この記事の結論

この記事で分かること

  • 看護師が無料で使えるのは、費用を採用側が払っているからです。紹介手数料は上限制で賃金の11.0%、届出制では年収の20〜30%程度が相場とされます。
  • この仕組み上、「早く・確実に決めてほしい」という力が働きます。急かされたときに何が起きているのかを知っておくと、判断を誤りません。
  • やめた方がいいのは「エージェント」ではなく「担当者」です。担当者は変更を申し出られます。合わないまま進めないでください。
  • 求人情報の的確な表示は法律上の義務です(2022年10月施行の改正職業安定法)。求人票と実態が違う場合、指摘してよい話です。
  • エージェントを使わない方がよいケースもあります。行きたい施設が決まっている、公務員系、身元が知られたくない——このときは直接応募やナースセンターが向いています。

「転職エージェントって、無料なのはなぜ?」
「登録したら、しつこく電話が来るって聞くけど…」
「どこを選べばいいのか分からない」

結論からお伝えします。看護師が無料で使えるのは、費用を採用する側が払っているからです。この一点を理解しておくだけで、担当者の言動の意味が分かり、判断を誤らなくなります。

この記事では、「おすすめ◯選」というランキングは掲載しません。私たちが実際に使っていないサービスに順位を付けることはできないためです。代わりに、看護師専門の人材紹介サービスで転職支援を担当していた立場から、エージェントの仕組み・やめた方がいい担当者の特徴・そして使わない方がよいケースまでを書きます。

この記事で参照した公開情報(2026年8月25日確認)
・職業安定法(求職者からの手数料徴収の原則禁止、有料職業紹介事業の手数料)
・厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」(求人等に関する情報の的確な表示の義務化/個人情報の取扱いルール/令和4年10月1日施行)
・都道府県ナースセンター(日本看護協会)の無料職業紹介・相談

制度は改正により変わります。最新の内容は厚生労働省および各機関の公表資料でご確認ください。手数料の相場は事業者により異なり、公的な統計ではありません。

結論|使うべき人と、使わない方がよい人は条件で分かれる

状況エージェント理由
希望条件がまだ固まっていない向く選択肢を並べて比較でき、条件の優先順位を整理できる
在職中で時間が取れない向く求人探し・日程調整・条件交渉を代行してもらえる
今の職場しか知らず、相場が分からない向く他施設の給与・体制の情報が得られる
ブランクがあり、どこから始めるか迷う向く(ナースセンターも)受け入れ実績のある施設を提示してもらえる
行きたい施設がすでに決まっている向かない直接応募のほうが通りやすい場合がある(後述)
公立病院・公的病院を希望向かない公募・採用試験によることが多く、紹介の対象外が中心
身元が知られたくない・狭い地域慎重に応募を避けたい施設名を先に伝える必要がある
まず現場を見てから決めたい向かない単発勤務や見学のほうが早く判断できる

「使う・使わない」の二択ではありません。エージェントで情報を集めながら、行きたい施設には直接応募する——この併用が最も現実的です。

【早見表】看護師の仕事の探し方4つを比較する

転職エージェント求人サイト(自分で応募)直接応募ナースセンター
費用(求職者)無料無料無料無料
誰が費用を払うか採用する施設掲載する施設公的(看護協会が運営)
求人を探す人担当者自分自分自分+相談員
条件交渉代行してもらえる自分自分相談できる
連絡の頻度多い少ないなし少ない
施設側の採用コスト高いゼロゼロ
小規模施設の求人少なめ多い多い
公立・公的病院少ない少ない公募で応募あり
自分のペースで進む
向いている人条件を整理したい・在職中自分で調べたい行き先が決まっている急かされたくない

「施設側の採用コスト」の行が、実は最も重要です

エージェント経由の採用は、施設にとって数十万円から百万円単位の費用がかかります。一方、直接応募は無料です。この差が、次のような形で現れます。

  • 採用予算に余裕のない小規模なクリニック・施設は、エージェントに求人を出していないことがある
  • 同じ人物が応募した場合、費用のかからない直接応募のほうが採用側の心理的なハードルは低い
  • 逆に、費用をかけてでも採りたい施設は、条件が良いか、人が足りていないかのどちらか

なぜ無料で使えるのか|紹介手数料の仕組みを知っておく

ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。仕組みを知らないまま使うと、担当者の言動を誤解します。

求職者から手数料を取ることは、原則として禁止されている

職業安定法では、有料職業紹介事業者が求職者から手数料を徴収することは原則として禁止されています(一部の職業を除きます)。つまり看護師が費用を負担することはありません。

費用は採用する医療機関・施設が支払います。入職が決まった時点で、施設からエージェントへ紹介手数料が支払われる仕組みです。

手数料には2つの方式がある

方式金額
上限制手数料6か月間の雇用に係る賃金について、支払われた賃金額の11.0%が上限(免税事業者は10.3%)
届出制手数料あらかじめ届け出た料率による。年収の20〜30%程度が相場とされる

出典:職業安定法。相場は事業者により異なり、公的な統計ではありません。実際の料率は各事業者の届出内容によります。

年収450万円の看護師が入職した場合、届出制で25%なら約112万円が施設からエージェントへ支払われる計算です。この金額の大きさが、次に説明する力学を生みます。

この仕組みから、必ず「早く・確実に決めてほしい」という力が働く

エージェントの売上は、入職が決まって初めて発生します。提案しても、面接に進んでも、辞退されれば売上はゼロです。だからこそ、次のようなことが起こります。

担当者の言動裏で働いている力あなたが取るべき行動
「今日中にお返事いただけますか」他社に先に決められることを避けたい期限は自分で決める。「◯日までに回答します」と伝える
「この求人は人気なのですぐ埋まります」検討を長引かせたくない本当に埋まるなら縁がなかったと考える。焦って決めない
「まず面接だけでも受けてみませんか」面接まで進めば決まる確率が上がる興味がなければ断ってよい。受けると断りにくくなる
辞退を伝えると引き止められる売上が消えるため理由を詳しく説明しなくてよい。「今回は見送ります」で足りる
希望より年収の高い求人を勧められる手数料が年収連動のため年収以外の条件(夜勤・通勤・体制)と合っているか自分で確認

誤解しないでいただきたいのは、これは「エージェントが悪い」という話ではありません。仕組み上そうなるというだけです。そして仕組みを知っていれば、急かされても冷静に判断できます。むしろ、この構造を理解している求職者ほど、エージェントを上手に使えます。

手数料が年収に連動することの、もう1つの意味

年収が高い求人ほど、エージェントの手数料も大きくなります。つまり担当者にとっては、年収の高い求人を勧めるほうが利益が大きいという構造です。

年収が上がること自体は良いことです。しかしその年収が「夜勤を増やすこと」で成り立っている場合、あなたの目的と一致しているとは限りません。提示された年収の内訳(基本給・夜勤手当・その他手当)を必ず確認してください。

「転職サイト」と「転職エージェント」は何が違うのか

言葉が混在していて分かりにくい部分です。整理します。

転職エージェント(人材紹介)求人サイト(募集情報等提供)
法律上の位置づけ職業紹介事業(厚生労働大臣の許可が必要)募集情報等提供事業
やること求人者と求職者の間に立ち、雇用関係の成立をあっせんする求人情報を提供する。あっせんは行わない
応募の届き方担当者を経由掲載施設へ直接
担当者がつくかつくつかない
費用の発生入職時に施設が手数料を支払う掲載料など(形態により異なる)
許可番号あり(13-ユ-◯◯◯◯◯◯の形式)特定募集情報等提供事業は届出

見分け方は「許可番号があるか」

有料職業紹介事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。許可を受けた事業者は「◯◯-ユ-◯◯◯◯◯◯」という許可番号を持っており、サイトに表示する義務があります。

サイトのフッターや会社概要に許可番号が見当たらない事業者は、その時点で慎重に判断してください。これは最も簡単で確実な確認方法です。

※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。

やめた方がいいエージェントの特徴8つ

検索でもよく調べられている論点です。結論から言うと、やめた方がいいのは「エージェント」ではなく「担当者」であることがほとんどです。会社の方針より、担当者個人の力量と姿勢の影響が圧倒的に大きい仕事だからです。

特徴何が起きているか対処
1希望と違う求人ばかり送ってくる希望を把握していない、または手持ちの求人を消化している条件を書面(メール)で再送し、それでも変わらなければ担当変更
2「今日中に返事を」と急かす他社との競合、月次の目標「◯日までに回答します」と自分で期限を切る
3辞退・見送りを引き止める売上が消えるため理由を詳しく説明しない。「今回は見送ります」で十分
4求人票にない条件を口頭でだけ説明する記録が残らない形での説明「メールでいただけますか」と必ず文字に残す
5現職の状況を勝手に応募先へ伝える個人情報の取扱いの問題伝えてよい範囲を明示する。逸脱すれば会社へ申し入れる
6連絡の頻度・時間帯の希望を守らない接触回数で成果を上げる方針「連絡はメールのみ・19時以降」など具体的に指定する
7担当変更を申し出ても対応しない担当者が自分の売上を手放したくない担当者ではなく、会社の問い合わせ窓口へ直接連絡する
8許可番号を明示していない利用しない

4番は、後から最も揉めやすいところです

「夜勤は相談できるそうです」「残業はほとんどないと聞いています」——口頭の説明は、入職後に「そんな話はしていない」となったときに証明できません。

重要な条件は、必ずメールで文字にしてもらってください。「確認のため、いまお伺いした内容をメールでいただけますか」と頼めば足ります。断られる理由がありません。

担当者の変更は、遠慮なく申し出てよいことです

「相性の問題だと思うのですが、別の方に担当していただくことは可能でしょうか。理由を細かくお伝えする必要はないかと思いますので、その点はご容赦ください」

エージェント側にも、合わない担当のまま進めて辞退されるより、担当を替えたほうがよいという事情があります。申し出は不利益になりません。担当者本人に言いにくい場合は、会社の問い合わせフォームや代表番号から伝えられます。

良い担当者の見分け方6つ|初回の連絡で分かります

担当者の質は、最初の1〜2回のやり取りでほぼ判断できます。

良い担当者のサインなぜそう言えるか
1求人を出す前に、条件の優先順位を聞いてくるミスマッチによる早期退職を防ごうとしている
2デメリットも先に説明する「ここは残業が多めです」と言える担当は、施設の実態を把握している
3「今回は合わないと思います」と言える目先の売上より、決まった後を見ている
4連絡方法・時間帯の希望を最初に確認する基本的な配慮ができている
5施設の離職状況・体制を数字で答えられる実際に施設へ足を運んでいる
6辞退したときの対応が丁寧最も分かりやすい判断材料。ここで態度が変わる担当は信用しない

6番が、最も確実な見極め方です

試すつもりでなくてよいので、断るときの反応を必ず見てください。売上にならないと分かった瞬間に連絡が途絶える、あるいは態度が冷たくなる担当者は、あなたの転職を第一に考えていません。

逆に、辞退しても「では次の求人を探しますね」「今回の理由を教えていただけると、次の提案の精度が上がります」と返ってくる担当者は、長く付き合う価値があります。

エージェントを比較する7つの基準|ランキングより基準で選ぶ

「おすすめ◯選」を見比べても、順位はサイトによってバラバラです。自分の条件に照らして基準で選ぶほうが確実です。

確認する基準どこで分かるか
1有料職業紹介事業の許可番号サイトのフッター・会社概要。なければ利用しない
2自分の希望エリアの求人数登録前に検索できるか。全国系でも地方は薄いことがある
3希望する働き方の求人があるかクリニック・訪問看護・健診など、病棟以外を狙うなら特に重要
4連絡方法を選べるか電話が苦手ならメール・LINE対応の可否を先に確認
5担当者が施設を訪問しているか初回面談で「見学に行かれていますか」と聞けば分かる
6入職後のフォローがあるか入職後に条件が違ったときに間に入ってもらえるか
7運営会社と、事業の実態会社概要・所在地・設立年。情報が少ない事業者は避ける

とくに2番|「求人数◯万件」という表示の読み方

求人数の多さは、そのまま自分の選択肢の多さを意味しません。確認すべきは総数ではなく「自分の通える範囲に、希望する働き方の求人が何件あるか」です。

登録前に検索できるサイトであれば、自分の市区町村+希望条件で絞って件数を見てください。ここが薄ければ、そのエージェントはあなたにとって選択肢が少ないということです。

エージェントの種類|どこに強みがあるかは会社によって違う

種類強み注意点
看護師特化の大手求人数が多い。医療業界の情報を持っている担当者1人あたりの担当求職者が多く、連絡が事務的になることがある
総合型(全業種)の大手看護師以外への転職も相談できる医療現場の内情に詳しくない担当がつくことがある
地域密着型その地域の施設の実情に詳しい。担当が実際に足を運んでいる求人の総数は少ない。エリア外は対応できない
特定分野特化(訪問看護・美容など)その分野の求人と情報が深い他分野への切り替えには向かない
ナースセンター(公的)無料・営業目的の連絡がない・復職支援研修がある求人の探索は自分主体。条件交渉の代行は限定的

大手と地域密着を1社ずつ、が現実的な組み合わせです。大手で求人の幅と相場を把握し、地域密着でその施設の実情を聞く。役割が違うため、情報が補い合います。

求人票と実態が違うとき|的確な表示は法律上の義務です

「聞いていた話と違う」は、転職で最も避けたい事態です。ここには制度上の裏づけがあります。

2022年10月から、求人情報の的確な表示が義務化されている

令和4年(2022年)10月1日に施行された改正職業安定法により、求人等に関する情報の的確な表示が事業者の義務とされました。対象となる情報は次のとおりです。

  1. 求人情報
  2. 求職者情報
  3. 求人企業に関する情報
  4. 自社に関する情報
  5. 事業の実績に関する情報

この改正では、あわせて個人情報の取扱いに関するルールの整備と、特定募集情報等提供事業の届出制の創設も行われています。

出典:厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」。詳細は同省の公表資料をご確認ください。

だから、違いに気づいたら指摘してよい話です

気づいた時期やること
面接前・面接中その場で担当者に確認する。「求人票では◯◯となっていましたが、認識に相違ありませんか」
内定後・入職前労働条件通知書を書面で受け取り、求人票と1行ずつ突き合わせる。違いがあれば入職前に確認
入職後まず施設に確認。並行してエージェントの担当者にも共有する
改善されない都道府県労働局の需給調整事業部門に相談できる

労働条件通知書は、必ず書面(または本人が希望した場合は電子メール等)で受け取ってください。労働基準法で、賃金・労働時間などの労働条件を明示することが定められています。「入職してから渡します」という施設は、その時点で判断材料になります。

エージェントを使わない方がよい5つのケース

ここは他の記事があまり書かない部分です。正直にお伝えします。

ケース1|行きたい施設がすでに決まっている

この場合は直接応募のほうが有利になることがあります。採用側にとって紹介手数料がかからないためです。同じ経歴の応募者が2人いて、片方は費用ゼロ、片方は百万円前後——採用側の判断に影響しないほうが不自然です。

また「なぜこの施設を選んだのか」を自分の言葉で説明できるため、志望度の高さが伝わります。

ケース2|公立病院・公的病院を希望している

自治体立の病院などは公募と採用試験による採用が中心で、人材紹介の対象になっていないことが多くあります。募集は各自治体・病院の公式サイトで公表されます。エージェントに登録しても、この求人は出てきません。

ケース3|小規模なクリニック・施設を狙っている

採用予算に余裕のない小規模な施設は、紹介手数料を負担できず、エージェントに求人を出していないことがあります。ハローワーク、施設の公式サイト、求人サイトのほうが見つかります。

ケース4|身元を知られたくない/地域が狭い

地方や、看護師同士のつながりが強い地域では、応募の事実が人づてに伝わる可能性があります。エージェントが本人の同意なく現職に伝えることはありませんが、選考の過程で施設側から漏れる可能性はゼロではありません。

この場合は、応募を避けたい施設名を最初にリストで伝えてください。「この法人には推薦しないでください」と明示するのが最も確実です。

ケース5|まず現場を見てから決めたい

求人票と面接だけでは、スタッフ同士の関係も、実際の忙しさも分かりません。1日単位の単発勤務で現場に入るほうが、確実に多くのことが分かります。常勤を決める前の判断材料として使えます。

スキマかんごでは、看護助手・介護助手を含む1日単位ではたらける単発のお仕事と、掲載施設へ直接応募できる求人をご案内しています。担当者からの営業連絡はありません。「エージェントで情報を集めつつ、気になる施設は1日だけ働いて確かめる」という併用ができます。

複数登録すべきか|2〜3社が現実的な理由

結論として2〜3社が上限です。1社では求人の幅と担当者の質に偏りが出て、提示された条件が相場に合っているかを判断できません。一方4社以上になると、同じ施設に別の会社経由で応募してしまう「重複応募」のリスクが上がり、連絡の管理だけで消耗します。

登録数起きること
1社比較の基準が持てない
2〜3社推奨。同じ施設の情報を突き合わせられる
4社以上重複応募のリスクと管理負担が急上昇

複数登録の最大の利点は、求人数ではなく同じ施設について違う説明が出たときに、それ自体が重要な情報になることです。A社が「残業は少ない」、B社が「あそこは残業が多め」と言うなら、そこを踏み込んで確認できます。

そして絶対に避けるべきは同じ施設への重複応募です。採用側は手数料の支払先が変わるため確認の手間が生じ、両方の選考が止まることがあります。「施設名・どの会社経由か・選考の段階・回答期限」の4項目をメモしておけば防げます。

掛け持ちの具体的な進め方——各社への伝え方、連絡が増えたときの止め方、断り方のテンプレート、2社目の選び方、重複応募が起きたときの対処は、看護師の転職サイトは掛け持ちすべき?2〜3社が上限になる理由で詳しく解説しています。

登録から入職までの流れ|各段階で外してはいけないこと

段階やること外してはいけないこと
①登録基本情報・資格・経験を入力連絡方法と時間帯を必ず指定する
②初回面談電話・オンライン・対面で30〜60分条件の優先順位を3つに絞って伝える
③求人の提案条件に合う求人を紹介される合わないものは理由をつけて断る。断ると精度が上がる
④書類の作成履歴書・職務経歴書添削は受けるが、内容は自分の言葉で
⑤見学・面接日程は担当者が調整見学を必ず希望する。現場を見ずに決めない
⑥内定・条件提示給与・勤務条件が示される労働条件通知書を書面で受け取る
⑦退職手続き現職への申し出就業規則の予告期間を確認。入職日は余裕を持って
⑧入職条件が違えば、担当者にも共有する

①登録時|「電話が苦手」は最初に言ってよい

登録直後に電話が集中するのは、早く接触したほうが決まりやすいという業界の慣行によるものです。これが「しつこい」と言われる最大の原因です。

登録フォームの備考欄に、あらかじめ書いておいてください。

「日中は勤務のため電話に出られません。ご連絡はメールでお願いします。お電話が必要な場合は、平日◯時以降または◯曜日にいただけますと幸いです」

これを最初に書いておくだけで、その後のストレスが大きく変わります。守られない場合は、それ自体が担当者を判断する材料になります。

初回面談|伝えるべきこと・伝えなくてよいこと

内容理由
伝えるべき条件の優先順位(上位3つ)これがないと提案の精度が上がらない
夜勤の可否と回数の上限最も選考に影響する条件
通勤できる範囲(時間・交通手段)ここが曖昧だと無駄な提案が増える
入職可能な時期退職の予告期間を踏まえて
応募を避けたい施設名現職の系列・知人がいる施設など
体力面・健康面の制約隠すと入職後に自分が苦しくなる
伝えなくてよい退職理由の詳細(人間関係の内情など)選考で有利に働かない
現職の給与の細かい内訳希望額を伝えれば足りる
他社エージェントの担当者名利用中である事実だけで十分
家庭の事情の詳細「◯曜日は勤務できない」など、条件の形で伝える

条件の優先順位は「3つまで」に絞る

「夜勤なし、年収は下げたくない、残業なし、通勤30分以内、人間関係が良いところ」——すべてを満たす求人は存在しません。優先順位をつけないまま伝えると、担当者は何を軸に探せばよいか分からなくなります。

伝え方
絶対条件(譲れない)「夜勤は月2回まで」「通勤45分以内」
優先条件(できれば)「年収は現状維持したい」
譲れる条件「診療科は問わない」「規模は問わない」

この3層で伝えると、担当者は「絶対条件を満たしたうえで、優先条件にどこまで近いか」で探せます。提案の質が明確に変わります。

履歴書・職務経歴書|添削はどこまで任せてよいか

多くのエージェントが書類の添削を行っています。受けたほうがよいですが、任せきりにしてはいけません。

任せてよい自分でやるべき
誤字脱字・体裁
書式・項目の順番
職歴の書き方(施設名・期間)
志望動機△(構成の助言まで)◎ 内容は自分の言葉で
できる業務・経験の記載◎ 誇張されていないか必ず確認
退職理由◎ 面接で自分が説明できる内容にする

注意していただきたいのは、経験の「盛りすぎ」です。担当者が良かれと思って表現を強めることがありますが、面接で聞かれて答えられなければ、その場で信用を失います。提出前に必ず全文を自分で読み、答えられない記載は削ってください。

看護師の職務経歴書は「対応できる処置」を具体名で書く

診療科名だけでは、採用側は何を任せられるか判断できません。実際にできる処置・使用経験のある機器を列挙してください。

  • 採血/末梢静脈路確保/中心静脈カテーテル管理
  • 人工呼吸器管理/気管吸引/NPPV
  • 褥瘡処置/ストマケア/経管栄養
  • 透析/輸血/化学療法の管理
  • 看取りの支援/家族への説明
  • 電子カルテ(システム名を記載)

「非公開求人」とは何か|期待しすぎないための実態

「非公開求人が◯万件」という表示をよく見ます。実態を整理しておきます。

非公開にする理由は3つ

理由中身求職者にとっての意味
①欠員を公にしたくない退職者が出たことを公表したくない、在職者に知られたくない好条件とは限らない。むしろ欠員が出た理由を確認すべき
②応募が殺到するのを避けたい条件が良く、公開すると選考の手間が大きくなる本当に条件が良い場合がある
③管理職・専門職の募集役職者の交代を公にしたくない経験が合えば有力な選択肢

「非公開=好条件」ではありません。①の理由による非公開も相当数あります。非公開求人を紹介されたときは、「なぜ非公開なのですか」「前任の方はどのくらいの期間勤務されていましたか」と必ず聞いてください。

件数の表示は、自分の選択肢の数ではない

「非公開求人3万件」という数字は全国・全職種の合計です。自分の通える範囲で、希望する働き方の非公開求人が何件あるか——初回面談で率直に聞いてください。ここが実際の選択肢の数です。

見学で見るべき12項目|求人票にも面接にも出てこないこと

見学は必ず希望してください。そして見るべきポイントを決めてから行ってください。何となく回ると、印象だけが残って判断材料になりません。

見る項目何が分かるか
1スタッフ同士の会話の仕方指示が一方通行か、相談が成立しているか
2ナースステーションの雰囲気私語がない=良いとは限らない。ピリついているかどうか
3案内してくれる人が現場の人か事務長だけの案内は、現場を見せたくない可能性
4スタッフの年齢構成自分と近い年代がいるか。極端に偏っていないか
5掲示物・シフト表実際の夜勤回数、有給の取得状況が見えることがある
6物品・機器の状態設備への投資姿勢。古い機器ばかりなら経営状況の目安
7移乗リフト・スライディングシートの有無身体的負担に直結。あっても使われていないことがある
8休憩室実際に休憩が取れているか。荷物だけ置かれていないか
9患者・利用者への声のかけ方ケアの質が最も出る部分
10記録は紙か電子か電子カルテのシステム名を聞いておく
11時間外に残っている人の数夕方の時間帯に見学できると分かる
12質問への答え方数字で答えられるか、曖昧にされるか

見学中に、現場のスタッフに直接聞けるとよい3つ

「差し支えなければ教えてください。①だいたい何時ごろに退勤される方が多いですか ②有給は取りやすい雰囲気でしょうか ③中途で入られた方は、どのくらいで慣れられますか

案内役ではなく、現場のスタッフに聞けるかどうかが重要です。「スタッフの方に少しお話を伺ってもよいですか」と申し出て、断られる場合は、その反応自体が情報になります。

面接でよく聞かれる10の質問|看護師の中途採用で実際に出るもの

質問相手が確かめたいこと答え方の方向
1転職の理由を教えてください同じ理由でまた辞めないか前職批判を避け、「◯◯したい」という形に変える
2なぜ当院を選びましたか志望度・下調べの深さその施設の特徴を1つ挙げて、自分の経験と結びつける
3これまでの経験を教えてください明日から何を任せられるか診療科名でなくできる処置を具体名で
4夜勤は何回まで可能ですかシフトに組めるか回数まで明確に。曖昧にすると入職後に揉めます
5いつから勤務できますか採用計画に合うか退職の予告期間を踏まえた現実的な日付
6希望の給与はありますか予算内に収まるか現職の年収と内訳を根拠に示す
7ブランクについて教えてください立ち上がりの早さ期間を正直に。「何から始めたいか」を添える
8転職回数が多いようですが定着するか回数を認めたうえで、今回は何が違うのかを具体的に
9年下のスタッフから指導を受けられますかベテランへの最大の懸念「この職場では新人として入ります」と明確に
10何か質問はありますか志望度・視点必ず用意する。「特にありません」は避ける

10番の逆質問で、必ず入れておきたい5つ

  1. 「直近1年で退職された方は、看護職員何名中何名でしょうか」——最も実態が出ます
  2. 「中途入職者の教育は、どなたがどのくらいの期間担当されますか」
  3. 「夜勤は月何回で、何人体制でしょうか」
  4. 「有給休暇の取得率はどのくらいでしょうか」
  5. 「入職して1年後、私はどのような業務を担当している見込みでしょうか」

給与や休みの質問は、遠慮せずしてください。「聞くと印象が悪いのでは」と考える方が多いのですが、これらは労働条件であり、確認するのは当然のことです。むしろ曖昧なまま入職するほうが、双方にとって不幸になります。

面接同行と条件交渉|どこまでやってもらえるのか

項目一般的な対応依頼するときのポイント
日程の調整代行してもらえる在職中は候補日を複数出す
面接同行会社・担当者による希望するなら早めに伝える
給与の交渉代行してもらえる希望額と、その根拠(現職の年収)を伝える
夜勤回数の相談代行してもらえる面接前に伝えておく。内定後だと覆りにくい
入職日の調整代行してもらえる退職の予告期間を確認してから
辞退の連絡代行してもらえる理由を細かく説明する必要はない

条件交渉を任せられるのが、エージェントの最大の利点です

「もう少し給与を上げてほしい」「夜勤を月2回にしてほしい」——これを自分で言うのは、直接応募では非常に言いにくい。間に立つ人がいることで、関係を悪くせずに条件を確認できます。

ただし交渉は面接前か面接中に伝えておくことが重要です。内定が出た後で条件を変えようとすると、施設側は既に稟議を通しているため、覆りにくくなります。

年収交渉は「希望額+根拠」をセットで伝える

「現職が年収◯◯万円で、うち夜勤手当が◯◯万円です。夜勤を減らす前提なので、◯◯万円あたりを目安に考えています。基本給と手当の内訳も確認させていただけますか」

根拠のない希望額は通りません。現職の内訳と、新しい働き方での想定を示すと、交渉の材料になります。

内定後に必ず確認する8項目

  1. 労働条件通知書が書面で交付されるか——最重要。口頭のみは不可
  2. 基本給と手当の内訳——「月給◯◯万円」の中身。夜勤手当が含まれていないか
  3. 夜勤の回数と人数体制——2人夜勤か3人夜勤かで負担が変わります
  4. 賞与の実績——「◯か月分」ではなく直近の支給実績
  5. 試用期間の有無と、その間の条件——給与が下がる場合がある
  6. 残業代の計算方法——固定残業代(みなし残業)が含まれていないか
  7. 有給休暇の付与時期
  8. 退職金制度の有無と、対象になる勤続年数

6番の固定残業代は、見落とされやすい項目です

「月給30万円」と提示されていても、そこに20時間分の固定残業代が含まれている場合があります。この場合、20時間までの残業には追加の支払いがありません。

求人票に「固定残業代」「みなし残業」「◯時間分を含む」という記載があるかを必ず確認してください。記載がある場合は、何時間分がいくらなのかを聞いてください。

断り方・退会の仕方|言いにくさで進めてしまわないために

求人を断るとき

「ご紹介ありがとうございます。今回は◯◯の条件が合わないため、見送らせてください。引き続き、◯◯を優先した求人をお願いできますと幸いです」

理由を1つ添えると、次の提案の精度が上がります。「なんとなく合わない」でも構いませんが、条件で示せると担当者が動きやすくなります。

内定を辞退するとき

「大変申し訳ありませんが、検討の結果、今回は辞退させていただきます。ご調整いただいたにもかかわらず、申し訳ございません」

辞退は求職者の権利です。入職日の直前でなければ、詳しい理由を説明する義務はありません。引き止められても、繰り返し同じ言葉を伝えれば足ります。

転職自体をやめるとき・退会するとき

登録は情報提供を受けるための手続きであり、転職の義務は生じません。「今の職場に残ることにしました」と伝えれば終わりです。

連絡を止めたい場合は、退会の意思をはっきり伝えてください。個人情報の取扱いについては、改正職業安定法でルールが整備されています。削除を希望する場合はその旨も伝えられます。

連絡がしつこいとき、実際に効く3段階

段階やること
1メールで(記録が残る形で)連絡方法と頻度を指定する。「電話は不要、メールのみ、週1回まで」
2守られなければ、担当変更を会社の窓口に申し出る
3それでも改善しなければ退会。そのエージェントを使う必要はありません

1の時点で「メールで」書いておくことが重要です。口頭で伝えただけでは、担当者が変わったときに引き継がれません。

自分で探す方法|エージェントを使わない場合の5つのルート

「担当者とやり取りせず、自分のペースで探したい」という方は少なくありません。その場合の選択肢を整理します。

ルート強み手間向いている人
ナースセンター無料・公的・営業連絡なし・復職支援研修急かされたくない/ブランクがある
ハローワーク無料・地域の求人が集まる・小規模施設も多い地元で探したい
求人サイト(直接応募)担当者がつかない・自分のペース条件が決まっている
施設の公式サイトから応募採用コストがかからず有利になることがある行きたい施設が決まっている
知人の紹介(リファラル)職場の実情が事前に分かる信頼できる知人がいる

都道府県ナースセンターは、もっと知られてよい選択肢です

各都道府県のナースセンターは日本看護協会が運営しており、看護職のための無料の職業紹介を行っています。

できること内容
無料職業紹介eナースセンターでの求人検索・相談
復職支援研修採血・注射などの技術演習、最新の医療知識の確認
看護師等届出制度離職時などに届け出ると、復職に向けた情報提供を受けられる
相談対応看護職の事情を理解した相談員が対応。営業目的の連絡がない

研修の内容・実施時期は都道府県により異なります。お住まいの都道府県のナースセンターにご確認ください。

施設の公式サイトから直接応募するときのコツ

公式サイトに「採用情報」がなくても、問い合わせフォームや電話で募集の有無を聞けます。実際、常に募集を公表していなくても人を探している施設は多くあります。

「看護師の◯◯と申します。現在、看護師の募集をされていますでしょうか。もし募集の予定がありましたら、応募方法を教えていただけますと幸いです」

この一本の電話で、求人サイトに出ていない枠が見つかることがあります。採用コストがかからないため、施設側も前向きに検討しやすい方法です。

状況別|エージェントの使い方はここが変わる

在職中で、時間が取れない場合

エージェントが最も効く状況です。求人探し、日程調整、条件交渉を代行してもらえるため、限られた時間を面接と見学に集中できます。

  • 連絡方法をメールに限定する——勤務中の電話は現実的でありません
  • 面接候補日を複数まとめて渡す——都度のやり取りを減らせます
  • 見学は夜勤明けや休日に設定できないか相談する

すでに退職している場合

離職期間が長引くほど、次の選考で説明が必要になります。「早く決めたい」という気持ちが、担当者の「早く決めてほしい」と重なりやすい状況です。

ここが最も焦りやすいタイミングです。期限は自分で決めてください。「◯月末までに決める」と自分で区切ったうえで、そこまでは条件を妥協しないと決めておくと判断がぶれません。

ブランクがある場合

ナースセンターの復職支援研修と併用するのが現実的です。研修で技術の不安を減らしてから、エージェントで求人を比較する。順番を逆にすると、不安を抱えたまま条件を選ぶことになります。

転職回数が多い場合

担当者に回数と理由を先に共有してください。隠して進めると、書類が通らない理由が分からないまま応募を重ねることになります。共有しておけば、回数を問題にしにくい施設を選んで提案してもらえます。

50代以上の場合

年齢を理由に提案が来なくなることがあります。その場合、担当者が持っている求人の幅の問題であることが多いため、地域密着型のエージェントやナースセンターを併用してください。また、定年・再雇用の実績を確認する必要があるため、その点を面接で聞いてもらうよう依頼しておきます。

看護師以外の仕事も検討している場合

看護師特化のエージェントは、他業種の求人を持っていません。その方向も考えるなら、総合型のエージェントを併用する必要があります。ただし、総合型の担当者は医療現場の内情に詳しくないことが多い点は踏まえておいてください。

個人情報はどう扱われるのか

「現職に知られたくない」という不安は当然のものです。制度上の枠組みを確認しておきましょう。

改正職業安定法で、個人情報の取扱いルールが整備されている

2022年10月施行の改正職業安定法では、求人等に関する情報の的確な表示の義務化とあわせて、個人情報の取扱いに関するルールの整備が行われました。事業者は、業務の目的の範囲内で個人情報を収集・使用・保管する必要があります。

それでも、自分でできる備えがあります

不安備え方
現職に知られたくない応募を避けたい施設・法人名をリストで最初に渡す
系列病院に伝わるのが心配法人名で指定する(施設名だけでは系列が漏れます)
知人が働いている施設があるその施設も避けたいリストに入れる
登録した情報を消したい退会時に削除を希望する旨を伝える
複数社に同じ情報が渡るのが不安登録数を2〜3社に絞る

「避けたい施設リスト」は、初回面談で必ず渡してください。後から言うより、最初に伝えておくほうが確実です。

トラブルになりやすい5つの場面と、相談先

場面対応
①求人票と条件が違う担当者に指摘。労働条件通知書と突き合わせる。改善されなければ都道府県労働局の需給調整事業部門へ
②辞退を認めてもらえない辞退は求職者の権利。会社の問い合わせ窓口へ直接連絡する
③同意なく応募された直ちに会社へ申し入れる。記録(メール)を残す
④入職後に条件が違った施設に確認。労働条件の相違は労働基準監督署に相談できる
⑤しつこい連絡が止まらないメールで停止を要求 → 担当変更 → 退会

相談先の使い分け

相談先扱う内容
都道府県労働局 需給調整事業部門職業紹介事業者に関する問題(求人情報の表示、事業者の運営)
労働基準監督署入職後の労働条件(賃金の未払い、労働時間、労働条件の相違)
総合労働相談コーナー労働問題全般。無料で相談できる
都道府県ナースセンター看護職のキャリア相談。転職そのものの相談

※個別の事案の扱いは状況によります。判断に迷う場合は各窓口にご相談ください。

エージェントを「上手に使う」7つのコツ

  1. 連絡方法と時間帯を最初に指定する——登録フォームの備考欄に書いておく
  2. 条件を3層(絶対・優先・譲れる)で伝える——提案の精度が変わります
  3. 断るときは理由を1つ添える——次の提案が良くなります
  4. 重要な条件はメールで文字にしてもらう——口頭の説明は後から証明できません
  5. 回答の期限は自分で決めて先に伝える——急かされる余地をなくします
  6. 見学を必ず希望する——現場を見ずに決めないでください
  7. 合わない担当者は替える——遠慮する必要はありません

この7つのうち、1・4・5の3つは初回のやり取りで済みます。そしてこの3つを最初にやっておくかどうかで、その後の数か月のストレスがまったく変わります。登録した直後が、最も重要なタイミングです。

退職の進め方|引き止めにどう対応するか

内定が出た後、多くの方が最も気を使うのがここです。手順を決めておけば、消耗せずに進められます。

順番やることポイント
1就業規則で退職の予告期間を確認「1か月前まで」「2か月前まで」など施設により異なります
2直属の上司に、口頭で先に伝えるいきなり退職届を出さない。順番を飛ばすと角が立ちます
3退職日と最終出勤日を決める有給の残日数を確認し、消化の計画も同時に相談
4退職届を提出書式は施設の指定に従う
5引き継ぎ担当患者・委員会・書類。引き継ぎ書を作ると揉めにくい
6返却・受領物の確認職員証・鍵・制服/離職票・源泉徴収票・年金手帳

引き止めで言われやすいことと、返し方

言われること考え方
「今は人が足りないから待ってほしい」人が足りない状態は、多くの場合いつまでも続きます。予告期間を守れば、退職の意思は本人が決められます
「代わりが見つかるまで」採用は施設の責任です。期限のない条件は受けないでください
「条件を上げるから残ってほしい」条件が理由なら検討の余地はあります。ただし口頭の約束は書面にしてもらってください
「その年齢で転職しても大変だよ」心配としての言葉のこともあります。判断材料にはしないでください
「退職金が減る」金額を確認してから判断してください。総務・人事に試算を依頼できます

次が決まる前に辞めるべきか

原則としておすすめしません。離職期間が長引くと、次の選考で説明が必要になります。また、収入が途切れることで焦りが生まれ、条件を妥協しやすくなります。

ただし、眠れない・食欲がない・出勤前に動悸がするといった状態であれば別です。その状態で転職活動を続けるのは現実的ではありません。まず休むことを優先してください。傷病手当金など利用できる制度があります。

入職後の3か月|早期離職を防ぐために知っておくこと

既卒採用者の離職率が新卒の約2倍という数字は、入職後の最初の数か月に集中しています。ここを乗り切る前提を持っておいてください。

時期起きることこの時期の考え方
1〜2週目物の場所、記録の書き方、人の名前。経験者なのに何もできない感覚当たり前です。経験の長い人ほど強く感じます
3〜4週目単独で動き始め、時間内に終わらない手順のメモを作る。既存のマニュアルは経験者向けで疑問に答えていません
2か月目やり方の違いへの違和感が出る。「前の職場では」と言いたくなるここが最大の分岐点。まず覚える、意見は後
3か月目業務は回るが、人間関係の距離感が定まらない一人前に動けるまで3か月〜半年は一般的です

「前の職場では」が、最も定着を妨げます

経験のある方ほど、より良いやり方を知っていることがあります。しかし入職直後にそれを口にすると、受け入れられません。まず現場の手順を覚え、信頼を得てから提案してください。順番の問題です。

条件が違っていたときは、早めに動く

入職後に求人票と条件が違うと分かった場合、我慢せず早い段階で確認してください。時間が経つほど「今さら言えない」となります。

  • まず施設(上司・人事)に確認する
  • エージェント経由なら担当者にも共有する(間に入ってもらえます)
  • 労働条件通知書と実態の相違は、労働基準監督署に相談できます

転職活動でよく出る用語|意味が分かると話が早い

用語意味
非公開求人一般に公開していない求人。好条件とは限らず、欠員を公にしたくない場合も含む
推薦(レコメンド)エージェントが応募先へあなたを推薦すること。同意なく推薦されることはあってはなりません
内定承諾内定を受ける意思表示。承諾後の辞退は可能ですが、迷惑がかかるため慎重に
労働条件通知書賃金・労働時間などの労働条件を明示する書面。必ず受け取ってください
固定残業代(みなし残業)一定時間分の残業代をあらかじめ含めた給与。何時間分かを必ず確認
試用期間入職後の一定期間。この間の給与・条件が異なる場合があります
2交代・3交代夜勤の勤務形態。2交代は1回が長く回数が少ない、3交代は1回が短く回数が多い
プリセプター新人・中途の指導担当者。中途入職者にも付くかを確認
オンコール待機して呼び出しに備える体制。月の当番回数と、実際の呼び出し件数を確認
許可番号(◯◯-ユ-◯◯◯◯◯◯)有料職業紹介事業の許可番号。表示がない事業者は利用しない

「転職お祝い金」がなくなった理由|今も掲げている事業者には注意

かつては「入職したら◯万円プレゼント」を掲げる転職サイトがありました。現在、これは禁止されています。

2021年4月から、就職お祝い金は原則禁止

2021年4月1日に職業安定法に基づく指針が改正され、職業紹介事業者が求職者に対して金銭等を提供して転職を勧奨することが原則として禁止されました。

なぜ禁止されたのか

理由は、求職者にとって重要な話です。

一部の事業者が、「お祝い金」を誘い文句に1人の求職者を短期間で何度も転職させ、その回数分の紹介手数料を受け取るという使われ方をしていたためです。短期離職を繰り返した経歴は、求職者本人に残ります。お祝い金の数万円と引き換えに、その後のキャリアが不利になる構図でした。

2025年4月から規制が強化され、求人サイトにも適用されている

令和7年(2025年)4月1日から指針が一部改正され、お祝い金規制(求職者への金銭やギフト券等の提供)の禁止が強化されました。あわせて、募集情報等提供事業者(求人サイト等)にも同様の規制が適用されています。

※制度の詳細および適用範囲は厚生労働省の公表資料をご確認ください。

だから、いま「お祝い金」を大きく掲げているサービスは慎重に見てください

金銭で転職を促すことは、規制の対象です。お金を判断材料にすると、職場そのものの見極めが甘くなります。数万円のために合わない職場を選んでしまうほうが、はるかに損失が大きくなります。

早期退職したらどうなるか|返金規定という仕組み

あまり説明されませんが、知っておくと担当者の行動が理解できます。

多くの契約に「返金規定」がある

紹介した人が短期間で退職した場合、エージェントが施設へ手数料の一部を返金する取り決めが置かれていることが一般的です。入職から1か月・3か月・6か月といった区切りで返金率が決まっている形が多く見られます。

これが意味することあなたへの影響
担当者は早期退職を避けたい良い担当者ほど、ミスマッチを事前に潰そうとする(プラス)
入職後しばらくフォローの連絡が来る条件の相違があれば相談できる(プラス)
返金期間を過ぎると連絡が減ることがあるフォローの手厚さは会社によります
辞めたいと相談すると引き止められることがある退職の判断は自分で。返金規定はあなたの責任ではありません

重要なのは、返金規定はエージェントと施設の間の取り決めであり、あなたが負担するものではないという点です。「すぐ辞めたら費用を請求される」ということはありません。求職者に費用が発生しない仕組みは、職業安定法で守られています。

看護師の転職市場|いま何が起きているか

指標状況意味すること
有効求人倍率保健師・助産師・看護師は全職業平均を上回って推移(厚生労働省「一般職業紹介状況」)経験者への需要は続いている
既卒採用者の離職率16.1%(新卒採用者は8.4%)/日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」転職して入った職場ほど続きにくい
在宅・介護分野の需要地域包括ケアの推進により、訪問看護・施設の需要が続いている病棟以外の選択肢が広がっている

有効求人倍率は月・地域により変動します。最新の数値は各公表資料でご確認ください。

この2つの数字が示していること

採用されること自体は、看護師にとって難しくありません。難しいのはその先です。既卒採用者の離職率が新卒の約2倍であるという事実は、「入れる職場」と「続く職場」は違うということを示しています。

だからこそ、エージェントの担当者に「早く決めましょう」と言われたときに立ち止まれるかどうかが、その後の数年を左右します。

年収を上げたい場合|現実的に効く順番

方法効果現実性注意点
夜勤の回数を増やす大きい高い体力との引き換え。長く続かない場合がある
訪問看護へ移る大きい高いオンコールの回数を必ず確認
役職に就く管理業務が増える
認定・専門看護師の資格低〜中費用と期間がかかる。手当の額を事前に確認
規模の大きい法人へ移る賞与・退職金の実績を確認
単発勤務を組み合わせる高い常勤の副業規定を確認

提示された年収は、必ず内訳で見てください

エージェントの手数料は年収に連動します。そのため年収の高い求人が優先的に提案されやすい構造があります。年収が上がること自体は良いことですが、その内訳が「夜勤を月8回入る前提」であれば、あなたの目的と一致しているとは限りません。

確認する項目聞き方
基本給「基本給はいくらでしょうか」
夜勤手当と、前提の回数「その年収は、夜勤が月何回の前提でしょうか」
固定残業代の有無「みなし残業は含まれていますか。含まれる場合は何時間分ですか」
賞与「直近の支給実績は何か月分でしょうか」
昇給「昇給は年何回で、直近の実績はどのくらいですか」

焦って決めないための3つの判断軸

最後に、最も大切なことをお伝えします。転職で失敗するのは、条件が悪い求人を選んだときではなく、判断の軸がないまま急かされて決めたときです。

判断軸決めておくこと
1絶対に譲れない条件は何か1つか2つに絞る。これを満たさない求人は、他が良くても選ばない
2いつまでに決めるか自分で期限を決める。担当者の「今日中に」に合わせない
3現場を見たか見学または単発勤務。見ずに決めない

この3つを紙に書いて、手元に置いてください。急かされたときに読み返せるものがあるかどうかで、判断はまったく変わります。

よくある質問

看護師の転職エージェントは本当に無料ですか?

求職者は無料です。職業安定法により、有料職業紹介事業者が求職者から手数料を徴収することは原則として禁止されています(一部の職業を除く)。費用は採用する医療機関・施設が支払っています。上限制手数料の場合は6か月間の雇用に係る賃金の11.0%(免税事業者は10.3%)が上限、届出制手数料の場合は年収の20〜30%程度が相場とされます。

看護師は転職エージェントを使わない方がいいですか?

状況によります。希望条件が固まっていない、複数の選択肢を比較したい、在職中で時間が取れない場合は有効です。逆に、行きたい施設がすでに決まっている、公立病院など公募のみの募集、紹介手数料の負担を避けたい小規模施設を狙っている場合は、直接応募のほうが通りやすいことがあります。両方を並行して使うのが現実的です。

やめた方がいい転職エージェントの特徴は?

8つあります。①希望と違う求人ばかり送ってくる②「今日中に返事を」と急かす③辞退や見送りを引き止める④求人票にない条件を口頭でだけ説明する⑤現職の状況を勝手に相手に伝える⑥連絡の頻度・時間帯の希望を守らない⑦担当変更を申し出ても対応しない⑧許可番号を明示していない。いずれか1つでも当てはまれば、担当変更か別のエージェントの併用を検討してください。

転職エージェントは何社くらい登録すべきですか?

2〜3社が現実的です。1社では求人の幅と担当者の質に偏りが出ます。一方で4社以上になると、同じ求人を別のエージェント経由で重複応募してしまうリスクが上がり、連絡の管理も負担になります。登録したら、どのエージェントからどの施設に応募したかを必ず自分で一覧にして管理してください。

同じ病院に複数のエージェントから応募したらどうなりますか?

重複応募は避けてください。採用側は「どちらの紹介か」で手数料の支払先が変わるため、確認の手間が生じ、印象が悪くなります。場合によっては両方とも選考が止まることがあります。応募前に他社経由で応募していないかを必ず自分で確認し、応募先の一覧を管理してください。

求人票と実際の条件が違ったらどうすればいいですか?

まず担当者に指摘してください。2022年10月施行の改正職業安定法により、求人情報等の的確な表示は事業者の義務とされています。入職前であれば労働条件通知書を書面で受け取り、求人票との違いを確認してください。改善されない場合は、都道府県労働局の需給調整事業部門に相談できます。入職後の労働条件の問題は労働基準監督署が窓口です。

担当者と合わない場合、変更してもらえますか?

申し出られます。エージェント側にも、合わない担当のまま進めて辞退されるより担当を替えたほうがよいという事情があります。「相性の問題で、別の方にお願いしたい」と伝えれば足り、理由を詳しく説明する必要はありません。窓口が分からない場合は、会社の問い合わせフォームや代表番号から伝えられます。

登録したら必ず転職しないといけませんか?

その必要はありません。登録は求人情報の提供を受けるための手続きで、応募や入職の義務は生じません。「情報収集の段階です」と最初に伝えておくと、進め方の前提が共有できます。転職しないと決めた場合は、その旨を伝えて退会できます。

在職中であることは職場に知られませんか?

エージェントが求職者の情報を本人の同意なく現職に伝えることはありません。改正職業安定法で個人情報の取扱いルールが整備されています。ただし、応募先が現職と近い地域・系列である場合、選考過程で人づてに伝わる可能性はゼロではありません。心配な場合は、応募を避けたい施設名・法人名を最初にリストで伝えておいてください。

公的な無料の相談先はありますか?

各都道府県のナースセンター(日本看護協会が運営)があります。無料職業紹介のほか、復職支援研修や相談に対応しています。営業目的の連絡がなく、自分のペースで進めたい方に向いています。eナースセンターでインターネットからも求人を探せます。ハローワークも無料で利用できます。

まとめ|仕組みを知って使えば、エージェントは味方になります

  • 無料で使えるのは、費用を採用側が払っているから。上限制で賃金の11.0%、届出制では年収の20〜30%程度が相場とされます
  • この仕組み上「早く・確実に決めてほしい」という力が働きます。急かされたら、期限は自分で決めてください
  • やめた方がいいのは「エージェント」ではなく「担当者」。変更は遠慮なく申し出てよいことです
  • 求人情報の的確な表示は法律上の義務(2022年10月施行)。違いに気づいたら指摘してよい話です
  • 行きたい施設が決まっている/公立病院/小規模施設なら、直接応募のほうが有利になることがあります
  • 登録は2〜3社。重複応募だけは避けてください

転職エージェントは、使い方さえ分かっていれば強力な道具です。仕組みを知らずに使うと相手のペースに乗ってしまい、知って使えば自分のペースで進められます。その差は、登録した直後の数回のやり取りで決まります。

そして最後にもう一度お伝えします。求人票と面接だけでは、その職場で自分が続けられるかは分かりません。決める前に、見学か、できれば1日でも現場に立ってみてください。既卒採用者の離職率が新卒の約2倍という数字は、そこを飛ばした結果として表れています。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。

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