この記事の結論

この記事で分かること

  • 不利になるのは回数そのものではなく「直近の在籍期間」と「辞め方」です。10回でも直近が2〜3年続いていれば評価は変わります。
  • 既卒採用者の離職率は16.1%で、新卒8.4%の約2倍(日本看護協会「2025年病院看護実態調査」)。回数が増えるのは構造的な面もあります。
  • 看護師の平均経験職場数は3か所、転職経験者は50.5%(同「2021年看護職員実態調査」)。多いのはあなただけではありません。
  • 面接官が回数から読み取ろうとしているのは①またすぐ辞めないか ②スキルが定着しているか ③人間関係で問題がないかの3点だけです。
  • 経歴を「ごまかす」のは選択肢になりません。書類の提出過程で判明することがあり、内定取消・懲戒解雇の対象になり得ます。書かなくてよい範囲との線引きを解説します。

「転職10回以上って、もう採用されないのでは…」
「履歴書の職歴欄に書ききれない」
「面接で回数を突っ込まれたら、どう答えればいいの?」

先に結論をお伝えします。採用側が本当に見ているのは、転職の「回数」ではなく「直近の在籍期間」と「辞め方」です。10回以上でも、いちばん新しい職場に2〜3年在籍していれば、書類で落とされる確率は明確に下がります。

そしてもう1つ。看護師の転職回数が増えるのには、個人の資質とは別の構造的な理由があります。日本看護協会の調査では、既卒で採用された看護職員の離職率は16.1%で、新卒採用者の8.4%のおよそ2倍です。転職して入った職場ほど続きにくい——という現実がデータに表れています。

この記事では、看護師専門の人材紹介サービスで転職支援を担当していた立場から、採用側が履歴書のどこを見ているのか、面接で何を確かめようとしているのかを具体的に書きます。あわせて、転職理由の言い換え12例、職歴が書ききれないときの書き方、そして「ごまかす」ことのリスクまで整理しました。

この記事で参照した公開情報(2026年8月25日確認)
・日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2024年度の離職率/2026年3月公表)
・日本看護協会「2021年 看護職員実態調査」(経験職場数・転職経験の割合)

数値は調査時点のものです。統計は更新されるため、最新の内容は日本看護協会の公表資料でご確認ください。個別の雇用契約・就業規則に関わる判断については、勤務先や専門家にご相談ください。

結論|不利になるのは「回数」ではなく「直近の在籍期間」と「辞め方」

採用側が履歴書で最初に見るのは、いちばん新しい職歴の在籍月数

履歴書が届いたとき、採用担当者が最初に確認するのは職歴欄のいちばん下(最新)の行です。ここが「1年3か月」なのか「3年6か月」なのかで、その後の読み方が変わります。

理由は単純で、採用側が知りたいのは過去ではなく「うちに来たら続くのか」だけだからです。5年前に半年で辞めた職場があっても、直近が3年続いていれば「もう落ち着いた人」と読まれます。

10回以上でも、直近2〜3年続いていれば評価は変わる

職歴のパターン採用側の読み方
転職10回・直近の在籍3年「経験は広い。いまは落ち着いている」と読まれやすい
転職10回・直近の在籍6か月「またすぐ辞めるのでは」と警戒される
転職3回・すべて6か月以内回数が少なくても定着性を強く懸念される
転職6回・すべて2年以上ほぼ問題にされない

つまり、回数は変えられませんが、「直近の在籍期間」はこれから作れます。いま在籍中なら、辞める前に「あと何か月続ければ次の説明が楽になるか」を考える価値があります。

もう1つ見られているのは「辞め方」の一貫性

転職理由が毎回バラバラだと、「環境のせいにする人」と読まれます。逆に、複数の転職に1本の筋が通っていると、回数が多くても納得されます。

例:「急性期で技術を身につけたかった → 夜勤の負担で体調を崩した → 日勤中心で長く働ける場所を探している」という流れなら、10回でも説明がつきます。回数を減らすのではなく、線を1本通すのが対策です。

【データ】看護師の転職はもともと多い。既卒採用者の離職率は新卒の約2倍

正規雇用の離職率11.0%に対し、既卒採用者は16.1%

日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2024年度の離職率)では、次の結果が公表されています。

区分離職率前年度比
正規雇用看護職員(全体)11.0%0.3ポイント減
新卒採用看護職員8.4%0.4ポイント減
既卒採用看護職員16.1%横ばい

出典:日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2026年3月公表/2024年度の離職率)。調査対象は全国8,022病院、有効回答3,502施設(有効回収率43.7%)。

転職して入職した看護師の離職率は、新卒のおよそ2倍です。これは「転職者に問題がある」という話ではなく、中途採用は教育体制が新卒向けほど整っておらず、即戦力として扱われやすいという受け入れ側の構造が影響していると考えられます。

つまり、一度転職すると次も辞めやすくなり、回数が雪だるま式に増えていく。この連鎖が起きやすいのが看護職の中途採用です。回数が多いことを、まず自分の資質の問題だと決めつけないでください。

看護師の平均経験職場数は3か所。半数が転職を経験している

日本看護協会「2021年 看護職員実態調査」では、経験した職場数の平均は3か所と報告されています。転職回数に置き換えるとおよそ2回です。

経験職場数割合
1〜2か所50.3%
3〜4か所34.7%
転職経験がある看護師:50.5%

出典:日本看護協会「2021年 看護職員実態調査」。調査時点の数値です。

10回以上が多数派でないのは事実です。ただし看護師の半数はすでに転職を経験しており、職場を変えること自体は特別ではありません。

新卒の離職理由の最多は「健康上の理由(精神的疾患)」で54.6%

同じ調査で、新卒看護職員の主な離職理由として最も多かったのは健康上の理由(精神的疾患)で54.6%でした。メンタルヘルス不調者がいた病院は72.6%にのぼります。

この数字が示しているのは、看護職の離職は「本人の忍耐力」ではなく職場環境の問題として起きているということです。転職を繰り返してきた方ほど、自分を責めがちですが、まず環境要因を切り分けて考えてください。

【早見表】年代・回数別に、どの職場なら通るかの現実的な目安

応募先を選ぶ段階で見通しを立てられるよう、回数と職場の相性を整理しました。

状況大学病院・公的病院
(常勤)
民間の急性期
(常勤)
クリニック
療養型
介護施設
訪問看護
派遣・単発
20代・3回まで
20代・4回以上
30代・5回まで
30代・6回以上×
40代・8回以上×
直近が1年未満×
直近が3年以上

◎通りやすい/○条件次第/△説明が必要/×応募者が多く絞り込みで不利。編集部が採用実務の一般的な傾向をもとに整理した目安であり、施設により判断は異なります。

表の下2行を見てください。年代や回数より、「直近が1年未満か3年以上か」のほうが結果を大きく動かします。

「転職回数が多い=人生終わり」ではない。ただし放置すると効いてくる不利はある

「転職回数 多い 人生終わり」「転職回数 多い 末路」——こうした調べ方をされる方は多く、月に1,000件近く検索されています。不安を煽るつもりはないので、事実として不利になる部分と、実は影響しない部分を分けてお伝えします。

実は、看護師の求人応募でそこまで効かない部分

心配されがちなこと実際
看護師として働けなくなるなりません。看護師免許に有効期限はなく、人材不足も続いています
時給・月給が下がる回数ではなく、夜勤の可否・経験領域・地域で決まります
どこも採用してくれない介護施設・訪問看護・派遣は回数をほとんど問いません
資格取得や研修で不利になる影響しません。実務経験年数は通算で数えます

一方で、長期的に効いてくる不利は3つある

ここは正直にお伝えします。放置すると確実に効いてくるものです。

  1. 退職金が積み上がらない——退職金は勤続年数に連動します。3年ごとに転職すると、生涯で受け取る総額は大きく変わります
  2. 有給休暇が毎回リセットされる——入職後6か月は付与されず、日数も勤続で増える仕組みのため、短期転職を繰り返すと常に少ないままです
  3. 役職・専門資格のルートが開きにくい——認定看護師などは対象領域での実務経験年数が要件になり、主任・師長も一定の勤続が前提になることが多くあります

「人生終わり」ではありませんが、「同じ場所に積み上がるもの」は失われます。だからこそ、次の1社をどう選ぶかが重要になります。

いま30代・40代なら、まだ十分に立て直せる

退職金や役職のルートは、これから10年勤めれば作れます。40歳で転職10回でも、そこから15年同じ職場に勤めれば、退職金も有給も役職も通常どおり積み上がります。

過去の回数は変えられませんが、これから積む年数は今日から作れます。その意味で、次の職場選びを慎重にすることが唯一かつ最大の対策です。

面接官が回数から読み取ろうとしている3つのこと

面接で転職回数を聞かれるとき、相手が確かめたいのは次の3つだけです。それぞれに答えを用意しておけば、回数の話は数分で終わります。

①またすぐ辞めないか|直近の定着と「次に何を求めるか」で答える

最も強い懸念です。中途採用の教育コストは低くなく、半年で辞められると採用担当者の評価にも響きます。

答え方の型:「これまでは◯◯を求めて職場を変えてきましたが、直近の◯年で△△が自分にとって必要だと分かりました。貴院は△△の点で条件が合うため、長く勤めたいと考えています」

ポイントは「今度こそ頑張ります」と精神論で答えないことです。何が合わなかったのかを具体的に言語化し、それが応募先では起きない理由を条件で説明します。

②スキルが定着していないのでは|経験の幅を「対応できる範囲」に変換する

短期間の職場が続くと「どれも中途半端では」と見られます。ここは回数を経験の広さに読み替えるのが有効です。

答え方の型:「急性期・療養・在宅を経験しているため、状態の変化に応じた対応と、他職種との調整の両方に慣れています。とくに◯◯(具体的な処置・機器・疾患)は複数の施設で担当しました」

複数施設で同じ業務を経験している点は、「どこに行ってもすぐ動ける」という中途採用ならではの価値になります。

③人間関係で問題を起こしていないか|他責にしない言い方に置き換える

最もデリケートな部分です。実際に人間関係が理由でも、そのまま伝えると「うちでも同じことが起きるのでは」と受け取られます。

そのまま言うと危うい表現置き換えた表現
先輩の指導が厳しかった教育体制が整った環境で、基礎から積み直したいと考えました
師長と合わなかった看護方針をチームで共有できる職場で働きたいと考えました
いじめがあったチームで連携しながら働ける環境を求めています
スタッフ間の関係が悪かった多職種と協働する場面が多い職場に魅力を感じています

嘘をつく必要はありません。同じ事実を、相手を批判しない言葉と未来志向の表現に置き換えるだけです。

そのまま使える転職理由の言い換え12例

実際の理由面接で使える表現
夜勤がきつかった日勤中心の働き方で、継続的に力を発揮したいと考えました
残業が多すぎた業務効率を意識しながら、質の高い看護を継続できる環境を希望しています
給料が低かった経験と資格に応じた評価をいただける環境で、長く貢献したいと考えました
体力的に限界だったこれまでの経験を活かし、身体的な負担を管理しながら長く続けられる働き方を選びました
やりたい看護ができなかった一人ひとりに向き合う時間を確保できる環境で働きたいと考えました
教育体制がなかった指導を受けながら着実に力を伸ばせる環境を求めています
配属が希望と違った◯◯領域での経験を深めたいと考え、その領域に注力している職場を探しています
職場が遠かった通勤時間を短縮し、業務に集中できる環境を整えたいと考えました
家庭の事情家族の状況が落ち着き、腰を据えて働ける環境が整いました
病院が合わなかった患者さまとの関わり方について、貴院の方針に共感しています
契約期間が終わった契約期間満了に伴い、長期で勤務できる職場を探しています
体調を崩した体調は回復しており、現在は問題なく勤務できる状態です(+復帰後の勤務実績を添える)

注意:体調・疾患に関する事項は、業務に支障がない範囲で正直に伝えるのが基本です。勤務に影響する内容を隠すと、入職後にご自身が苦しくなります。回復済みであれば、その事実と現在の勤務可能な状態をあわせて伝えてください。

年代別|回数が多いときの立て直し方

20代|まだ「試行錯誤」として説明できる。ただし次で1年半は続ける

20代の転職は、経験を広げる過程として受け止められやすい年代です。ただし4回目を超えるあたりから、大学病院・公的病院の常勤は書類で絞られやすくなります。

やること:次の職場を「長く続けられる条件」で選び、最低1年半、できれば2年在籍する。ここで直近の実績を作れば、その後の選択肢は元に戻ります。

30代|「何ができる人か」を言語化できるかが分かれ目

30代は即戦力として見られる年代です。回数が多くても、「この領域ならすぐ動ける」と言い切れる分野が1つあれば通ります。

やること:職務経歴書を経験領域でまとめる。診療科がバラバラでも、患者層やケアの種類で軸を作れます。

40代|経験の幅がそのまま価値になる職場を選ぶ

40代で回数が多い場合、急性期の常勤で戦うより介護施設・訪問看護・療養型を狙うほうが確実です。これらの職場では、複数領域の経験と対人対応力が実務上の価値になります。

やること:「病院に戻る」前提を一度外して探す。年収も、夜勤やオンコールの有無で調整できます。

50代|定着実績と、体力に合った働き方の両立を示す

50代は、採用側が「あと何年働けるか」を見ています。直近の在籍が長いことと、体力面で無理のない勤務形態を自分から提示できることが通過率を上げます。

やること:日勤のみ・週4日など、続けられる条件を先に示す。人材不足が続く分野では、条件を明示する応募者のほうが歓迎されます。

履歴書に職歴が書ききれないときの書き方3パターン

転職10回以上になると、市販の履歴書の職歴欄には物理的に収まりません。ごまかすのではなく、収める技術で解決します。

パターン1|職歴欄を2枚に分ける(最も安全で誤解が生じない)

履歴書を2枚使い、1枚目に学歴と職歴の前半、2枚目に職歴の後半を記載します。2枚目の冒頭に「職歴(続き)」と書き、ページ番号を振ります。

採用側から見て最も読みやすく、省略の疑いも生じません。枚数が増えることを気にする必要はありません。

パターン2|履歴書は施設名と期間のみ、業務内容は職務経歴書に寄せる

履歴書の職歴欄には「入職・退職」と施設名だけを簡潔に書き、担当科や業務内容は職務経歴書に集約します。1行あたりの情報量が減るため、収まりやすくなります。

パターン3|派遣・応援ナースは「派遣元+主な就業先」でまとめる

派遣や短期の応援ナースを繰り返している場合、雇用契約を結んでいるのは派遣元です。そのため、履歴書の職歴には派遣元の会社名を記載し、就業先は補足として書く形が一般的です。

令和◯年◯月 株式会社◯◯(派遣) 入社
       ※ ◯◯病院(急性期・内科病棟)、△△老人保健施設 等に就業
令和◯年◯月 同社 退社(契約期間満了)

やってはいけない省略と、許される要約の線引き

やってはいけない許される範囲
在籍した職歴そのものを書かない業務内容の記述を職務経歴書に移す
在籍期間を実際より長く書く月単位の記載を「令和◯年◯月」に統一する
退職理由を偽る退職理由を前向きな表現に言い換える
派遣を「正社員」と書く派遣元を職歴とし、就業先を補足で示す

境界線は「事実を変えているかどうか」です。表現を整えるのは問題ありませんが、在籍の有無や雇用形態を書き換えると、次章のリスクに入ります。

転職回数が多い人の職務経歴書|「時系列」ではなく「経験領域」でまとめる

時系列で10件並べると、それだけで読む気を失わせる

職務経歴書を古い順に10件並べると、読み手には「多い」という印象しか残りません。転職回数が多い場合は、領域別にまとめる形式(キャリア式)に切り替えます。

見本|領域別にまとめた職務経歴書の骨子

■ 職務要約
看護師として通算◯年、急性期・慢性期・在宅の3領域で勤務。特に高齢者の内科的管理と多職種連携の経験が長く、直近◯年は△△に従事。

■ 経験領域
【急性期】通算◯年(◯施設)/内科・整形外科病棟。急変対応、術後管理、点滴・採血、心電図モニター管理
【慢性期・療養】通算◯年(◯施設)/経管栄養、吸引、褥瘡処置、看取りの支援
【在宅・施設】通算◯年(◯施設)/訪問看護、服薬管理、家族対応、多職種カンファレンス

■ 職務経歴(時系列)
※施設名と在籍期間を簡潔に一覧で記載

■ 活かせる経験・強み
複数の施設形態を経験しているため、状態の変化に応じた判断と、初めての環境でも早期に業務を立ち上げられる点が強みです。

この形式なら、読み手は最初の10行で「何ができる人か」を把握できます。時系列の一覧は後半に置くため、回数が最初の印象を決めることがありません。

一貫性は「診療科」ではなく「患者層」「ケアの種類」で作れる

「診療科がバラバラで一貫性がない」と悩む方が多いのですが、軸は診療科以外にも作れます。

  • 患者層:高齢者を一貫して見てきた/小児に関わり続けてきた
  • ケアの種類:終末期に関わることが多かった/リハビリ期の支援が中心だった
  • 役割:新人指導を任されることが多かった/多職種の調整役を担ってきた
  • 働き方の志向:一人ひとりに時間をかけられる環境を選んできた

10か所の職歴の中から共通点を1つ見つけられれば、それが一貫性になります。

転職回数が多い人の自己PRと志望動機|そのまま使える例文

自己PR例文1|複数領域の経験を「立ち上がりの早さ」に変換する

私の強みは、新しい環境でも早期に業務を立ち上げられることです。
これまで急性期・療養型・在宅の3領域で勤務し、いずれの職場でも入職から1か月以内に独り立ちしてきました。記録様式や申し送りの形式が変わっても、初日に確認すべき項目を整理して臨む習慣が身についています。
貴施設でも、早い段階で戦力として貢献できると考えております。

自己PR例文2|患者層の一貫性を軸にする

私は一貫して高齢者の看護に携わってきました。
勤務先は病棟・老健・訪問看護と変わりましたが、対象は常に高齢の方で、認知症を併せ持つ方への対応、誤嚥性肺炎の予防、看取りの支援を継続して経験しています。
医療的な視点と生活の視点の両方から関われることが、私の強みです。

自己PR例文3|多職種連携の経験を前面に出す

複数の施設形態を経験する中で、多職種と調整する力を身につけました。
病棟ではリハビリ職や薬剤師と、在宅ではケアマネジャーやヘルパーと連携してきました。立場の異なる相手に必要な情報を過不足なく伝えることを常に意識しています。
チームで支える体制を大切にされている貴施設で、その経験を活かしたいと考えております。

志望動機の書き方|「なぜここか」を条件で答える

転職回数が多い方の志望動機は、「またすぐ辞めないこと」の根拠として読まれます。理念への共感だけで終えず、続けられる理由を条件で示してください。

これまで複数の職場を経験する中で、自分が長く働ける条件が明確になりました。ひとつは日勤中心で生活リズムを保てること、もうひとつは一人ひとりに時間をかけて関われることです。
貴施設は◯◯(具体的な体制・特徴)の点でこの2つを満たしており、腰を据えて働きたいと考え志望いたしました。これまでの◯◯領域の経験を活かし、長く貢献したいと考えております。

「長く働きたい」という言葉より、「長く働ける条件がここにある」という説明のほうが信用されます。

「ごまかす」が選択肢にならない理由と、リスクの整理

「転職回数 ごまかす」という調べ方をされる方は少なくありません。結論として、おすすめできません。理由を事実ベースで整理します。

書類の提出過程で判明することがある

場面判明しうる情報
雇用保険の資格取得手続き被保険者番号は1人1つ。離職票・被保険者証に前職の事業所名が記載されている場合がある
年内に転職した場合の年末調整前職の源泉徴収票の提出を求められる
面接での深掘り時期・業務内容の説明に矛盾が生じやすい
入職後同僚・取引先を通じて過去の勤務先が話題に出ることがある

必ず発覚するとは限りません。ただし、発覚する経路が複数あることは事実です。

発覚した場合、内定取消・懲戒解雇の対象になり得る

経歴を偽って採用された場合、採用の前提が異なっていたとして内定取消や懲戒解雇の理由になり得ます。取り扱いは各施設の就業規則によります。

看護職は資格を前提とした職業で、地域内での施設同士のつながりも強い分野です。一度の隠蔽が、その後の職探しの範囲を狭めるリスクは現実的に存在します。

「書かなくてよい」ものと「書かないと詐称になる」ものの違い

項目扱い
雇用契約を結んで勤務した職歴記載する(省略すると詐称にあたり得る)
アルバイト・単発の勤務応募先の指示に従う。求められていなければ必須ではないことが多い
退職理由の詳細「一身上の都合」で足りる。詳細を書く義務はない
業務内容の記述量調整可能。職務経歴書に寄せてよい
病歴・既往業務に支障がない範囲で。原則として申告義務があるわけではない

※取り扱いは応募先の規定や個別の事情により異なります。判断に迷う場合は、応募先の採用担当者に確認するか、労働問題に詳しい専門家にご相談ください。この記事は一般的な考え方の整理であり、法的助言ではありません。

通りやすい職場・通りにくい職場を、回数の観点で比較

職場回数への厳しさ理由
大学病院・公的病院(常勤)厳しい応募者が多く、選考基準が明確。回数が絞り込みに使われやすい
民間の急性期病院(常勤)やや厳しい教育コストを回収したいため定着性を重視
クリニック普通少人数のため相性を重視。回数より人柄を見られる
療養型・回復期やや緩やか急変が少なく、経験の幅が活きる
介護施設(特養・老健・有料)緩やか看護職の配置人数が少なく、医療的判断ができる人材の需要が高い
訪問看護緩やか経験の幅がそのまま強みになる。人材不足が続いている
健診センター・企業普通求人数が少なく競争率が高いが、回数自体は重視されにくい
派遣・単発ほぼ問われない期間の定めがある働き方のため、回数の概念が当てはまりにくい

回数を気にしているなら、まず介護施設・訪問看護・派遣単発から見るのが合理的です。ここで直近の在籍実績を作れば、その後の選択肢がむしろ広がります。

面接の想定質問10と、回数が多い人の答え方

実際に聞かれる質問はほぼ決まっています。準備しておけば、回数の話は面接の冒頭数分で終わります。

想定質問答え方の方向
転職が多いようですが、理由を教えてくださいすべてを説明しない。直近2〜3社に絞り、共通する軸を1本示す
いちばん短かった職場はなぜ辞めたのですか事実を簡潔に述べ、そこから学んだ判断基準で締める
当院ではどのくらい働くつもりですか年数を数字で答える。「長く」だけでは伝わらない
前の職場の何が合わなかったのですか職場批判にせず、条件のミスマッチとして説明する
ブランク期間について教えてください療養・家庭の事情など事実を述べ、現在は問題ないことを添える
人間関係で困ったことはありますか「ない」と否定せず、どう対処したかを必ず含める
いろいろな科を経験されていますが専門は診療科ではなく患者層・ケアの種類で答える
夜勤は可能ですかできる/できないを明確に。曖昧にすると入職後に揉めます
当院を選んだ理由は理念だけでなく続けられる条件を具体的に挙げる
最後に質問はありますか離職者数・教育体制・残業の実態を数字で聞く

「転職が多いですね」と言われたときの初手

「はい、これまで◯か所で勤務してまいりました。振り返ると、自分にとって何が必要かを見極めるまでに時間がかかったと感じています。直近の◯年で、日勤中心で一人ひとりに関われる環境であれば長く続けられると分かりました。貴施設はその条件を満たしているため、腰を据えて働きたいと考えております」

言い訳をせず、認めて、次につなげる。この3ステップで答えると、面接官はそれ以上掘り下げません。逆に、防御的に理由を並べるほど深掘りされます。

転職エージェントを使うべきか、直接応募か|回数が多い場合の使い分け

エージェント経由は「回数の説明を代わりにしてもらえる」のが利点

人材紹介を経由する最大の利点は、担当者が施設側に事前説明をしてくれることです。書類だけでは「回数が多い人」としか見えませんが、担当者が「直近は◯年続いており、△△の経験がある」と補足すれば、面接まで進む確率は上がります。

また、施設ごとに「回数をどこまで許容するか」の温度感を担当者が把握しているため、通らない求人に応募して落ち続ける時間を減らせます。

一方で、紹介手数料の分だけ採用のハードルが上がる面もある

ここは正直にお伝えします。人材紹介経由の採用では、施設が紹介手数料を支払います。そのため同じ条件の候補者が直接応募でもいる場合、施設側が直接応募を優先することはあり得ます。

経路回数が多い人にとっての利点注意点
人材紹介(エージェント)事前説明をしてもらえる/通る求人を絞ってもらえる手数料の分だけ採用コストが上がる/連絡が多い
直接応募手数料がなく採用ハードルが下がる/自分のペースで進められる回数の説明を自力でする必要がある
ハローワーク・ナースセンター手数料がなく、営業電話もない求人票の情報が簡素で職場の実態が分かりにくい
派遣・単発回数がほぼ問われない/職場を試せる期間の定めがある働き方になる

回数が多いなら、併用が最も現実的

おすすめは「エージェントで通りやすい求人を把握し、志望度の高い施設には直接応募する」という併用です。

ただし、同じ施設に紹介経由と直接応募の両方で応募するのは避けてください。施設側の心証を損ねます。応募先はメモで管理しましょう。

スキマかんごでは、掲載施設へ直接応募できる求人をご案内しています。紹介手数料が発生しないため、施設側の採用ハードルが下がる構造です。あわせて1日単位の単発のお仕事も掲載しており、応募前に職場を確かめられます。

転職回数をこれ以上増やさないための現実的な方法

「辞めたい理由」を職場要因と自分要因に分けて書き出す

同じ理由で辞め続けているなら、次も同じことが起きます。まず紙に2列で書き出してください。

職場要因(変えれば解決する)自分要因(職場を変えても続く)
夜勤の回数が多すぎた人に頼るのが苦手で抱え込む
教育体制がなかった評価 を受けると強く落ち込む
残業が常態化していた断るのが苦手で仕事を引き受けすぎる
スタッフの人数が足りなかった環境の変化に慣れるのに時間がかかる

左側だけなら、職場を変えれば解決します。右側が多い場合は、次も同じ結果になる可能性が高いので、働き方そのもの(勤務形態・規模・役割)を変えることを検討してください。

入職前に確認すべき7項目

  1. 直近1年の退職者数——看護職員数に対する割合が高ければ理由があります
  2. 夜勤の回数と体制——2人夜勤か3人夜勤かで負担がまったく違います
  3. 中途入職者への教育の進め方——「即戦力なので」で終わる職場は要注意です
  4. 1人あたりの受け持ち人数
  5. 残業の実態(昨年度の平均時間)——「ほとんどない」で終わらせず数字を聞きます
  6. 有給取得率——即答できるかどうかで管理体制が分かります
  7. 見学の可否——断られる場合、その理由を考えたほうがよいでしょう

最も確実なのは、単発で1日入ってから決めること

ここまで確認しても、スタッフ同士の関係や実際の忙しさは働いてみないと分かりません。そして、それこそが離職理由の上位を占める要素です。

近年は1日単位で働ける単発の求人が増えています。合わない職場に常勤で入って11回目を作るより、1日試して見送るほうが、履歴書には何も残りません。転職回数を増やしたくない方にとって、これは最も現実的な予防策です。

スキマかんごでは、看護助手・介護助手を含む1日単位ではたらける単発のお仕事と、掲載施設へ直接応募できる求人をご案内しています。単発は雇用契約が期間で区切られるため、常勤の転職回数としてカウントされる性質のものではありません。登録は無料で、はたらく義務もありません。

「応援ナース」「派遣」という、回数を増やさずに働く選択肢

期間の定めがある働き方は、常勤の短期離職とは読まれ方が違う

派遣看護師や応援ナース(一定期間の期間限定勤務)は、最初から契約期間が決まっている働き方です。そのため履歴書に複数記載されていても、「続かなかった人」ではなく「契約期間を満了した人」として読まれます。

職歴欄には「契約期間満了のため退職」と明記してください。この一文があるかないかで、印象は大きく変わります。

常勤に戻りたくなったときの橋渡しにもなる

派遣・単発で複数の職場を経験すると、自分に合う施設形態が具体的に分かります。そのうえで常勤に応募すれば、志望動機に説得力が生まれ、入職後のミスマッチも減ります。

働き方期間転職回数としての読まれ方向いている場面
単発・スポット1日〜ほぼ職歴として問われない職場を試したい/収入を補いたい
短期派遣数か月契約期間満了として読まれるブランク明け/体力を確認したい
応援ナース半年〜1年契約満了。むしろ経験として評価されることも収入を上げたい/環境を変えたい
常勤無期在籍期間がそのまま評価対象腰を据える職場が決まったとき

「合うかどうか分からない職場に、いきなり常勤で入る」のが、回数を増やす最大の原因です。段階を挟むだけで、履歴書に残る1行を防げます。

転職回数が「強み」として評価される3つのケース

ケース1|人手が足りず、すぐ動ける人を求めている職場

介護施設や訪問看護では、「初めての環境でも早く立ち上がれる」ことが実務上の価値になります。複数の職場を経験している人は、まさにその能力を証明できます。

ケース2|複数領域の経験が要件になる職場

訪問看護、施設の看護管理者、医療的ケアが必要な利用者を受け入れる施設などでは、急性期・慢性期・在宅を横断的に知っていることが求められます。1つの病院に長くいた人には作れない経歴です。

ケース3|専門性を積み上げてきたことが説明できる場合

転職のたびに規模や役割が上がっている、あるいは同じ領域を深めているなら、それは「キャリアアップの結果としての転職」です。年数と役割の変化を並べて示せば、回数は前向きに読まれます。

看護師の転職回数に関するよくある質問

転職回数が10回以上だと不利になりますか?

回数だけで一律に不利になるわけではありません。採用側が重視するのは、いちばん新しい職歴の在籍期間と、辞めた理由の説明が一貫しているかどうかです。10回以上でも直近が2〜3年続いていれば評価は変わります。逆に3回でもすべて半年以内であれば、回数以上に定着性を懸念されます。ただし大学病院や公的病院の常勤など、応募者が多い職場では回数が絞り込みに使われることがあります。

看護師は平均して何回転職していますか?

日本看護協会「2021年看護職員実態調査」では、経験した職場数の平均は3か所と報告されています。転職回数に置き換えるとおよそ2回です。経験職場数が「1〜2か所」の人が50.3%、「3〜4か所」が34.7%で、転職経験がある看護師は50.5%でした。年代が上がるほど経験職場数は増える傾向があります。

転職回数は何回からやばいですか?

公的な基準としての線引きはありません。実務上は20代で3回以上、30代で5〜6回以上、40代で8回以上あたりから面接で理由を聞かれやすくなる、という感覚で語られることが多い水準です。ただしこれは目安にすぎず、在籍期間が短い転職が続いているかどうかのほうが強く見られます。

転職7回目は多すぎますか?

年齢と在籍期間によります。40代で7回目、かつ各職場に3年以上在籍しているなら、経験の幅として説明できる範囲です。一方、20代で7回目、各職場が1年未満という場合は、次の職場でどう定着するのかを具体的に説明する必要があります。回数は減らせないので、直近の在籍をどう積むかに焦点を移すのが現実的です。

履歴書に職歴が書ききれないときはどうすればいいですか?

3つの方法があります。①履歴書の職歴欄を2枚に分けて記載する(最も安全)②履歴書には施設名と在籍期間のみを書き、業務内容は職務経歴書に寄せる③派遣や応援ナースは「派遣元の会社名+主な就業先」としてまとめる。いずれの場合も、在籍した職歴そのものを省略しないことが前提です。

転職回数をごまかすとバレますか?

必ず発覚するとは限りませんが、書類の提出過程で判明することがあります。雇用保険被保険者証や離職票には前職の事業所名が記載されている場合があり、年内に転職した場合は前職の源泉徴収票の提出を求められます。発覚した場合は経歴詐称として内定取消や懲戒解雇の対象になり得ます。取り扱いは各施設の就業規則によります。

パートや派遣も転職回数に含まれますか?

履歴書の職歴としては、雇用契約を結んで働いた期間は原則として記載します。ただし採用側の評価では、常勤での短期離職と、期間の定めがある派遣・応援ナースの契約満了とは分けて見られるのが一般的です。契約期間が決まっていた場合は「契約期間満了のため」と明記すると、自己都合の早期離職とは区別して読まれます。

転職回数が多くても年収は上げられますか?

上げられます。看護師の年収を左右するのは勤続年数よりも、夜勤の回数、勤務先の種別、地域手当、役職手当です。転職回数が多くても、夜勤に入れる、特定領域の経験があるといった条件があれば提示額は変わります。ただし退職金は勤続年数に連動するため、長期的な受取総額では不利になる点は理解しておく必要があります。

まとめ|回数は変えられない。変えられるのは「直近」と「説明」

  • 不利になるのは回数ではなく「直近の在籍期間」と「辞め方」。10回でも直近2〜3年続いていれば読み方が変わります
  • 既卒採用者の離職率は16.1%で新卒の約2倍(日本看護協会「2025年病院看護実態調査」)。回数が増えるのは構造的な面もあります
  • 面接官が確かめたいのは①またすぐ辞めないか ②スキルが定着しているか ③人間関係で問題がないかの3点だけです
  • 職歴が書ききれないときは2枚に分ける/職務経歴書に寄せる/派遣元でまとめる。省略はしない
  • 職務経歴書は時系列ではなく経験領域でまとめると、回数が最初の印象を決めなくなります
  • 「ごまかす」は選択肢になりません。書類の過程で判明することがあり、内定取消・懲戒解雇の対象になり得ます

そして最も現実的な対策は、11回目を作らないことです。合わない職場に常勤で入ってしまう前に、1日単発で現場を見て判断する——この一手間が、履歴書に残る1行を防ぎます。

転職回数が多いことは、あなたが職場を見極める目を持っているということでもあります。次の1社を、今度は「試してから」選んでください。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

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