この記事の結論

この記事で分かること

  • 事務職員の平均給与額317,620円は、介護職員338,200円より月20,580円低い水準です(令和6年度介護従事者処遇状況等調査)。
  • 基本給の差は5,400円。差の大部分は夜勤手当などの上乗せ分から生じています。
  • 介護報酬の請求はサービス提供月の翌月10日が締切。月初の1〜10日に業務が集中します。
  • 国家資格・必置資格はありません。無資格・未経験でも応募できます。
  • 処遇改善加算を事務職員に配分している事業所は37.9%。6割以上では配分されていません。
  • 小規模な事業所では配膳や送迎など介護補助に入ることがあります。応募前に確認してください。

「介護事務なら、体を使わないから楽そう」
「介護職より給料はいいの?」
「未経験でもできる?」

最初に、思い込みを一つ訂正させてください。介護事務の平均給与額は、介護職員より低い水準です。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、事務職員が317,620円、介護職員が338,200円(いずれも月給・常勤の者)。差は月20,580円あります。

理由ははっきりしています。夜勤手当が乗らないからです。身体的な負担が軽くなる代わりに、収入は下がる。これが実際の姿です。

そしてもう一つ、この仕事には独特のリズムがあります。介護報酬の請求は、サービス提供月の翌月10日が締切です。月初の10日間に業務が集中する、という構造がここから生まれます。

この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、実際の業務、月初に集中する理由、給与の実態、そして向き不向きを整理します。

この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(月給・常勤の者、令和6年9月)
 平均給与額:事務職員 317,620円/介護職員 338,200円/看護職員 384,620円/生活相談員・支援相談員 353,950円/介護支援専門員 375,410円
 平均基本給等:事務職員 248,410円/介護職員 253,810円
 介護職員等処遇改善加算の配分状況:事務職員へ配分している事業所は37.9%(複数回答)
介護報酬の請求は、サービス提供月の翌月10日が締切です。請求先は事業所所在地の国民健康保険団体連合会で、伝送受付は1日から締切日の17時15分までとされています
・請求は原則として伝送または磁気媒体により行うこととされています
介護事務に、国家資格や必置資格はありません

平均給与額は基本給(月額)+手当+一時金(4〜9月支給金額の1/6)。調査対象は介護職員等処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得している事業所です。請求の受付日程は国保連合会により細部が異なる場合があります。実際の業務範囲・給与は事業所により異なります。

結論|身体の負担は減りますが、給与も下がります

職種平均給与額介護職員との差
看護職員384,620円+46,420円
介護支援専門員375,410円+37,210円
生活相談員・支援相談員353,950円+15,750円
介護職員338,200円
事務職員317,620円−20,580円

出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(月給・常勤の者、令和6年9月)。介護事務は「事務職員」の区分に含まれます。

基本給の差は5,400円しかありません

興味深いのは基本給です。平均基本給等は事務職員248,410円、介護職員253,810円で、差は5,400円にとどまります。

つまり給与差の大部分は、基本給ではなく夜勤手当などの上乗せ分から生じています。夜勤に入っていない介護職員と比べれば、差はほとんどありません。

仕事内容|請求業務が中心です

1.介護報酬の請求(レセプト業務)

これが介護事務の中核です。提供したサービスの実績をもとに介護給付費請求書を作成し、国民健康保険団体連合会へ請求します。

  • サービス提供実績の確認(記録との突合)
  • 介護給付費請求書・明細書の作成
  • 翌月10日までに伝送
  • 返戻・過誤があった場合の修正と再請求

2.利用者負担分の請求

利用者ごとの自己負担額を計算し、請求書を発行します。入金の確認と、未納の管理もここに含まれます。

3.窓口・電話対応

  • 利用者・家族からの問い合わせ
  • ケアマネジャーとの連絡
  • 来客対応、見学の受付

4.書類・データの管理

契約書、重要事項説明書、各種届出、勤務表、職員の労務関係の書類など。実地指導の際に求められる記録の整備も担当することがあります。

5.介護補助に入ることもあります

これは求人票では見えにくい部分です。小規模な事業所では、食事の配膳、送迎の同乗、フロアの見守りなど、現場の手伝いに入ることがあります。

月初に集中する理由

介護報酬の請求はサービス提供月の翌月10日が締切です。この1点が、介護事務の働き方を決めています。

時期業務の状況
1日〜10日最繁忙。前月分の請求業務が集中します
11日〜月末利用者負担分の請求、入金確認、書類整理、窓口対応
月末翌月の準備、実績の集計

締切がずれないことが、この仕事の重さです

  • 10日が土日祝でも締切は変わらないとする国保連合会があります
  • 請求が遅れると、その月の入金が翌月以降にずれます
  • 返戻があれば修正して再請求する必要があります
  • 事業所の資金繰りに直結する業務です

「事務だから定時で帰れる」とは限りません。月初の残業がどの程度あるかは、面接で必ず確認してください。

「つらい」と言われる理由

不利益になりやすい点なので、はっきり書きます。

負担の中身内容
月初の集中締切が動かないため、10日までに終わらせるしかありません
制度改定の追跡介護報酬は定期的に改定されます。単位数や算定要件が変わります
1人事務が多い相談相手がおらず、休むと業務が止まります
現場との板挟み記録の不備を現場に確認する立場になります
加算の管理算定要件を満たしているかの確認が必要です
介護補助への応援小規模事業所では現場に入ることがあります

「記録が出てこない」問題

請求は記録がなければできません。現場の記録が揃っていない、加算の要件を満たす記載がない、といった状態を確認して回るのも介護事務の仕事です。

介護の現場を経験している人ほど、この確認がうまくいきます。現場の忙しさが分かっているからです。

未経験からでも就けます

介護事務に国家資格や必置資格はありません。無資格・未経験でも応募できます。ただし、次の経験があると評価されます。

経験活きる場面
介護の実務記録の確認、加算要件の理解、現場との調整に直結します
医療事務レセプト業務の考え方が近い部分があります
一般事務・経理データ入力、書類管理、入金管理
パソコン操作介護ソフトの操作が業務の中心です
電話・来客対応窓口対応に直結します

資格については介護事務の資格で詳しく扱っています。結論だけ先に書くと、介護事務の資格はすべて民間資格で、必須ではありません。

処遇改善加算の配分は37.9%です

介護職員等処遇改善加算を事務職員に配分している事業所は37.9%です(複数回答)。

職種配分している事業所の割合
看護職員51.9%
生活相談員・支援相談員50.8%
事務職員37.9%
介護支援専門員34.3%
管理栄養士・栄養士20.4%

出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(複数回答)。

6割以上の事業所では、事務職員に配分されていません。面接で確認する価値がある項目です。

介護職員等処遇改善加算は、事務職員にも配分されていますか。配分される場合、月額でおよそいくらになりますか」

向いている人・つらくなりやすい人

特徴
向いている締切から逆算して段取りできる/細かい確認が苦にならない/制度の変更を追うのが苦でない/電話対応が平気
つらくなりやすい月初の残業が続くと消耗する/1人で判断する環境が不安/数字の突合が苦手/現場に確認を求めるのが気まずい

応募前に確認すべき8項目

  • 月初(1〜10日)の残業はどの程度か
  • 事務職員は何名いるか(1人事務かどうか)
  • 介護補助・送迎に入ることはあるか
  • 処遇改善加算の配分はあるか。月額いくらか
  • □ 使用している介護ソフトと、入職後の研修
  • □ 担当する事業所は1つか、複数か
  • □ 労務・経理までを担当するか
  • □ 制度改定時の研修や情報提供の体制

面接での聞き方は介護職の面接で聞かれる質問、志望動機は介護職の志望動機の書き方を参照してください。

介護職からの移り方

介護現場から事務へ移る場合、「体がきついから事務へ」という理由だけで決めるのは避けてください。給与は下がる可能性が高く、負担の種類が変わるだけだからです。

収入を維持したい場合は、生活相談員(353,950円)やケアマネジャー(375,410円)のほうが選択肢として合理的です。

よくある質問

介護事務とはどんな仕事ですか?

介護保険サービスの事業所で、介護報酬の請求(レセプト業務)を中心に、利用者負担分の請求、窓口・電話対応、契約書や届出などの書類管理を担当する職種です。小規模な事業所では、配膳や送迎の同乗など現場の手伝いに入ることもあります。

介護事務の給料は介護職より高いですか?

低い水準です。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、事務職員の平均給与額が317,620円、介護職員が338,200円で、月20,580円の差があります。夜勤手当が乗らないためです。ただし平均基本給等で比べると事務職員248,410円、介護職員253,810円で差は5,400円にとどまります。

なぜ月初が忙しいのですか?

介護報酬の請求が、サービス提供月の翌月10日締切だからです。請求先は事業所所在地の国民健康保険団体連合会で、伝送受付は1日から締切日の17時15分までとされています。10日が土日祝でも締切は変わらないとする国保連合会もあります。請求が遅れると入金が翌月以降にずれるため、事業所の資金繰りに直結します。

未経験でもできますか?

できます。介護事務に国家資格や必置資格はなく、無資格・未経験でも応募できます。ただし介護ソフトの操作が業務の中心になるため、パソコン操作の経験は求められます。介護の実務経験があると、記録の確認や加算要件の理解、現場との調整で有利になります。

「事務だから定時で帰れる」は本当ですか?

月によります。月初の1〜10日は請求業務が集中し、残業が発生しやすい時期です。締切が動かないため、終わるまで作業するしかありません。11日以降は比較的落ち着きますが、月初の残業がどの程度あるかは面接で必ず確認してください。

処遇改善加算はもらえますか?

介護職員等処遇改善加算を事務職員に配分している事業所は37.9%です(複数回答)。看護職員51.9%、生活相談員50.8%と比べると低く、6割以上の事業所では配分されていません。面接で「事務職員にも配分されているか、月額でおよそいくらか」を確認してください。

介護補助の仕事もするのですか?

小規模な事業所では、食事の配膳、送迎の同乗、フロアの見守りなど現場の手伝いに入ることがあります。求人票では見えにくい部分なので、応募前に「介護補助や送迎に入ることはあるか」を確認してください。身体介護の有無で負担が大きく変わります。

体力的に楽になりますか?

身体介護がなくなる分、体への負担は軽くなります。ただし月初の残業、制度改定の追跡、1人事務での責任、現場に記録の確認を求める立場といった別の負担があります。負担の種類が変わると考えるほうが実際に近く、給与も下がる可能性が高い点は押さえておいてください。

まとめ|「楽そう」で選ぶと、期待とずれます

  • 事務職員の平均給与額317,620円は、介護職員338,200円より月20,580円低い水準です
  • 基本給の差は5,400円。差の大部分は夜勤手当などの上乗せ分から生じています
  • 介護報酬の請求は翌月10日締切。月初に業務が集中します
  • 国家資格・必置資格はありません。未経験でも応募できます
  • 処遇改善加算の配分は37.9%。6割以上の事業所では配分されていません
  • 小規模事業所では介護補助に入ることがあります。応募前に確認してください

介護事務は、締切から逆算して段取りできる人に向いた仕事です。体の負担を減らしつつ収入も維持したいなら、相談職やケアマネジャーのほうが合理的な選択になります。資格については介護事務の資格をご覧ください。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

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