この記事の結論

この記事で分かること

  • 志望動機は「きっかけ → 施設種別を選んだ理由 → 続けられる根拠」の3段で組み立てられます。
  • 「人の役に立ちたい」は書いて構いません。そのあとに「なぜ介護という手段なのか」が続けば成立します。
  • 思いつかないときは「前の仕事で合わなかったこと」から探します。その裏返しが求める働き方です。
  • 施設種別ごとに書き分けてください。特養・デイ・訪問では1日の動き方も体への負担も違います。
  • 訪問介護は無資格では従事できません。資格または取得予定を必ず書いてください。
  • 未経験の方は体力面の見通しと資格取得の予定を1行入れると、早期離職の懸念が下がります。

「介護の志望動機が思いつかない」
「未経験なのに『やりがい』以外に書くことがない」
「例文を写したけれど、面接で聞かれたら困りそう」

介護職の志望動機でつまずく方の多くは、動機がないのではありません。「人の役に立ちたい」という本当の理由が、あまりに当たり前すぎて書けないと感じているだけです。

採用側が志望動機で見ているのは、熱意の強さではありません。「この人は、うちの施設の働き方に合っているか」という一点です。特養と訪問介護とデイサービスでは、1日の動き方も体への負担もまったく違います。そこを踏まえた志望動機になっていれば、経験の有無にかかわらず読まれます。

この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、志望動機を作る3つの手順、施設種別ごとの書き分け、未経験・無資格・40代以降の方の書き方、そして例文をそのまま使うと不利になる理由を整理します。

この記事で参照した公開情報(2026年8月26日確認)
訪問介護は無資格では従事できません。介護職員初任者研修以上の資格が必要です。一方、施設介護は無資格から就業できます
2024年4月に完全施行された認知症介護基礎研修の受講義務は事業者側に課された義務で、新規採用者には採用から1年以内という猶予があります
・採用選考では、本籍・出生地、家族の職業や収入、住宅状況、思想信条など「本人に責任のない事項」「本来自由であるべき事項」を把握しないことが厚生労働省の「公正な採用選考の基本」として示されています
2024年4月から労働条件明示のルールが改正され、すべての労働者に「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になりました

求人条件・研修体制・配属の運用は事業所により異なります。志望動機に書く内容は、募集要項や事業所の公開情報で確認できる範囲にとどめてください。個別の取扱いは応募先にご確認ください。

結論|志望動機は「きっかけ・施設種別を選んだ理由・続けられる根拠」の3段で作ります

書く内容例(未経験の方)
1介護を選んだきっかけ祖母の介護に関わり、専門職の関わり方に触れた
2なぜこの施設種別・この事業所か生活の流れの中で長く関わりたく、入居施設を選んだ
3続けられる根拠体力面の準備と、資格取得の予定

1だけでは「気持ちの話」で終わります。2と3が入って初めて、採用側は入職後の姿を想像できます。

「人の役に立ちたい」は書いてもかまいません

この表現を避けるべきだという説明をよく見かけますが、正確ではありません。問題は「人の役に立ちたい」だけで終わることです。そのあとに「なぜ介護という手段なのか」が続けば、そのままで通ります。

(続きのない例)人の役に立つ仕事がしたいと考え、介護職を志望しました。

(続きのある例)人の役に立つ仕事がしたいと考えてきました。祖母の在宅介護に関わった際、ヘルパーの方が声のかけ方ひとつで祖母の表情を変えていたことが印象に残っています。技術で人の一日を変えられる仕事だと感じ、介護職を志望いたしました。

思いつかないときは、この5つの問いから探します

  • 家族や身近な人の介護に関わったことはありますか
  • 前の仕事のどこが合わなかったですか(その裏返しが動機になります)
  • なぜ他の職種ではなく介護なのですか(人と接する仕事は他にもあります)
  • なぜ夜勤のある施設/ない事業所を選んだのですか
  • この仕事を何年くらい続けたいですか

2つ目が特に効きます。前職で嫌だったことの反対側に、求める働き方があります。それを応募先の特徴と結びつければ志望動機になります。

前職で合わなかったこと志望動機の形
数字だけを追う仕事だった目の前の人の変化が見える仕事に就きたいと考えました
誰にでもできる作業だった経験を重ねるほど質が上がる仕事を選びたいと考えました
人と話す機会がなかった利用者やご家族と関わりながら働きたいと考えました
体力が余っていた体を使う仕事のほうが自分に合っていると感じました
先が見えなかった資格取得で役割が広がる仕事に就きたいと考えました

施設種別ごとの書き分け|ここが最も差がつきます

「介護」とひとくくりに書くと、どの事業所にも当てはまる文章になります。種別ごとに、選んだ理由を明示してください。

種別特徴志望動機で触れること
特別養護老人ホーム介護度が高い方が中心。夜勤あり身体介護に取り組みたい理由、夜勤への対応
介護老人保健施設在宅復帰を目指す。リハ職と連携多職種で関わることへの関心
デイサービス日中のみ。送迎・レクあり日勤で働きたい理由、レクや会話への関心
訪問介護1対1。初任者研修以上が必要一人で判断することへの姿勢、資格
グループホーム認知症の方と少人数で生活認知症ケアへの関心、家事も担うこと
有料老人ホーム・サ高住介護度の幅が広い。接遇を重視接客経験、丁寧な対応
訪問入浴チームで訪問。体力が要る体力面と、チームで動くことへの適性

種別ごとの違いは介護士に向いている人・向いていない人|適性は性格より施設種別で決まりますで詳しく扱っています。

訪問介護を志望する場合の注意

訪問介護は無資格では従事できません。介護職員初任者研修以上の資格が必要です。無資格の方が訪問介護を志望する場合は、資格取得の予定を志望動機に書いてください。取得の道筋は介護の資格は何から取る?を参照してください。

訪問介護そのものの実情は訪問介護への転職はきつい?にまとめています。

状況別の書き方|未経験・無資格・40代以降

未経験の方

採用側が心配しているのは、意欲ではなく「イメージと違って早期に辞めないか」です。ここに先回りしてください。

前職では販売職として接客に携わってまいりました。祖母の介護に関わった経験から、生活を支える仕事に就きたいと考えるようになりました。身体介護が体力を要する仕事であることは、見学の際に伺っております。まずは初任者研修の受講を予定しており、資格を取りながら長く続けたいと考えております。

未経験からの入り方は介護へ未経験・無資格から転職するには?にまとめています。

無資格の方

施設介護は無資格から就業できます。「無資格では働けない」という説明は正確ではありません(介護職は無資格でも働ける)。

志望動機には、資格取得の意思と時期を1行入れてください。認知症介護基礎研修は事業者が受講させる義務を負っているため、「入職後に受講する予定です」と書けます。

40代・50代の方

年齢そのものは書く必要がありません。「なぜ今、介護なのか」と「体力面の見通し」の2つが読まれます。

これまで◯◯の仕事で培った、相手の様子から状況を判断する力を、介護の現場でも活かせると考えております。身体介護の負担については、見学時に移乗の介助を拝見し、ボディメカニクスの研修があることを伺いました。腰への負担を抑える方法を身につけながら、長く続けたいと考えております。

介護福祉士の方・経験者の方

経験者は「前の事業所で何をどこまで担っていたか」が志望動機の説得力になります。リーダー、記録の整備、新人指導、委員会などの役割を1つ挙げてください。キャリアの広がりは介護福祉士が現場以外で働ける17職種も参考になります。

分量は5〜6行|長く書くほど読まれません

提出先目安構成
履歴書の志望動機欄150〜200字きっかけ → なぜこの事業所 → 続ける根拠
職務経歴書入れないことが多い入れる場合は末尾に3行
面接で話す場合60〜90秒書いた内容と同じことを話します

履歴書の書き方は介護職の履歴書の書き方、職務経歴書は介護職の職務経歴書の書き方、自己PRは介護転職の自己PR例文と書き方にまとめています。

例文をそのまま使うと不利になります

起きることなぜ困るか
同じ文面が複数届く採用担当は同じ例文集を読んでいます
面接で掘り下げられて止まる「具体的にはどの場面ですか」に答えられません
事業所の実態と食い違う「レクに力を入れたい」が、レクのない事業所だと逆効果です
種別が合っていない訪問介護に「チームで支えたい」と書くなど

例文は、構成をなぞるために読むものです。この記事の例文も、3段構成の形を確認するために使い、中身はご自身の経験に入れ替えてください。

避けたい表現

避ける表現理由
前職の批判同じことを次でも言うと受け取られます
「誰でもできる仕事だと思ったので」実際には専門性のある仕事です。早期離職を想定されます
「資格を取りたいので」だけ取得後に辞めると見られます。取得後にどう働きたいかを添えます
「アットホームな雰囲気に惹かれ」どの事業所にも当てはまり、判断材料になりません
待遇だけを並べる条件の良い他事業所へ移ると見られます
「貴社」と「貴施設」の混在法人あては「貴法人」、施設あては「貴施設」「貴事業所」です

書き上げたあとのチェックリスト

  • 応募先の名称が正しく入っている(使い回しの事故が最も多い箇所です)
  • □ 「貴法人/貴施設/貴事業所」の使い分けができている
  • 施設種別を選んだ理由が書いてある
  • 続けられる根拠(体力面・資格・勤務時間)が1行ある
  • □ 無資格・未経験の場合、資格取得の予定を書いた
  • □ 訪問介護を志望する場合、初任者研修以上の資格または取得予定を書いた
  • □ 職務経歴書の内容と矛盾していない
  • □ 150〜200字に収まっている
  • 面接で掘り下げられても答えられる内容だけ書いた

よくある質問

介護の志望動機が思いつきません。どうすればよいですか?

「前の仕事のどこが合わなかったか」から考えてください。その裏返しが、次に求める働き方になります。それを応募先の施設種別の特徴と結びつければ志望動機になります。家族の介護に関わった経験がある場合は、そのときに印象に残った専門職の関わり方を書くのも有効です。

「人の役に立ちたい」と書いてもよいですか?

書いて構いません。問題になるのは、そこで終わってしまう場合です。「なぜ他の職種ではなく介護なのか」を続けてください。人の役に立つ仕事は他にもあるため、介護を選んだ理由が書かれていないと判断材料になりません。

未経験・無資格でも介護職に応募できますか?

施設介護は無資格・未経験から就業できます。ただし訪問介護は無資格では従事できず、介護職員初任者研修以上の資格が必要です。無資格で応募する場合は、志望動機に資格取得の予定を1行入れてください。なお、2024年4月に完全施行された認知症介護基礎研修の受講義務は事業者側に課されたもので、新規採用者には採用から1年以内の猶予があります。

志望動機は何文字くらいがよいですか?

履歴書の欄であれば150〜200字、5〜6行が目安です。欄の大きさに合わせて調整してください。面接で話す場合は60〜90秒程度です。長く書くほど読まれにくくなり、掘り下げられる箇所も増えます。

施設種別によって志望動機を変える必要はありますか?

変えてください。特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護、グループホームでは1日の動き方も体への負担も異なります。「なぜこの種別を選んだのか」が書かれていないと、条件が合えばどこでもよいと受け取られます。書き換えるのは、その理由を述べる1文だけで足ります。

40代・50代からの応募では年齢に触れるべきですか?

年齢そのものに触れる必要はありません。読まれるのは「なぜ今、介護なのか」と「体力面の見通し」の2点です。前職で培った力のうち介護に活かせるものを1つ挙げ、身体介護の負担についてどう備えるかを添えてください。

例文をそのまま使ってもよいですか?

おすすめしません。採用担当も同じ例文集を読んでいるため、同一の文面が複数届くことがあります。また面接で掘り下げられたときに答えられません。例文は構成をなぞるために使い、中身はご自身の経験に入れ替えてください。

「貴社」と「貴施設」はどちらを使いますか?

社会福祉法人や医療法人など法人あてであれば「貴法人」、施設あてであれば「貴施設」「貴事業所」を使います。株式会社が運営する事業所で、法人あてに書く場合は「貴社」です。話し言葉では「御法人」「御社」になります。混在していると使い回しが伝わりやすいため、提出前に確認してください。

まとめ|動機は「前職で合わなかったこと」の裏返しにあります

  • 「きっかけ・施設種別を選んだ理由・続けられる根拠」の3段で組み立てます
  • 「人の役に立ちたい」は書いてよい。そのあとに「なぜ介護か」を続けます
  • 施設種別ごとに書き分けます。特養・デイ・訪問では働き方が違います
  • 訪問介護は無資格では従事できません。資格または取得予定を書きます
  • 未経験の方は、体力面と資格取得の予定を1行入れてください
  • 例文の丸写しは面接で崩れます。構成だけを借りてください

志望動機は、介護への強い思いを証明する欄ではありません。この事業所で続けられそうだと、採用側に思ってもらうための説明です。まず「前の仕事で何が嫌だったか」を3つ書き出すところから始めてください。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

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