度の高い入所者が増えている一方、病院ほど設備が整っていないという事情もあります。看護師の人数は特養より多いものの、負担の質が異なります。
介護施設の看護師の年収はいくらですか?
厚生労働省の統計に勤務先の種別ごとの集計はありません。比較の基準としては、看護師全体の推定年収524万7,200円や、企業規模10〜99人の469万8,200円を使うのが確実です。夜勤がある施設では夜勤手当が乗り、オンコールの施設では待機・出動の手当が付きます。求人票では基本給、賞与の月数、オンコール手当の額を確認してください。
ブランクがあっても働けますか?
急性期の処置が少ないため、復職先として選ばれることがあります。ただし一人で判断する場面が多く、相談できる医療職がそばにいないという難しさもあります。看護職員が何名配置されているか、入職後にどう業務を覚えるのかを面接で確認してください。
まとめ|「看護職員は何人か」を最初に聞いてください
- 特養の看護職員は、入所者30人以下で1以上・50人超130人以下で3以上。入所者100人でも3人です
- 老健は看護・介護職員の総数の7分の2程度。特養の3倍以上の看護師がいます
- 特養に医師の常勤配置義務はありません。受診の判断を看護師が担います
- 「技術を使う量」は減り、「一人で判断する量」は増えます
- 夜間はオンコールの施設が多く、人数が少ないほど当番が回ってきます
- 施設選びでは入所者数と看護職員の人数、オンコールの実態を確認してください
介護施設の看護師は、配置基準を見れば働き方の見当がつく職場です。求人票の条件より先に、入所者数と看護職員の人数を聞いてください。デイサービスについてはデイサービスの看護師をご覧ください。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。
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