この記事の結論
この記事で分かること
- 志望動機は「辞めたい理由 → 求める条件 → 応募先で満たせる根拠」の3段で組み立てられます。
- 条件で選んだことは隠さなくて構いません。求める働き方として書き換えれば足ります。
- 履歴書は150〜200字。面接で必ず掘り下げられる前提で書いてください。
- 「なぜここか」の答えは施設種別で変わります。急性期・療養・クリニック・訪問で書き分けます。
- 例文の丸写しは面接で崩れます。構成だけを借りて、中身はご自身の経験に入れ替えてください。
- 応募先ごとに変えるのは1文だけで足ります。施設名の書き間違いにだけ注意してください。
「志望動機が思いつかない。正直、条件で選んだだけ」
「前の職場が嫌で辞めたとは書けないし……」
「例文を写すと、面接で聞かれたときに困りそう」
志望動機が書けないのは、志望する理由がないからではありません。辞めたい理由ははっきりしているのに、それを応募先に向けた言葉へ変換する手順を知らないだけです。
採用側が志望動機で確かめているのは、熱意の大きさではありません。「その理由なら、うちで長く続きそうか」という一点です。ですから、条件で選んだこと自体は問題になりません。問題になるのは、その条件が応募先で満たせるかどうかが読み取れない書き方です。
この記事では、看護師の求人情報サービスを運営する立場から、退職理由から志望動機を組み立てる手順、施設種別ごとの型、そして例文をそのまま使うと不利になる理由を整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月26日確認)
・採用選考では、本籍・出生地、家族の職業や収入、住宅状況、思想信条など「本人に責任のない事項」「本来自由であるべき事項」を把握しないことが厚生労働省の「公正な採用選考の基本」として示されています
・2024年4月から労働条件明示のルールが改正され、すべての労働者に対して「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になりました。有期契約では更新上限の有無や無期転換に関する事項の明示も加わっています
・訪問看護は指定訪問看護事業所の看護職員が居宅を訪問して行う介護保険・医療保険上のサービスで、病棟看護とは業務の進め方が異なります
求人条件・教育体制・配属の運用は施設により異なります。志望動機に書く内容は、募集要項や施設の公開情報で確認できる範囲にとどめてください。個別の取扱いは応募先にご確認ください。
結論|志望動機は「辞めたい理由 → 求める条件 → 応募先で満たせる根拠」の3段で作ります
| 段 | 考えること | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 辞めたい理由(そのままでは書きません) | 夜勤が続いて体力が持たない |
| 2 | そこから導かれる「求める条件」 | 日勤中心で、継続して関われる看護がしたい |
| 3 | 応募先でそれが満たせる根拠 | 外来と在宅支援を併設し、同じ患者さんを長く診ている点 |
この3段が揃うと、志望動機は自然に「この施設でなければならない理由」になります。1だけを書くと不満、2だけを書くと条件の羅列、3があって初めて志望動機になります。
条件で選んだことは、隠さなくて構いません
給与や勤務時間を理由に転職するのは、ごく普通のことです。書き方を変えるだけで足ります。
| そのままでは書きにくい | 書き換えた形 |
|---|---|
| 夜勤がきつい | 日勤帯で継続的に患者さんと関わる看護を続けたい |
| 人間関係が悪かった | チームで情報を共有しながら進める体制のもとで働きたい |
| 給料が低い | 経験と役割に応じた評価のある環境で、長く働き続けたい |
| 忙しすぎて雑になる | 一人ひとりに時間をかけた看護を実践したい |
| 教育がなく不安だった | 研修体制の整った環境で、◯◯の分野を伸ばしたい |
| 家から遠い | 生活圏で長く勤め、地域の患者さんに継続して関わりたい |
書き換えは、事実と異なることを書くという意味ではありません。同じ事実のうち、応募先に関係のある側面を選んで書くということです。
書く分量は5〜6行|長く書くほど読まれなくなります
| 提出先 | 目安 | 構成 |
|---|---|---|
| 履歴書の志望動機欄 | 150〜200字(5〜6行) | 応募先を選んだ理由 → 自分の経験 → 貢献 |
| 職務経歴書 | 入れないことが多い | 入れる場合は末尾に3行 |
| 面接で話す場合 | 60〜90秒 | 書いた内容を要約して話します |
履歴書に書いた志望動機は、面接でほぼ必ず掘り下げられます。書けない内容は書かない、が基本です。面接での聞かれ方は看護師の面接で聞かれる質問にまとめています。
施設種別ごとの型|「なぜここか」の答えは種別で変わります
病院(急性期)
疾患・診療科・チーム医療のどこに関心があるかを書きます。急性期は「経験を積みたい」が通じる数少ない場面です。
前職では外科病棟で周術期看護に携わり、術後の状態変化を早期に捉えることの重要さを学びました。貴院は救急の受け入れ件数が多く、急性期看護をさらに深められる環境と考えています。これまでの周術期の経験を活かし、まずは病棟の流れを覚えたうえで貢献したいと考えております。
療養病棟・介護施設
生活を支える看護に軸足を移したい理由を書きます。急性期からの転職では「ゆっくり働きたい」と受け取られない書き方が要ります。
急性期病棟では、退院後の生活まで関わりきれないもどかしさがありました。療養の場で、同じ方の状態の変化を長く見ながら看護を続けたいと考えるようになりました。急変時の初期対応の経験は、療養の場でも活かせると考えております。
クリニック
外来対応の経験、少人数で回すことへの適性を書きます。看護以外の周辺業務にも触れると現実的です。
病棟で培った患者さんへの説明の経験を、外来という短い接点のなかで活かしたいと考えています。少人数の体制で、受付から処置まで幅広く関わる働き方に魅力を感じております。電子カルテの操作と器材の管理も担当してまいりました。
訪問看護
一人で判断した経験、報告・連絡の実績、家族対応を書きます。訪問は単独行動が前提のため、ここが読まれます。
退院支援に関わるなかで、ご自宅に戻られたあとの生活を支える看護に関心を持ちました。病棟では夜勤帯に単独で判断し、医師へ報告する場面を重ねてきました。その経験を、訪問先での判断と報告に活かしたいと考えております。
企業・一般職種への転職
看護師以外の職種へ移る場合は、書き方の考え方が変わります。看護師から一般企業へ|2つの道と志望動機のコツと、看護師以外の仕事を参照してください。
年代・状況別|書き添えると通りやすくなること
| 状況 | 志望動機に1行入れること |
|---|---|
| 1〜2年目 | 基礎を固めたい分野を具体的に(→2年目の転職) |
| 子育て中 | 勤務可能な時間帯と、預け先が確保できていること |
| ブランクがある | 復職に向けて今していること(→ブランク復職) |
| 40〜50代 | 後輩指導や調整役として担える役割(→50代の転職) |
| 転職回数が多い | 次の職場で長く働きたい理由(→転職10回以上) |
子育て中の方が書く場合
採用側が心配しているのは、意欲ではなく「急な休みにどう対応できるか」です。ここを先に書いてしまうほうが早く進みます。
子どもが◯歳になり、保育の預け先を確保できたため、看護の現場に戻ることにしました。平日◯時から◯時まで勤務でき、急な発熱時には◯◯(家族・病児保育など)に対応を依頼できます。短時間からでも、確実に出勤できる働き方を続けたいと考えております。
家族の状況について、応募先から詳しく尋ねることは公正な採用選考の観点から適切でないとされています。ここに書くかどうかは、ご自身の判断で決めて差し支えありません。
例文をそのまま使うと不利になります|面接で必ず崩れます
これは書いておかなければならない注意点です。
| 起きること | なぜ困るか |
|---|---|
| 同じ文面が複数届く | 採用担当は同じ例文集を読んでいます |
| 掘り下げに答えられない | 「具体的にはどの場面ですか」で止まります |
| 施設の実態と食い違う | 「教育体制に惹かれて」が、教育担当のいない施設だと逆効果です |
| 自分の経歴と噛み合わない | 職務経歴書との整合が取れなくなります |
例文は、構成をなぞるために読むものです。この記事の例文も、3段構成の形を見るために使ってください。中身は必ずご自身の経験に入れ替えてください。
応募先ごとに変えるのは1文だけで足ります
すべてを書き直す必要はありません。「なぜこの施設か」の1文だけを差し替える運用にすると、応募数を増やしても破綻しません。
その1文の材料の探し方
- 募集要項の「求める人物像」「業務内容」に書かれた言葉
- 施設の公開情報(病床数、診療科、地域連携、在宅支援の有無)
- 看護部の方針・教育体制のページ
- 見学に行った場合は、その場で見たこと
ここを書くには、応募先を実際に見ておくのが確実です。単発の勤務で一度入ってから応募するという順番も選べます。
避けたい表現
| 避ける表現 | 理由 |
|---|---|
| 前職の批判 | 同じことを次の職場でも言うと受け取られます |
| 「勉強させていただきたい」だけ | 教える側の負担しか伝わりません。何を返せるかを書きます |
| 「アットホームな雰囲気に惹かれ」 | どの施設にも当てはまり、判断材料になりません |
| 「貴社」と書く | 病院は「貴院」、クリニックも「貴院」、法人は「貴法人」です |
| 待遇だけを並べる | 条件が合う他院に移ると見られます |
| 資格取得だけが目的に見える書き方 | 取得後の離職を想定されます |
書き上げたあとのチェックリスト
- □ 応募先の名称が正しく入っている(使い回しの事故が最も多い箇所です)
- □ 「貴院/貴法人」の使い分けができている
- □ 辞めたい理由の裏返しになっている
- □ なぜこの施設かの1文がある
- □ 自分の経験が1つ入っている
- □ 職務経歴書の内容と矛盾していない
- □ 150〜200字に収まっている
- □ 面接で掘り下げられても答えられる内容だけ書いた
よくある質問
志望動機が思いつきません。どうすればよいですか?
先に「辞めたい理由」を書き出してください。そこから「次の職場に求める条件」を導き、その条件が応募先で満たせる根拠を募集要項や施設の公開情報から探します。この3段が揃えば志望動機になります。志望する理由がないのではなく、変換の手順を踏んでいないだけであることがほとんどです。
給与や勤務時間が理由でも書いてよいですか?
そのまま条件だけを並べるのは避けたほうが無難ですが、条件が動機であること自体は問題ありません。「日勤帯で継続的に関わる看護を続けたい」のように、求める働き方として書き換えてください。譲れない条件は、履歴書の本人希望欄や面接で率直に伝えるほうが、入職後のずれが減ります。
人間関係が理由の転職は、どう書けばよいですか?
前職の批判は書かないでください。「チームで情報を共有しながら進める体制のもとで働きたい」のように、次に求める環境として書きます。面接で退職理由を聞かれた場合も同様で、事実を短く述べたうえで、次にどうしたいかへ話を移すのが無難です。
志望動機は何文字くらいがよいですか?
履歴書の欄であれば150〜200字、5〜6行が目安です。欄の大きさに合わせて調整してください。面接で話す場合は60〜90秒程度にまとめます。長く書くほど読まれにくくなり、掘り下げられる箇所も増えます。
例文をそのまま使ってもよいですか?
おすすめしません。同じ例文集を採用担当も読んでいるため、同一の文面が複数届くことがあります。また面接で「具体的にはどの場面ですか」と掘り下げられたときに答えられません。例文は3段構成の形をなぞるために使い、中身はご自身の経験に入れ替えてください。
応募先ごとに全部書き直す必要がありますか?
全部を書き直す必要はありません。「なぜこの施設か」を述べる1文だけを差し替える形で足ります。その材料は募集要項の業務内容や求める人物像、施設の公開情報から探せます。ただし施設名の書き間違いは印象を大きく損ねるので、提出前に必ず確認してください。
ブランクがある場合、志望動機に書くべきですか?
離職期間の理由を1行、復職に向けて現在していることを1行入れると、書類の段階での不安が減ります。詳しい経緯まで書く必要はありません。研修の受講や、単発での勤務を再開しているといった具体的な行動があれば、それを書き添えてください。
「貴院」と「貴社」はどちらを使いますか?
病院・クリニックには「貴院」を使います。医療法人や社会福祉法人など法人あてであれば「貴法人」、企業であれば「貴社」です。話し言葉では「御院」「御社」になります。ここを間違えると使い回しが分かりやすく伝わってしまうため、提出前に確認してください。
まとめ|志望動機は、退職理由から作れます
- 「辞めたい理由 → 求める条件 → 応募先で満たせる根拠」の3段で組み立てます
- 条件で選んだことは隠さなくてよい。求める働き方として書き換えます
- 履歴書は150〜200字。面接で掘り下げられる前提で書きます
- 施設種別で「なぜここか」の答えは変わります。急性期・療養・クリニック・訪問で書き分けます
- 例文の丸写しは面接で崩れます。構成だけを借りてください
- 応募先ごとに変えるのは1文で足ります。施設名の書き間違いだけは避けます
志望動機は、応募先を好きになってから書くものではありません。自分が次に何を避けたいのかを言葉にできれば、その裏返しが志望動機になります。まず辞めたい理由を3つ書き出すところから始めてください。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。
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