この記事の結論

この記事で分かること

  • 病棟との違いは「一人で決める」こと。一人で行くことより重い部分です。
  • 人員基準は看護職員 常勤換算2.5人以上(うち1名は常勤)、管理者は保健師または看護師。この人数がオンコールの回り方を決めます。
  • 主治医の訪問看護指示書の範囲内で提供します。指示書にない医療行為はできません。
  • 要介護認定があれば原則介護保険。厚生労働大臣が定める疾病等や特別訪問看護指示書なら医療保険です。
  • 経験年数の法令上の定めはありません。同行訪問の期間と単独訪問の開始時期で判断してください。
  • 面接では「オンコールが実際に鳴る回数」と「記録をどこで書くか」を聞いてください。

「訪問看護に興味はあるけど、一人で判断できる自信がない」
「病棟の経験は何年あればいいの?」
「オンコールがきついって聞くけど、実際どうなの?」

訪問看護は、病棟とは判断の仕方が根本的に違う仕事です。病棟なら先輩や医師がすぐそこにいますが、訪問先には自分ひとりしかいません。だからこそ「経験何年から?」という質問が絶えません。

そして意外に知られていないのが、訪問看護ステーションの人員基準です。看護職員は常勤換算2.5人以上、管理者は保健師または看護師とされています。1事業所あたりの人数が少ないため、1人抜けたときの影響が大きく、オンコールの回り方も人数でほぼ決まります。

この記事では、看護師の求人情報サービスを運営する立場から、実際の業務、医療保険と介護保険の使い分け、できること・できないこと、そして事業所選びで見るべき数字を整理します。

この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
訪問看護ステーションの人員基準:サービスの提供にあたる保健師、看護師又は准看護師を常勤換算方法で2.5名以上配置し、そのうち1名は常勤であること。保健師又は看護師である管理者を1名配置すること。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は実情に応じた適当数
・訪問看護の提供には主治医が交付する訪問看護指示書が必要です
医療保険と介護保険の使い分け:要介護・要支援の認定を受けている方は原則として介護保険が優先されますが、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合や、特別訪問看護指示書が交付された場合は医療保険での訪問となります
・厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」の看護師:推定年収 524万7,200円/きまって支給する現金給与額 36万5,900円/所定内給与額 33万3,200円(差の3万2,700円が超過労働給与額)。訪問看護という区分での集計は公表されていません

保険の適用や加算の要件は制度改定により変わることがあります。個別の取扱いは主治医・事業所・保険者にご確認ください。この記事は看護師の就業先としての訪問看護について解説するもので、サービスの利用方法を案内するものではありません。

結論|病棟との違いは「一人で判断して、報告する」ことです

病棟訪問看護
その場にいる人医師・先輩・同僚自分ひとり
判断相談してから動けるまず自分で判断し、あとで報告する
環境物品も設備も揃っているその家にあるもので工夫する
関わる期間入院期間数年単位で続くことがあります
家族面会時に会う常に同席する。ケアの担い手でもあります
夜間対応夜勤オンコール

「一人で行く」ことより「一人で決める」ことのほうが、実際には重い部分です。逆にここが向いている方には、病棟に戻れなくなるほど面白い仕事になります。

仕事内容|1日の流れ

時間帯業務
朝礼・申し送り、当日の訪問先とカルテの確認、物品の準備
午前訪問2〜3件(移動を含む)
移動しながら休憩を取ることもあります
午後訪問2〜3件、臨時の依頼対応
夕方記録、主治医・ケアマネジャーへの報告、翌日の準備
夜間オンコール当番の日は電話を持ちます

訪問先で行うこと

  • バイタル測定、全身状態の観察
  • 点滴・注射・採血、服薬管理
  • 褥瘡の処置、ストーマ・カテーテル・胃瘻の管理
  • 清拭・入浴介助などの療養上の世話
  • 在宅酸素、人工呼吸器などの医療機器の管理
  • リハビリテーション、生活動作の指導
  • 家族への手技の指導と、精神的な支え
  • 看取りの支援

できること・できないこと

訪問看護は主治医の訪問看護指示書に基づいて提供されます。指示の範囲を超える行為はできません。

内容
できること指示書に基づく医療処置、観察、療養上の世話、家族への指導、多職種への報告
できないこと指示書にない医療行為/医師の診断や処方/利用者以外の家族へのケア/家事のうち利用者本人に関わらないもの

「そこまでしてあげたいのにできない」という場面は、訪問看護でよく起きます。できないことは訪問介護やほかのサービスにつなぐ、という判断も業務のうちです(訪問介護への転職はきつい?)。

医療保険と介護保険の使い分け

状況どちらの保険か
要介護・要支援の認定がある原則として介護保険が優先
厚生労働大臣が定める疾病等に該当医療保険
特別訪問看護指示書が交付された医療保険
認定を受けていない医療保険

入職後にまず覚えるのがこの区分です。訪問できる回数や時間の上限が保険によって変わるため、記録と請求にも直結します。面接で「入職後にどう覚えていくか」を聞いておくと安心です。

経験年数|「3年以上」を条件にする事業所が多いのは事実です

法令上、訪問看護に必要な経験年数の定めはありません。ただし事業所側が募集条件として設けていることは多くあります。理由ははっきりしています。

  • 一人で判断する場面が多い
  • 同行訪問での教育に人手を割く必要がある
  • 看護職員が常勤換算2.5人以上という小さな組織で、教育に回せる人が限られる

未経験・ブランクから入るなら

確認することなぜ
同行訪問は何回・何か月あるかここが教育体制のすべてです
単独訪問はいつからか早すぎると事故につながります
オンコールはいつから入るか入職直後から当番に入る事業所もあります
相談できる相手が日中いるか全員が訪問に出ていると連絡がつきにくくなります
看護職員は何名いるか2.5人ぎりぎりだと余裕がありません

ブランクからの復職の考え方は看護師のブランク復職を参照してください。

オンコール|回り方は人数で決まります

訪問看護で最も生活に影響するのがオンコールです。

看護職員の人数当番の回り方の目安
3人3日に1回
5人5日に1回
8人以上週1回程度に収まります

実際の割り振りは事業所の方針や、管理者・非常勤職員の関わり方により異なります。

聞くべきなのは「回数」ではなく「鳴る回数」です

オンコールの当番は月何回ですか。そのうち、実際に電話が鳴るのは平均で何回くらいでしょうか。出動になるのは月に何回くらいですか」

当番の回数が多くても電話が鳴らない事業所と、当番は少なくても毎回出動する事業所があります。手当の額とあわせて確認してください(訪問看護師の給料)。

事業所選びで見るべき数字

  • 看護職員は何名か(常勤換算2.5人が下限です)
  • 1日の訪問件数の目安(4〜6件が一般的です)
  • 移動手段(自転車・車・電動アシスト)と、雨天時の扱い
  • オンコールの当番回数と、実際に鳴る回数
  • 同行訪問の期間と回数
  • □ 記録は訪問先で完結するか、事業所に戻ってからか
  • □ 主な利用者層(高齢者中心か、精神科・小児・がん終末期があるか)
  • □ 直行直帰は可能か

「記録をどこで書くか」は残業時間に直結します。タブレットで訪問先で完結する事業所と、夕方に事業所へ戻って書く事業所では、1日の終わり方が変わります。

精神科に特化した事業所という選択肢

近年は精神科に特化した訪問看護ステーションが増えています。身体的な処置は少なく、対話と生活の支援が中心になるため、求められる技術の種類が変わります。

  • 身体介護や医療処置の負担は比較的軽くなります
  • 関係づくりと、距離の取り方が難しいという声があります
  • 訪問を拒否される、連絡が取れないといった場面があります
  • 精神科病棟の経験があると入りやすくなります

事業所により対象疾患・支援方針は大きく異なります。見学のうえで判断してください。

応募書類と面接で伝えること

訪問看護の選考では、「一人で判断し、報告した経験」が最も評価されます。

  • 夜勤帯に単独で判断し、医師へ報告した場面
  • 退院支援・在宅への引き継ぎに関わった経験
  • 家族への説明と意向の確認
  • 在宅で使う医療機器(在宅酸素、経管栄養など)の管理経験
  • 普通自動車免許の有無

書き方は看護師の職務経歴書の書き方、志望動機は看護師の志望動機の書き方、面接は看護師の面接で聞かれる質問にまとめています。

よくある質問

訪問看護に必要な経験年数はありますか?

法令上の定めはありません。ただし事業所が募集条件として「臨床経験3年以上」などを設けていることは多くあります。一人で判断する場面が多いこと、同行訪問での教育に人手を割く必要があること、看護職員が常勤換算2.5人以上という小さな組織であることが理由です。未経験可の事業所もあるため、同行訪問の期間と単独訪問の開始時期を確認してください。

病棟と何がいちばん違いますか?

「一人で決める」ことです。訪問先には自分ひとりしかいないため、まず自分で判断し、あとで主治医や事業所に報告するという順序になります。また物品も設備もその家にあるもので工夫する必要があります。家族が常に同席し、ケアの担い手でもある点も病棟とは異なります。

訪問看護でできないことは何ですか?

訪問看護は主治医が交付する訪問看護指示書に基づいて提供されるため、指示書にない医療行為はできません。医師の診断や処方もできません。また利用者本人以外の家族へのケアや、本人に関わらない家事も対象外です。できないことは訪問介護など他のサービスにつなぐという判断も業務のうちです。

医療保険と介護保険はどう使い分けるのですか?

要介護・要支援の認定を受けている方は原則として介護保険が優先されます。ただし厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合や、特別訪問看護指示書が交付された場合は医療保険での訪問になります。訪問できる回数や時間の上限が保険によって変わるため、記録と請求にも直結します。

オンコールはどのくらいの頻度で回ってきますか?

看護職員の人数でほぼ決まります。3人なら3日に1回、8人以上なら週1回程度に収まる計算です。ただし当番の回数より「実際に電話が鳴る回数」「出動になる回数」のほうが生活への影響は大きくなります。面接では両方を確認してください。

1日に何件くらい訪問するのですか?

4〜6件が一般的です。移動時間を含めた組み方になるため、担当エリアの広さと移動手段(自転車・車)によって実際の負担は変わります。雨天時の扱いや、記録を訪問先で完結できるかも確認してください。記録をどこで書くかは残業時間に直結します。

訪問看護ステーションには何人の看護師がいますか?

人員基準では、保健師・看護師・准看護師を常勤換算方法で2.5名以上配置し、そのうち1名は常勤であること、保健師または看護師である管理者を1名配置することとされています。つまり2.5人が下限です。人数が少ない事業所ほど1人抜けたときの影響が大きく、オンコールの回り方も厳しくなります。

精神科訪問看護は身体的に楽ですか?

身体的な処置は少なく、対話と生活の支援が中心になります。ただし関係づくりや距離の取り方が難しい、訪問を拒否される、連絡が取れないといった別の難しさがあります。求められる技術の種類が変わるだけで、負担がなくなるわけではありません。事業所により対象疾患や支援方針が大きく異なるため、見学のうえで判断してください。

まとめ|見るべきは「人数」と「記録をどこで書くか」です

  • 病棟との違いは「一人で決める」こと。一人で行くことより重い部分です
  • 人員基準は看護職員 常勤換算2.5人以上。この人数がオンコールの回り方を決めます
  • 主治医の訪問看護指示書の範囲内で提供します。できないことは他サービスへつなぎます
  • 要介護認定があれば原則介護保険。疾病等・特別指示書なら医療保険です
  • 経験年数の法令上の定めはありません。同行訪問の期間で判断してください
  • 面接では「オンコールが実際に鳴る回数」と「記録をどこで書くか」を聞いてください

訪問看護は、合う人と合わない人がはっきり分かれる働き方です。求人票の条件より、看護職員の人数と教育の進め方を先に確認してください。給与の仕組みは訪問看護師の給料、他の勤務先との比較は勤務先別の看護師の給料をご覧ください。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。

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