この記事の結論

この記事で分かること

  • 無資格でも介護職に就職できます。「働けなくなる」という説明を見かけますが、正確ではありません。
  • 2024年4月に完全義務化されたのは、無資格の職員に認知症介護基礎研修を受講させるという事業者側の義務です。求職者を締め出す制度ではありません。
  • 新しく入職した方には、採用から1年以内という猶予があります。その間に受講すれば問題ありません。
  • 介護福祉士・初任者研修・実務者研修などの資格をお持ちの方は、受講の対象外です。看護師などの医療・福祉系資格も同様に扱われます。
  • 受講の配慮をしない事業所は行政処分の対象になり得ます。費用や勤務時間の扱いを面接で確認してください。

「無資格だと、もう介護職では働けないの?」
「2024年から義務化されたって聞いたけど、何が変わったの?」
「研修の費用は自分で払うの?」

まず、よく見かける説明を訂正させてください。「無資格では介護職で働けなくなった」というのは正確ではありません。いまも無資格で介護職に就職できます。

2024年4月に完全義務化されたのは、無資格の職員に「認知症介護基礎研修」を受講させるという、介護サービス事業者側の義務です。求職者を締め出す制度ではなく、事業者に課された義務です。そして新しく入職した方には、採用から1年以内という猶予があります。

この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、誰が対象で、誰が免除され、いつまでに何をすればよいのか、そして面接で何を確認すべきかを整理します。

この記事で参照した公開情報(2026年8月26日確認)
・認知症介護基礎研修の義務づけ(2021年4月施行、3年間の経過措置を経て2024年4月完全施行
・対象は医療・福祉関係の資格を持たずに介護に直接携わる職員。新規採用者は採用後1年以内に受講
・受講の配慮をしない事業所は行政処分の対象になり得るとされています

制度の運用・実施方法・費用は自治体および実施機関により異なります。受講にあたっては、お住まいまたは勤務先所在地の都道府県が公表する最新の情報をご確認ください。個別の取扱いは勤務先にご確認ください。

結論|無資格でも就職できます。義務を負っているのは事業者側です

よくある誤解正しい内容
無資格では介護職に就職できない就職できます。資格がなくても採用されます
2024年4月から無資格者は働けない事業者に「受講させる義務」が生じたということです
すぐに研修を受けないと働けない新規採用者は採用から1年以内が目安です
受けないと本人が罰せられる行政処分の対象になり得るのは事業所側です
介護に関わる全員が対象資格保有者と、直接介護に携わらない職種は対象外です

なぜ義務化されたのか

介護サービスの利用者には認知症の方が多く含まれます。認知症への理解がないまま介護に当たると、対応を誤って本人の不安を強めたり、事故につながったりすることがあります。

そこで、無資格で介護現場に入る方にも最低限の認知症ケアの知識を持ってもらうことを目的に、事業者に受講させる義務が課されました。職員を締め出すための制度ではなく、ケアの質を揃えるための制度です。

いつから何が変わったのか|経過措置と完全施行

時期扱い
2021年4月〜2024年3月経過措置期間(努力義務)
2024年4月〜完全施行。受講させることが事業者の義務
新しく入職した職員採用の日から1年以内が猶予期間

すでに経過措置は終了しています。これから無資格で入職する方は、入職後1年以内に受講する流れになります。

誰が対象で、誰が対象外か

対象/対象外説明
無資格で身体介護・生活援助に携わる職員対象この制度が想定している中心の方々です
介護福祉士対象外資格の課程で認知症ケアを学んでいるため
介護職員初任者研修 修了対象外同上
実務者研修 修了対象外同上
看護師・准看護師などの医療系資格対象外医療・福祉関係の資格として扱われます
社会福祉士・精神保健福祉士など対象外同上
事務職・調理職・送迎ドライバーなど原則対象外直接介護に携わらない職種のため

免除の範囲は制度の運用により変わることがあります。個別の判断は勤務先または自治体にご確認ください。

「直接介護に携わるか」が分かれ目です

同じ施設で働いていても、利用者の身体に触れる介助や、生活援助を担当するかどうかで対象が変わります。入職時に自分がどちらに当たるかを、事業所に確認しておいてください。

受講しないとどうなるか|困るのは本人ではなく事業者です

ここは誤解が多い部分です。受講の対象となる職員に受講の配慮をしない事業所が、行政処分の対象になり得るとされています。職員本人が罰せられる制度ではありません。

状況どうなるか
事業所が受講の機会を用意していない事業所が行政処分の対象になり得る
事業所は用意しているが、本人が受けない配置や担当業務の範囲に影響することがあります
入職から1年以内に受講した問題ありません

裏を返すと、これは職場選びの判断材料になります。「うちは特に何もしていない」という事業所は、制度への対応が追いついていない可能性があります。研修だけの問題ではなく、労務管理全般の姿勢が表れる部分です。

研修の内容と受講方法

項目内容
実施主体都道府県、または都道府県が指定した事業者
受講方法多くの自治体でeラーニングによる受講が可能です
学ぶ内容認知症の基礎的な理解、認知症の方への接し方、ケアの考え方
試験研修の理解度を確認する形式が中心。落とすための試験ではありません
費用実施主体により異なります。事業者が負担する例が多く見られます
修了後修了証が交付されます。転職時にも有効です

実施時期・申込方法・費用・時間数は自治体および実施機関により異なります。必ず該当する自治体の公表情報をご確認ください。

eラーニングで受けられる自治体が多くなっています

会場に通う必要がなく、勤務の合間や自宅で進められる形式が広がっています。働きながら受けやすい設計になっているため、入職後の受講でも負担は大きくありません。

受講の流れ|申し込みから修了まで

段階やること注意点
①事業所に確認受講時期・費用の負担・勤務時間の扱いを聞く入職時に確認しておくのが最も確実です
②実施機関を確認都道府県または指定事業者の案内を見る事業所がまとめて申し込む場合もあります
③申し込み指定の方法で申請定員や開催時期が限られる場合があります
④受講eラーニングまたは集合研修eラーニングなら自分のペースで進められます
⑤理解度の確認研修内容の確認テスト落とすための試験ではありません
⑥修了証の交付修了証を受け取る必ず自分で保管してください。転職時に使います

修了証は自分で保管してください

事業所が申し込みと費用を負担した場合でも、修了証はあなた個人のものです。転職した先でも「受講済み」であることを示せます。写真を撮ってスマートフォンにも残しておくと確実です。

費用と時間の負担|事前に確認すべき2点

ここは事業所によって運用が分かれるため、入職前に必ず確認してください。

確認項目ありうる運用望ましい形
費用の負担事業所が全額負担
事業所が一部補助
本人が全額負担金額を確認してください
受講時間の扱い勤務時間として扱う(給与が出る)
一部を勤務時間として扱う
休日に無給で受講負担が大きくなります

費用の額・負担のあり方は法令で一律に定められているものではなく、事業所の運用によります。金額は実施機関により異なります。

「事業所の義務」という制度の趣旨から考えると

受講させることが事業者の義務である以上、費用と時間を職員個人に全部負わせる運用は、制度の趣旨とは離れています。そこをどう扱っているかで、その事業所が職員をどう見ているかが表れます。

面接で聞きにくいと感じるかもしれませんが、制度上の確認事項なので、遠慮する必要はありません。

面接・入職前に確認する4項目

  1. 認知症介護基礎研修の受講は、いつ頃の予定になりますか——時期が明確に答えられるかで、事業所の対応度が分かります
  2. 費用は事業所の負担でしょうか、本人の負担でしょうか——ここは事業所により運用が分かれます
  3. 受講の時間は勤務時間として扱われますか——休日に無給で受けるのかどうかは大きな差です
  4. その後、初任者研修の取得支援はありますか——長く働くつもりなら重要です

「制度のことなので伺いたいのですが、認知症介護基礎研修は、入職後どのくらいの時期に受講することになりますか。費用と、受講時間の扱いも教えていただけますか

この質問に淀みなく答えられる事業所は、労務管理が整っています。逆に「あー、そのうちですかね」という反応であれば、他の面でも同じ調子である可能性を考えてください。

認知症介護基礎研修と介護職員初任者研修の違い

認知症介護基礎研修介護職員初任者研修
目的認知症ケアの基礎介護全般の基礎
位置づけ義務化の対象資格
時間の目安短時間約130時間
費用の目安低い高い(数万円〜十数万円)
受講方法eラーニングが中心通学+実技演習
訪問介護に従事できるかできないできる
取得後認知症介護基礎研修は不要になります

時間数・費用は実施機関により異なります。最新の情報は各実施機関でご確認ください。

長く続けるつもりなら、初任者研修まで見据えてください

初任者研修を修了すれば、認知症介護基礎研修は不要になります。そして訪問介護にも従事できるようになり、働ける場所が広がります。

順序としては、まず無資格で入職 → 認知症介護基礎研修を受講 → 働きながら初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士という流れが現実的です。資格取得支援のある事業所を選べば、費用の負担も抑えられます。

無資格から始めるとき、どの職場が入りやすいか

職場無資格で働けるか身体的負担特徴
特別養護老人ホーム働ける重い要介護度が高い。基礎から学べる
介護老人保健施設働ける中〜重いリハビリ職と連携
有料老人ホーム働ける施設により入居者の状態に幅がある
デイサービス働ける軽い夜勤なし。無資格から最も入りやすい
グループホーム働ける認知症ケアが中心。研修の内容が直接活きる
訪問介護働けない初任者研修以上の資格が必須

訪問介護だけは、無資格では従事できません。ここが施設介護との決定的な違いです。「まず訪問介護で」と考えている方は、先に初任者研修の取得が必要になります。

スキマかんごでは、介護助手・看護助手を含む1日単位ではたらける単発のお仕事と、掲載施設へ直接応募できる求人をご案内しています。「まず1日だけ現場を見てから、続けるか決める」という始め方ができます。

無資格で入職した最初の3か月|何につまずくか

時期起きることこの時期の考え方
1〜2週目利用者の名前と顔、物の場所、記録の書き方。覚えることの多さに圧倒される誰でもそうなります。まず1日の流れを覚える
3〜4週目移乗・入浴介助に入り始める。身体的にきつい腰の使い方を先輩に見てもらう。力任せにしない
2か月目認知症の方への対応に戸惑う。否定してしまい後悔するここで認知症介護基礎研修の内容が効いてきます
3か月目業務は回るが、判断に迷う場面が増える一人前に動けるまで3か月〜半年は一般的です

2か月目に「向いていないかも」と感じる方が多くなります

認知症のある方から強い言葉を受けたり、同じ質問を繰り返されたりして、うまく対応できずに落ち込むのがこの時期です。

これは能力の問題ではなく、知識がまだない段階だから起きることです。認知症介護基礎研修で学ぶ「なぜその行動が起きるのか」を知るだけで、受け止め方が変わります。研修は義務だから受けるものではなく、実際に現場を楽にするものです。

ただし例外があります。眠れない、食欲がない、出勤前に動悸がする——こうしたサインが出ている場合は「慣れの問題」ではありません。早めに上司や産業医、心療内科に相談してください。

資格のロードマップ|無資格からどこまで進めるか

段階資格・研修要件できるようになること
0無資格施設での介護(訪問介護は不可)
1認知症介護基礎研修義務化への対応。認知症ケアの基礎
2介護職員初任者研修約130時間訪問介護に従事できる。資格手当の対象になることが多い
3実務者研修約450時間(保有資格により短縮)サービス提供責任者になれる。介護福祉士の受験要件
4介護福祉士実務経験3年+実務者研修など国家資格。ケアマネの受験要件につながる
5介護支援専門員(ケアマネ)介護福祉士取得後に5年以上かつ900日以上ケアプランの作成。現場の介助業務から離れられる

時間数・要件は制度改正により変わることがあります。受講・受験の前に実施主体の最新情報をご確認ください。

ケアマネを目指すなら、介護福祉士の取得時期が起点になります

重要な注意点です。ケアマネの受験に必要な実務経験は、介護福祉士を取得した後の期間しか算入されません。無資格や初任者研修の時期に働いた年数は数えられません。

「10年働いたから受験できる」と思っていたら、算入されるのは介護福祉士を取ってからの3年分だけだった——これは実際に起きています。早めに資格を取っておくことが、そのまま将来の選択肢につながります。

資格を取ると給与はどう変わるか

資格資格手当の扱いそのほかの影響
認知症介護基礎研修手当の対象になることは少ない義務化への対応が主目的
介護職員初任者研修手当の対象になることが多い訪問介護の求人に応募できる
実務者研修手当が上がるサービス提供責任者への道
介護福祉士最も大きい処遇改善加算の配分でも評価されやすい

手当の有無・金額は事業所により異なります。求人票または面接でご確認ください。

資格手当は求人票で必ず確認してください

介護福祉士や初任者研修の資格手当は、それぞれ月いくらでしょうか。また、資格取得の支援制度はありますか。ある場合、費用の負担と、取得後の勤務に関する取り決めを教えていただけますか」

資格取得支援には「取得後◯年以内に退職した場合は費用を返還」という取り決めがあることがあります。金額と期間を、就業規則または契約書で必ず確認してください。口頭の説明だけで進めるのは避けてください。

よくある質問

介護職は無資格だと働けなくなったのですか?

いいえ、無資格でも介護職に就職できます。2024年4月に完全義務化されたのは「無資格の職員に認知症介護基礎研修を受講させる」という介護サービス事業者側の義務であり、無資格者の就業を禁止する制度ではありません。新しく入職した方には採用から1年以内という猶予が認められています。

認知症介護基礎研修は誰が対象ですか?

医療・福祉関係の資格を持たない状態で介護現場に入り、利用者の身体介護や生活援助に直接携わる職員が対象です。介護福祉士、介護職員初任者研修、実務者研修などの資格をお持ちの方は対象外とされています。看護師などの医療系資格も同様に扱われます。事務職や調理職など、直接介護に携わらない職種も原則として対象外です。

いつまでに受講すればよいですか?

新しく入職した方は、採用の日から1年以内が目安です。この猶予期間内に受講すれば問題ありません。ただし事業所によって受講の時期の運用は異なるため、入職時に「いつ受講する予定か」を確認してください。すでに在籍している無資格の職員については、経過措置が終了しているため受講の対象になります。

受講しないとどうなりますか?

不利益を受けるのは、原則として職員本人ではなく事業者側です。受講の対象となる職員に受講の配慮をしない事業所は、行政処分の対象になり得るとされています。ただし、事業所が受講の機会を用意しているのに本人が受けない場合は、配置や業務の範囲に影響することがあります。

研修の費用は誰が負担しますか?

事業者が負担する例が多く見られますが、法令で一律に定められているわけではありません。事業所によっては本人負担、または一部補助という運用もあります。金額は実施主体により異なります。面接や入職の前に「費用の負担」「受講は勤務時間として扱われるか」の2点を必ず確認してください。

認知症介護基礎研修と介護職員初任者研修はどちらを取るべきですか?

目的が違います。認知症介護基礎研修は認知症ケアの基礎に絞った短時間の研修で、義務化の対象となるものです。介護職員初任者研修は介護全般の基礎を学ぶ130時間程度の研修で、修了すれば認知症介護基礎研修は不要になります。長く介護職を続けるつもりであれば初任者研修、まず働き始めたいのであれば認知症介護基礎研修から、という順序が現実的です。

認知症介護基礎研修はどこで受けられますか?

都道府県または都道府県が指定した事業者が実施しています。多くの自治体でeラーニングによる受講が可能です。実施時期・申込方法・費用は自治体や実施機関により異なるため、お住まいの都道府県または勤務先の所在地の自治体の公表情報をご確認ください。

無資格から介護職を始めるとき、どの職場が入りやすいですか?

介護施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービスなど)は無資格から始められます。一方、訪問介護は無資格では従事できず、介護職員初任者研修以上の資格が必要です。ここが施設介護との決定的な違いなので、訪問介護を希望する場合は先に資格取得が必要になります。

まとめ|「働けなくなる」ではなく「事業者が受講させる」制度です

  • 無資格でも介護職に就職できます。2024年4月の完全施行で変わったのは、事業者側の義務です
  • 新しく入職した方には、採用から1年以内という猶予があります
  • 介護福祉士・初任者研修・実務者研修・看護師などの資格をお持ちの方は対象外です
  • 受講の配慮をしない事業所は行政処分の対象になり得ます。費用と勤務時間の扱いを面接で確認してください
  • 訪問介護だけは無資格では従事できません。初任者研修以上が必要です
  • ケアマネまで見据えるなら、介護福祉士の取得時期が実務経験の起点になります

制度の名前だけを見ると身構えてしまいますが、認知症介護基礎研修は短時間で、多くの自治体でeラーニングから受けられます。そして内容は、入職2か月目に必ずぶつかる「認知症の方への対応」を助けてくれるものです。

まずは無資格のまま働き始めて構いません。入職時に「研修はいつ受けますか」と一言確認しておけば、それで足ります。

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執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)

WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者

  • 職業紹介責任者講習 修了
  • 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
  • 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
  • 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営

制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。

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