この記事の結論
この記事で分かること
- 2012年施行の社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、研修修了者が喀痰吸引・経管栄養を実施できるようになりました。
- 第1号・第2号は不特定多数が対象で約15日間、第3号は特定の方が対象で約2日間です。
- 気管カニューレ内部の吸引と経鼻経管栄養は、第1号研修の範囲です(第2号は含みません)。
- 本人の認定証(認定特定行為業務従事者認定証)と、事業所側の登録の両方が必要です。
- 実地研修があり、勤務先の協力が前提になります。受け入れ先が確保できないと修了できません。
- 受講前に費用負担・研修日の扱い・手当・実地研修の受け入れ先を確認してください。
「たん吸引の研修、1号と2号と3号は何が違うの?」
「介護職でも吸引していいの?」
「どのくらいの日数と費用がかかる?」
結論から書きます。介護職員等が喀痰吸引や経管栄養を行えるのは、社会福祉士及び介護福祉士法の改正(2012年施行)によって認められたからです。それ以前は、原則として行うことができませんでした。
そして1号・2号・3号の違いは、「誰に対して、どの行為をできるか」です。1号と2号は不特定多数の方が対象、3号は特定の方が対象。行為の範囲も変わります。日数も大きく違い、1号・2号は講義50時間+演習で約15日間、3号は講義8時間+演習1時間で約2日間という水準です。
この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、3つの研修の違い、できるようになる行為、認定証と事業所登録の仕組み、そして受ける前に確認すべきことを整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・2012年(平成24年)施行の社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、研修を修了した介護職員等が、医師の指示や看護師との連携のもとで一定の医療的ケアを実施できることとなりました
・対象となる行為は喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)です
・第1号研修:不特定多数の方が対象で、上記のすべての行為が対象
・第2号研修:不特定多数の方が対象で、一部の行為(喀痰吸引は口腔内・鼻腔内〈気管カニューレ内部を除く〉、経管栄養は胃ろう・腸ろう〈経鼻を除く〉)
・第3号研修:特定の方が対象。講義8時間+演習1時間で約2日間(第1号・第2号研修は講義50時間+演習で約15日間)
・研修修了後、都道府県に認定の申請を行い、認定証(認定特定行為業務従事者認定証)の交付を受けます
・実施にあたっては、事業所側にも登録(登録特定行為事業者等)が必要です
・研修は都道府県または登録研修機関が実施します
研修の区分・時間数・費用・申請手続きは都道府県および実施機関により異なります。受講を検討される場合は、必ず都道府県および登録研修機関の最新の案内をご確認ください。
結論|1号・2号・3号は「対象者」と「行為の範囲」で分かれます
| 第1号研修 | 第2号研修 | 第3号研修 | |
|---|---|---|---|
| 対象者 | 不特定多数 | 不特定多数 | 特定の方 |
| 行為 | すべて | 一部 | その方に必要な行為 |
| 気管カニューレ内部の吸引 | 含む | 含まない | 必要に応じて |
| 経鼻経管栄養 | 含む | 含まない | 必要に応じて |
| 日数の目安 | 講義50時間+演習/約15日間 | 講義8時間+演習1時間/約2日間 | |
| 向いている方 | 施設で幅広く対応したい | 施設で基本的な吸引・経管栄養を担う | 特定の利用者を担当する(訪問介護など) |
「とりあえず取るなら3号」ではありません。3号は特定の方が対象のため、担当が変われば改めて対応が必要になります。施設で働き続けるなら1号・2号のほうが使える範囲が広くなります。
できるようになる行為
| 区分 | 行為 |
|---|---|
| 喀痰吸引 | 口腔内 |
| 鼻腔内 | |
| 気管カニューレ内部 | |
| 経管栄養 | 胃ろう |
| 腸ろう | |
| 経鼻経管栄養 |
これらは医師の指示のもと、看護職員との連携のもとで実施されます。介護職員が単独の判断で行えるようになる制度ではありません。
研修だけでは実施できません|2つの登録が必要です
ここが最も見落とされやすい点です。
| 必要なもの | 内容 |
|---|---|
| ①本人の認定証 | 研修修了後、都道府県に申請して認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けます |
| ②事業所の登録 | 実施する事業所側も、登録特定行為事業者等としての登録が必要です |
研修を修了しても、勤務先が登録をしていなければ実施できません。転職先を選ぶときも、その事業所が登録事業者かどうかを確認する必要があります。
「こちらの事業所は、喀痰吸引等の登録事業者になっていますか。研修修了者は実際に喀痰吸引や経管栄養を担当していますか」
介護福祉士の方は扱いが変わります
2016年度(平成28年度)以降の介護福祉士国家試験の受験者は、実務者研修の中で「医療的ケア」を学んでいます。ただし実際に実施するには、実地研修の修了と、必要な手続きが必要になります。
介護福祉士としての登録内容や、実施に必要な手続きは、取得時期や履修内容により異なります。ご自身の該当状況は、勤務先または都道府県にご確認ください。
実務者研修そのものについては実務者研修の最短期間、実務者研修でできる仕事をご覧ください。
受ける価値があるかの判断
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 特養・老健など、医療的ケアの必要な利用者が多い施設で働く | 実施できる職員が限られるため、評価されやすい |
| 訪問介護で特定の利用者を担当している | 3号研修が現実的な選択になります |
| デイサービス中心 | 事業所が登録していないと機会がありません |
| これから施設への転職を考えている | 持っていると応募の幅が広がります |
資格手当は事業所が決めます
喀痰吸引等の実施に対する手当の有無と金額は、事業所が独自に決めるものです。設定のない事業所もあります。受講前に確認してください。
- □ 受講費用は事業所が負担してくれるか
- □ 研修日は勤務時間として扱われるか
- □ 費用支援がある場合、返還の取り決めはあるか
- □ 手当はいくらか
- □ 実地研修の受け入れ先は確保されているか
実地研修という段階があります
喀痰吸引等研修には、講義・演習に加えて、実際の現場での実地研修が含まれます。
- 実地研修の受け入れ先が確保できないと、修了できません
- 勤務先が実地研修の場になることが一般的です
- 看護職員の指導のもとで行われます
- 勤務先の協力が前提の研修だという点は、受講前に理解しておいてください
認知症介護基礎研修との違い
| 喀痰吸引等研修 | 認知症介護基礎研修 | |
|---|---|---|
| 性格 | できる行為が増える研修 | 事業者に受講させる義務がある研修 |
| 受講の要否 | 任意(実施したい場合に受講) | 無資格の職員は対象。事業者側の義務 |
| 手続き | 認定証の交付+事業所の登録 | 修了で足ります |
認知症介護基礎研修の義務については介護職は無資格でも働けるで詳しく扱っています。
よくある質問
喀痰吸引等研修とは何ですか?
介護職員等が喀痰吸引と経管栄養を実施できるようになるための研修です。2012年施行の社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、研修を修了した介護職員等が、医師の指示や看護職員との連携のもとでこれらの行為を実施できることとなりました。対象は喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)です。
第1号・第2号・第3号の違いは何ですか?
対象者と行為の範囲が違います。第1号は不特定多数の方に対してすべての行為、第2号は不特定多数の方に対して一部の行為(喀痰吸引は気管カニューレ内部を除く、経管栄養は経鼻を除く)、第3号は特定の方が対象です。日数も異なり、第1号・第2号は講義50時間+演習で約15日間、第3号は講義8時間+演習1時間で約2日間が目安です。
どの研修を選べばよいですか?
働く場によります。特養や老健など医療的ケアの必要な利用者が多い施設で幅広く対応したいなら第1号、施設で基本的な吸引と経管栄養を担うなら第2号、訪問介護などで特定の利用者を担当しているなら第3号が現実的です。第3号は特定の方が対象のため、担当が変われば改めて対応が必要になります。
研修を修了すればすぐ実施できますか?
できません。研修修了後、都道府県に申請して認定特定行為業務従事者認定証の交付を受ける必要があります。さらに実施する事業所側にも、登録特定行為事業者等としての登録が必要です。勤務先が登録していなければ、認定証を持っていても実施できません。
介護福祉士なら受けなくてよいですか?
2016年度以降の介護福祉士国家試験の受験者は、実務者研修の中で「医療的ケア」を学んでいます。ただし実際に実施するには実地研修の修了と必要な手続きが求められます。取得時期や履修内容により扱いが異なるため、ご自身の該当状況は勤務先または都道府県にご確認ください。
実地研修とは何ですか?
講義・演習に加えて行われる、実際の現場での研修です。看護職員の指導のもとで行われ、勤務先が実地研修の場になることが一般的です。受け入れ先が確保できないと修了できないため、勤務先の協力が前提の研修だという点を、受講前に理解しておいてください。
費用と日数はどのくらいですか?
第1号・第2号研修は講義50時間+演習で約15日間、第3号研修は講義8時間+演習1時間で約2日間が目安です。費用は都道府県および登録研修機関により異なります。事業所が費用を負担する制度がある場合は、返還の取り決めの有無もあわせて確認してください。
手当はつきますか?
喀痰吸引等の実施に対する手当の有無と金額は、事業所が独自に決めるものです。設定のない事業所もあります。受講前に、受講費用の負担、研修日の勤務時間としての扱い、手当の金額を確認してください。
まとめ|研修だけでは実施できません
- 2012年施行の法改正により、研修修了者が喀痰吸引・経管栄養を実施できるようになりました
- 1号・2号は不特定多数が対象で約15日間、3号は特定の方が対象で約2日間です
- 気管カニューレ内部の吸引と経鼻経管栄養は、第1号研修の範囲です
- 本人の認定証と、事業所の登録の両方が必要です
- 実地研修があり、勤務先の協力が前提になります
- 受講前に費用負担・研修日の扱い・手当・実地研修の受け入れ先を確認してください
医療的ケアができる介護職員は、施設にとって配置しやすい人材です。ただし「資格を取れば使える」のではなく、事業所の登録とセットで初めて意味を持ちます。資格の取得順は介護の資格は何から取る?をご覧ください。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。
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