この記事の結論
この記事で分かること
- 生活相談員は介護保険の人員基準で配置が義務づけられた職種です(特養・デイサービス・ショートステイなど)。
- 平均給与額353,950円。介護職員の338,200円より月15,750円高い水準です(令和6年度介護従事者処遇状況等調査)。
- 業務は相談援助・契約と入退所・関係機関との調整・事業所内の調整・稼働率の管理の5つです。
- 事務職ではありません。送迎の運転や食事介助に入る事業所も多くあります。
- 板挟みと稼働率のプレッシャーが、この仕事の負担の中心です。1人配置だと休みにくくなります。
- なれるかどうかは資格要件次第で、要件は自治体によって違います。
「生活相談員って、結局どんな仕事をしているの?」
「介護職から相談員になれるって聞いたけど本当?」
「デスクワークが中心なら、体は楽になる?」
生活相談員は、介護保険の基準で配置が義務づけられている職種です。特別養護老人ホーム、デイサービス、ショートステイなどには、必ず置かなければなりません。求人が途切れないのはこのためです。
そして給与にも差が出ます。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」では、生活相談員・支援相談員の平均給与額は353,950円。介護職員の338,200円より月15,750円高い水準です。
ただし、この仕事は「介護から離れて楽になる仕事」ではありません。利用者・家族・ケアマネジャー・行政・現場職員のあいだに立つ職種で、板挟みになりやすい立場でもあります。この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、実際の業務、配置が義務づけられているサービス、1日の流れ、そして向き不向きを整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 第5条第2項:生活相談員は「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者」とされています
・通所介護・短期入所生活介護の生活相談員の資格要件は、指定基準の解釈通知により上記の特養の基準に準ずるものとされています(福島県「生活相談員の要件についてのQ&A」)
・厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(月給・常勤の者、令和6年9月):生活相談員・支援相談員の平均給与額 353,950円(前年同月比+13,800円)/介護職員 338,200円/看護職員 384,620円/介護支援専門員 375,410円
・同調査の平均基本給等:生活相談員・支援相談員 277,800円/介護職員 253,810円
・同調査の介護職員等処遇改善加算の配分状況:生活相談員・支援相談員へ配分している事業所は50.8%(複数回答)
平均給与額は基本給(月額)+手当+一時金(4〜9月支給金額の1/6)。調査対象は介護職員等処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得している事業所です。配置基準・資格要件の運用は指定権者(都道府県・市町村)により異なります。個別の取扱いは応募先または指定権者にご確認ください。
結論|生活相談員は「事業所の窓口」であって、事務職ではありません
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 役割 | 利用者・家族と事業所をつなぐ窓口。契約から退所までを担当します |
| 配置 | 介護保険の人員基準で義務づけられています(特養・通所介護・短期入所生活介護など) |
| 資格 | 社会福祉法第19条第1項各号に該当する者、または同等以上と認められる者 |
| 平均給与額 | 353,950円(月給・常勤/令和6年9月) |
| 介護職員との差 | 月15,750円 |
| 夜勤 | 原則ありません(施設により宿直等がある場合はあります) |
「相談員」という名前から窓口業務だけを想像すると、入職後に驚きます。実際には介護職と兼務することも多く、送迎や入浴介助に入る事業所もあります。
配置が義務づけられているサービス
| サービス | 生活相談員の位置づけ |
|---|---|
| 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) | 配置が義務。資格要件は特養基準 第5条第2項 |
| 通所介護(デイサービス) | 配置が義務。資格要件は特養の基準に準ずる |
| 短期入所生活介護(ショートステイ) | 配置が義務。同上 |
| 地域密着型通所介護 | 配置が義務 |
| 特定施設入居者生活介護など | 施設により生活相談員に相当する職種が置かれます |
介護老人保健施設では「支援相談員」という名称になります。処遇状況等調査でも「生活相談員・支援相談員」としてまとめて集計されています。
仕事内容|大きく5つあります
1.相談援助(利用者・家族)
入所や利用の相談を受け、生活歴や困りごとを聞き取ります。入所後も、家族からの連絡窓口になります。苦情の一次対応もここに含まれます。
2.契約・入退所の手続き
- 重要事項説明書の説明と契約
- 利用開始・終了の手続き
- 入所判定に関わる書類の準備
- 利用料の説明、必要書類の案内
3.関係機関との連絡調整
ここが生活相談員の中心です。居宅のケアマネジャー、地域包括支援センター、病院の医療ソーシャルワーカー、行政の担当課とやり取りします。
4.事業所内の調整
- サービス担当者会議やカンファレンスへの参加
- 現場職員への情報共有(家族の意向、既往歴、注意点)
- ケアプランと実際の提供内容のすり合わせ
5.稼働率・利用調整
デイサービスやショートステイでは、空き状況の管理と利用日の調整が業務に入ります。ここが数字として見える部分になります。
1日の流れ(デイサービスの例)
| 時間帯 | 業務 |
|---|---|
| 朝 | 送迎(運転を担当することがあります)、申し送り、当日の欠席連絡の対応 |
| 午前 | ケアマネジャーからの新規相談の対応、見学対応、記録 |
| 昼 | 食事介助に入ることがあります |
| 午後 | 利用調整、サービス担当者会議への参加、家族への連絡 |
| 夕方 | 送迎、翌日の準備、実績の入力 |
デスクに座っている時間は、思ったより多くありません。とくに小規模の事業所では、現場に入ることが前提になっている場合があります。
介護職との兼務は珍しくありません
人員基準を満たしていれば、生活相談員が介護職員を兼務すること自体は妨げられていません。ただし、兼務の可否や範囲は指定権者の運用によります。
| 確認しておくこと | なぜ必要か |
|---|---|
| 介護業務にどのくらい入るか | 「相談員募集」でも実態は現場中心のことがあります |
| 送迎の運転はあるか | 普通自動車免許が実質必須になります |
| 入浴介助に入るか | 体力の見通しが変わります |
| 相談員は何名体制か | 1人配置だと休みが取りにくくなります |
給料は介護職員より月15,750円高い水準です
| 職種 | 平均給与額 | 平均基本給等 |
|---|---|---|
| 生活相談員・支援相談員 | 353,950円 | 277,800円 |
| 介護職員 | 338,200円 | 253,810円 |
| 看護職員 | 384,620円 | 290,590円 |
| 介護支援専門員 | 375,410円 | 290,340円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(月給・常勤の者、令和6年9月)。
注目してほしいのは基本給等の差が23,990円と、給与額の差(15,750円)より大きい点です。生活相談員には夜勤手当が乗らないため、基本給の差ほどには総額が開きません。詳しくは生活相談員の給料と年収で扱っています。
向いている人・つらくなりやすい人
| 特徴 | |
|---|---|
| 向いている | 人の話を最後まで聞ける/記録と書類を面倒がらない/電話対応が苦にならない/段取りを組むのが得意 |
| つらくなりやすい | 板挟みが苦手/数字で評価されるのが苦痛/急な予定変更が続くと消耗する |
不利益になりやすい点も書いておきます
- 稼働率のプレッシャーがあります。デイやショートでは、空きが出ると相談員の責任のように扱われることがあります
- 板挟みになります。家族の希望、ケアマネの依頼、現場の負担のあいだで調整する立場です
- 苦情の一次対応が回ってきます
- 1人配置の事業所では休みにくくなります
- 兼務で現場に入る場合、相談業務は残業で片付けることになりがちです
介護職としての働き方の見直しは介護士に向いている人・向いていない人、転職前の確認事項は介護の転職で後悔する原因は入職前に9割わかりますもあわせてご覧ください。
介護職から生活相談員になるには
資格要件を満たしているかどうかが、すべての出発点です。そして、その要件は自治体によって違います。
国の基準は「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者、又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者」です。この「同等以上」を誰にどこまで認めるかを決めるのは、指定権者である自治体です。介護福祉士や介護支援専門員を認めている自治体もあれば、サービス種別を限って認めている自治体もあります。
具体的な条件と、自治体ごとの違いの実例は生活相談員の資格要件にまとめました。
よくある質問
生活相談員とはどんな仕事ですか?
利用者・家族と事業所をつなぐ窓口となる職種です。入所や利用の相談、契約と入退所の手続き、ケアマネジャーや医療機関・行政との連絡調整、事業所内での情報共有、デイやショートでは稼働率と利用日の調整までを担当します。介護保険の人員基準で配置が義務づけられているため、特養・デイサービス・ショートステイには必ず置かれています。
生活相談員の給料はいくらですか?
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、生活相談員・支援相談員の平均給与額は月353,950円(月給・常勤の者、令和6年9月)です。介護職員の338,200円より15,750円高い水準です。平均基本給等では277,800円で、介護職員の253,810円より23,990円高くなっています。
生活相談員は介護の仕事もするのですか?
する事業所が多くあります。人員基準を満たしていれば介護職員との兼務は妨げられておらず、とくに小規模の事業所では送迎の運転、食事介助、入浴介助に入ることが前提になっている場合があります。応募前に「介護業務にどのくらい入るか」「送迎の運転はあるか」を確認してください。
生活相談員に夜勤はありますか?
原則としてありません。そのため夜勤手当が乗らず、基本給の差ほどには介護職員との総額の差が開きません。ただし施設によっては宿直などの位置づけで勤務がある場合があるため、求人票で確認してください。
老健の「支援相談員」とは違うのですか?
介護老人保健施設では「支援相談員」という名称が使われます。役割は生活相談員と近く、厚生労働省の処遇状況等調査でも「生活相談員・支援相談員」としてまとめて集計されています。ただし施設の目的が在宅復帰の支援であるため、退所後の生活に向けた調整の比重が高くなります。
生活相談員はきついですか?
身体的な負担は介護職より軽くなることが多い一方で、調整役としての負担があります。家族の希望、ケアマネジャーからの依頼、現場職員の負担のあいだで板挟みになりやすく、デイやショートでは稼働率のプレッシャーもあります。苦情の一次対応も回ってきます。相談員が1人配置の事業所では休みが取りにくい点も確認してください。
未経験から生活相談員になれますか?
資格要件を満たしていればなれます。ただし要件は「社会福祉法第19条第1項各号に該当する者、またはこれと同等以上の能力を有すると認められる者」とされており、「同等以上」の範囲は自治体が決めています。介護福祉士や介護支援専門員を認めている自治体もあるため、まず勤務予定地の指定権者の取扱いを確認してください。
生活相談員の求人は多いですか?
配置が人員基準で義務づけられている職種のため、事業所の数だけ需要があります。ただし1事業所あたりの人数は限られるため、介護職員の求人ほど数は多くありません。処遇改善加算を生活相談員・支援相談員に配分している事業所は50.8%で、加算の配分対象になっている場合があります。
まとめ|配置が義務づけられた職種で、給与も一段上です
- 特養・デイ・ショートには配置が義務づけられており、求人が途切れません
- 平均給与額353,950円。介護職員より月15,750円高い水準です
- 仕事は相談援助・契約・関係機関との調整・事業所内の調整・稼働率の管理の5つ
- 事務職ではありません。送迎や介助に入る事業所も多くあります
- 板挟みと稼働率のプレッシャーが、この仕事の負担の中心です
- なれるかどうかは資格要件次第。要件は自治体によって違います
介護職から次のキャリアを考えるとき、生活相談員は現場の経験がそのまま活きる数少ない職種です。まずは資格要件を確認し、条件が合えば給料の水準と照らして判断してください。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。
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