この記事の結論
この記事で分かること
- 研修は基礎研修 → 実践者研修 → 実践リーダー研修 → 指導者養成研修の4段階です。
- 基礎研修は事業者が受講させる義務、実践者研修は本人が手を挙げて進む研修という違いがあります。
- 受講要件は実務経験2年以上が目安(都道府県・指定都市により異なります)。
- 実践者研修は認知症加算、実践リーダー研修は認知症専門ケア加算(Ⅰ)、指導者養成研修は(Ⅱ)につながります。
- 自施設実習とレポートがあります。課題を小さく絞り、時間帯や回数を記録すると考察が書けます。
- 年間の実施回数と定員が決まっています。自治体の実施要項を早めに確認してください。
「実践者研修は、基礎研修と何が違うの?」
「自施設実習のレポート、何を書けばいいの?」
「受けると加算が取れるって本当?」
認知症介護の研修には順番があります。認知症介護基礎研修 → 認知症介護実践者研修 → 認知症介護実践リーダー研修 → 認知症介護指導者養成研修。実践者研修は、この2段目にあたります。
基礎研修との決定的な違いは、受講に実務経験が要ることです。長野県の案内では「介護職員等で実務経験が2年以上の方を対象とします」とされています。基礎研修が「無資格の職員に事業者が受講させる義務」であるのに対し、実践者研修は本人が手を挙げて進む研修です。
そして多くの方がつまずくのが自施設実習とレポートです。この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、研修の体系、受講要件、加算との関係、そしてレポートの組み立て方を整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・研修の体系(長野県「認知症介護実践者等養成研修」の例):認知症介護基礎研修(eラーニングで実施)/認知症介護基礎研修フォローアップ研修/認知症介護実践者研修/認知症介護実践リーダー研修/認知症対応型サービス事業開設者研修/認知症対応型サービス事業管理者研修/小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修
・実践者研修の対象:「介護職員等で実務経験が2年以上の方を対象とします」(長野県)
・実施主体:都道府県・指定都市(都道府県が団体に委託して実施する例があります)
・認知症加算:認知症高齢者(日常生活自立度Ⅲ以上)を積極的に受け入れるための体制を評価する加算。小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護に加え、2015年の介護報酬改定で通所介護、地域密着型通所介護でも創設されました
・認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件:①利用者の総数のうち日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・Mに該当する対象者が50%以上 ②認知症介護に係る専門的な研修を修了している従業者を対象者の人数に応じて配置(対象者20人未満は1以上、20人以上は1に対象者が19人を超えて10またはその端数を増すごとに1を加えた数以上) ③認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催
・「認知症介護に係る専門的な研修」には認知症介護実践リーダー研修、認知症看護に係る適切な研修が該当するとされています
・認知症専門ケア加算(Ⅱ):(Ⅰ)の要件を満たしたうえで、認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している従業者を1名以上配置し、介護職員・看護職員ごとの研修計画を作成し実施または実施を予定していること
研修の名称・日程・受講要件・実施回数は都道府県および指定都市により異なります。加算の対象サービス・単位数・算定要件は介護報酬改定により変わります。受講・算定を検討される場合は、必ずお住まいまたは勤務先所在地の自治体および最新の告示・通知をご確認ください。
結論|基礎研修との違いは「義務か、自分で進むか」です
| 認知症介護基礎研修 | 認知症介護実践者研修 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 事業者が無資格の職員に受講させる義務 | 本人が手を挙げて進む研修 |
| 受講要件 | 無資格で介護に直接携わる職員が対象 | 実務経験2年以上が目安(自治体による) |
| 実施方法 | eラーニングで実施する自治体が多い | 講義・演習に加え自施設実習があります |
| 期間 | 短時間 | 複数日にわたります |
| 次の段階 | 実践者研修 | 実践リーダー研修 |
基礎研修の義務については介護職は無資格でも働ける|認知症介護基礎研修の義務は事業者側にありますで詳しく扱っています。
研修の全体像|4段階です
| 段階 | 研修 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 1 | 認知症介護基礎研修 | 無資格の職員に受講させる事業者側の義務 |
| 2 | 認知症介護実践者研修 | 実務経験2年以上が目安。実践力を高める |
| 3 | 認知症介護実践リーダー研修 | チームのリーダーとして指導する立場へ |
| 4 | 認知症介護指導者養成研修 | 研修の企画・指導を担う立場へ |
このほか、認知症対応型サービス事業開設者研修、同管理者研修、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修などが実施されています。
加算との関係|段階によって取れる加算が変わります
ここは正確に理解しておく価値があります。実践者研修と実践リーダー研修では、関わる加算が違います。
| 研修 | 関わる加算 |
|---|---|
| 認知症介護実践者研修 | 認知症加算(認知症高齢者を積極的に受け入れる体制の評価) |
| 認知症介護実践リーダー研修 | 認知症専門ケア加算(Ⅰ) |
| 認知症介護指導者養成研修 | 認知症専門ケア加算(Ⅱ) |
認知症専門ケア加算(Ⅰ)の要件
- 利用者の総数のうち、日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・Mに該当する対象者が50%以上
- 認知症介護に係る専門的な研修を修了している従業者を、対象者の人数に応じて配置
- 対象者20人未満 → 1以上
- 対象者20人以上 → 1に、対象者が19人を超えて10またはその端数を増すごとに1を加えた数以上
- 認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催
「認知症介護に係る専門的な研修」には、認知症介護実践リーダー研修と、認知症看護に係る適切な研修が該当するとされています。
加算の対象サービス・単位数・算定要件は介護報酬改定により変わります。算定にあたっては最新の告示・通知をご確認ください。
実践者研修が直接つながるのは「認知症加算」です
認知症加算は、認知症高齢者(日常生活自立度Ⅲ以上)を積極的に受け入れるための体制を評価する加算です。小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護に加え、2015年の介護報酬改定で通所介護、地域密着型通所介護でも創設されました。
つまりデイサービスで働いている方にとって、実践者研修は事業所の加算に直結する研修です。受講費用を事業所が負担してくれるか、交渉の材料になります。
受講の流れ
- 実務経験を確認する(2年以上が目安。自治体により異なります)
- 都道府県・指定都市の実施要項を確認する(年間の実施回数と定員が決まっています)
- 事業所を通じて申し込む(多くの自治体で事業所経由です)
- 講義・演習を受講する
- 自施設実習を行う
- 実習の結果をレポートにまとめ、報告する
- 修了
定員があります
- 年間の実施回数が決まっています(長野県の例では実践者研修は年6回)
- 応募多数の場合、受講できないことがあります
- 事業所からの推薦が前提になる自治体があります
- 受講を考えたら、早めに自治体の案内を確認してください
自施設実習とレポート|つまずくのはここです
実践者研修の特徴は、講義・演習で学んだことを、自分の職場で実際に試す「自施設実習」があることです。そしてその結果をレポートにまとめます。
レポートで求められていること
| 書くこと | 内容 |
|---|---|
| ①対象者の把握 | 実習の対象となる方の状況、生活歴、認知症の状態 |
| ②課題の設定 | その方に何が起きていて、何を目指すのか |
| ③取り組みの計画 | 具体的に何を、いつ、誰が行うか |
| ④実施した内容 | 計画どおりにいったこと、いかなかったこと |
| ⑤結果と考察 | 対象者にどんな変化があったか。なぜそうなったと考えるか |
| ⑥今後の課題 | 職場としてどう続けるか |
書けなくなる原因は3つです
- ①課題が大きすぎる——「不穏をなくす」ではなく「夕方に落ち着かなくなる時間帯に、声のかけ方を変える」まで絞ります
- ②記録を取っていない——実習の期間中、日ごとに変化を書き留めていないと考察が書けません
- ③うまくいった話だけ書こうとする——うまくいかなかったことこそ、考察の材料になります
書き方のコツ
(書きにくい例)Aさんに寄り添った関わりを心がけた結果、笑顔が増えた。
(書ける例)Aさんは16時前後に立ち上がりと帰宅の訴えが増えることが記録から分かった。ご本人が長く勤めた職場の話題を、その時間帯に職員から出すという取り組みを2週間続けた。訴えの回数は週平均◯回から◯回に変化したが、雨天の日は変わらなかった。天候や体調が影響している可能性があり、次は◯◯を記録したい。
数字と時間帯を入れると、それだけで考察が書けるようになります。実習を始める前に、何を記録するかを決めておいてください。
レポートの様式・提出方法・評価の基準は、実施する自治体および研修機関により定められています。必ず配布された様式と手引きに従ってください。この記事の内容は一般的な組み立て方を示すものです。
ほかの研修のレポートも同じ考え方です
初任者研修のレポートの書き方は初任者研修のレポートは丸写しできる?【例文9つ】にまとめています。「事実 → 取り組み → 結果 → 考察」という順序は共通です。
受講前に確認すべき6項目
- □ 受講費用は事業所が負担してくれるか
- □ 研修日は勤務時間として扱われるか
- □ 自施設実習に上司・同僚の協力を得られるか
- □ 資格手当の有無と金額
- □ 事業所が認知症加算・認知症専門ケア加算を算定しているか
- □ 自治体の実施回数と定員、申込の時期
「認知症介護実践者研修の受講費用は事業所の負担になりますか。研修日と自施設実習の期間は、勤務時間として扱われますか。修了後の手当はありますか」
修了後のキャリア
| 次の段階 | 内容 |
|---|---|
| 認知症介護実践リーダー研修 | 認知症専門ケア加算(Ⅰ)の要件となる研修です |
| 認知症対応型サービス事業管理者研修 | グループホームの管理者になる場合 |
| 計画作成担当者研修 | 小規模多機能型サービス等の計画作成担当者になる場合 |
| 他職種へ | 生活相談員、ケアマネジャー、サービス管理責任者など |
実践リーダー研修の受講には、実践者研修を修了してから一定期間が経過していることなどの要件が設けられている自治体があります。段階を追って進む設計になっています。
よくある質問
認知症介護実践者研修と基礎研修は何が違いますか?
位置づけが違います。認知症介護基礎研修は、無資格で介護に直接携わる職員に事業者が受講させる義務があるものです。認知症介護実践者研修は、実務経験を積んだ職員が自ら手を挙げて進む研修で、長野県の案内では「介護職員等で実務経験が2年以上の方を対象とします」とされています。実践者研修には自施設実習とレポートがあります。
受講に必要な実務経験は何年ですか?
おおむね2年以上が目安です。長野県では「介護職員等で実務経験が2年以上の方を対象とします」とされています。ただし受講要件は都道府県・指定都市により異なるため、必ずお住まいまたは勤務先所在地の自治体の実施要項をご確認ください。
修了すると加算が取れますか?
実践者研修が直接つながるのは認知症加算です。これは認知症高齢者(日常生活自立度Ⅲ以上)を積極的に受け入れる体制を評価する加算で、小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護に加え、2015年の介護報酬改定で通所介護、地域密着型通所介護でも創設されました。なお認知症専門ケア加算(Ⅰ)の要件となるのは認知症介護実践リーダー研修です。加算の要件は改定により変わるため、最新の告示・通知をご確認ください。
認知症専門ケア加算の要件を教えてください。
(Ⅰ)は、利用者の総数のうち日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・Mに該当する対象者が50%以上であること、認知症介護に係る専門的な研修を修了している従業者を対象者の人数に応じて配置すること(対象者20人未満は1以上、20人以上は1に対象者が19人を超えて10またはその端数を増すごとに1を加えた数以上)、認知症ケアに関する会議を定期的に開催していることが要件です。(Ⅱ)はこれに加え、認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している従業者を1名以上配置し、研修計画を作成して実施することが求められます。
自施設実習のレポートは何を書けばよいですか?
対象者の把握、課題の設定、取り組みの計画、実施した内容、結果と考察、今後の課題という流れが基本です。書けなくなる原因の多くは、課題を大きく設定しすぎていること、実習期間中の記録を取っていないこと、うまくいった話だけを書こうとしていることです。時間帯や回数といった数字を入れると考察が書きやすくなります。様式と評価基準は自治体の手引きに従ってください。
いつでも受講できますか?
実施主体は都道府県・指定都市で、年間の実施回数と定員が決まっています(長野県の例では実践者研修は年6回)。応募多数の場合は受講できないことがあり、事業所からの推薦が前提になる自治体もあります。受講を考えたら早めに自治体の案内を確認してください。
費用は自己負担ですか?
事業所が負担する例が多く見られますが、一律に定められているわけではありません。研修日と自施設実習の期間が勤務時間として扱われるかも事業所によって異なります。受講の前に、費用の負担、勤務時間の扱い、修了後の手当の3点を確認してください。
修了後は何を目指せますか?
認知症介護実践リーダー研修が次の段階です。これは認知症専門ケア加算(Ⅰ)の要件となる研修で、受講には実践者研修を修了してから一定期間が経過していることなどの要件が設けられている自治体があります。ほかに認知症対応型サービス事業管理者研修、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修といった道もあります。
まとめ|レポートは「記録を取ってから」書けます
- 研修は基礎研修 → 実践者研修 → 実践リーダー研修 → 指導者養成研修の4段階です
- 基礎研修は事業者側の義務、実践者研修は本人が進む研修という違いがあります
- 受講要件は実務経験2年以上が目安(自治体により異なります)
- 実践者研修は認知症加算、実践リーダー研修は認知症専門ケア加算(Ⅰ)につながります
- 自施設実習とレポートがあります。課題は小さく絞り、数字で記録してください
- 定員があります。自治体の実施要項を早めに確認してください
レポートが書けないという相談をよく聞きますが、原因はほとんど「実習中に記録を取っていない」ことにあります。実習を始める前に、何を・いつ・どう記録するかを決めておいてください。それだけで最後の考察が書けるようになります。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。
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