この記事の結論
この記事で分かること
- 准看護師は都道府県知事の免許で、医師・歯科医師・看護師の指示を受けて業務を行います(保助看法第6条)。
- 行為の範囲は条文上、看護師と同じ「療養上の世話又は診療の補助」です。「点滴ができない」といった区分は条文にありません。
- 実務上の差は看護計画の立案、認定・専門看護師、ケアマネジャーの受験資格などに出ます。
- 養成は中学校卒業以上・2年課程。試験は各都道府県知事が実施します。
- 看護師との年収差は約97万円。准看護師の平均年齢は51.8歳で、看護師より9.7歳上です。
- 「正看護師」は通称です。書類には「看護師免許」「准看護師免許」と正式名称で書きます。
「准看護師って、看護師と何が違うの?」
「できないことがあるの?」
「今から取っても意味あるの?」
准看護師の位置づけは、法律にはっきり書かれています。保健師助産師看護師法第6条は、准看護師を「都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者」と定めています。
看護師(第5条)は厚生労働大臣の免許で、指示を受けることは条文に書かれていません。つまり違いは2つ。免許を与える者と、「指示を受けて」行うかどうかです。
そして行為そのものの範囲は、条文上は同じ「療養上の世話又は診療の補助」です。「准看護師にはできない医療行為がある」と説明されることがありますが、正確ではありません。
この記事では、看護師の求人情報サービスを運営する立場から、法律上の位置づけ、できること・できないこと、働ける場所、そして今後の見通しを整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・保健師助産師看護師法 第5条:看護師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者
・同法 第6条:准看護師とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者
・准看護師学校養成所:入学資格は中学校卒業以上、修業年限は2年。修了後、各都道府県知事が行う准看護師試験を受験します
・公益社団法人日本看護協会は、准看護師について「中学校卒業を要件に看護師を補助する資格として発足」「看護を行うには看護師等の指示が必要な資格」「教育内容、時間ともに不足している」と説明し、「准看護師制度が創設された当時から、一貫して准看護師養成の停止に取り組んでいます」としています
・厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」:准看護師の推定年収 427万5,200円/月30万3,200円/年間賞与63万6,800円/平均年齢51.8歳/勤続13.6年。看護師は524万7,200円/平均年齢42.1歳
法令・制度は改正されることがあります。個別の業務の可否や資格の取扱いは、勤務先および都道府県の看護行政担当課にご確認ください。
結論|違いは「免許を出す人」と「指示を受けるかどうか」です
| 看護師(第5条) | 准看護師(第6条) | |
|---|---|---|
| 免許を与える者 | 厚生労働大臣 | 都道府県知事 |
| 業務のしかた | 療養上の世話又は診療の補助を行う | 医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて行う |
| 行為の範囲 | 条文上は同じ「療養上の世話又は診療の補助」 | |
| 試験 | 国家試験(厚生労働省) | 准看護師試験(都道府県知事) |
| 養成の入口 | 高等学校卒業以上が中心 | 中学校卒業以上 |
| 修業年限 | 3年課程など | 2年 |
「准看護師には点滴ができない」といった説明を見かけますが、条文上そのような区分はありません。違いは行為の種類ではなく、指示を受けて行うという業務のしかたにあります。
「できないこと」の正体
それでも実務上、准看護師に任されない業務はあります。理由は法律ではなく、指示関係と制度上の位置づけにあります。
| できないこと | 理由 |
|---|---|
| 自らの判断で看護を行うこと | 条文上、医師・歯科医師・看護師の指示を受けて行う立場です |
| 看護計画の立案 | 指示を出す側の業務とされるため、実務上は看護師が担当します |
| 他の看護師・准看護師への指示 | 指示を出す立場にありません |
| 認定看護師・専門看護師 | 日本看護協会の資格認定制度の対象は看護師です |
| 保健師・助産師への進学 | 看護師免許が前提になります |
| 管理職(看護師長など) | 職場により制限があることがあります |
| ケアマネジャーの受験 | 准看護師は受験資格の対象に含まれていません |
実務上の取扱いは勤務先の方針によっても異なります。個別の業務の可否は勤務先にご確認ください。
ケアマネジャーの受験資格に含まれない点は要注意です
介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験資格となる国家資格等の一覧に、准看護師は含まれていません。看護師は含まれています。介護分野へのキャリアを考えている方には、実務上の差として大きい部分です(ケアマネの受験資格)。
働ける場所
准看護師が働ける場所は、看護師とほぼ同じです。ただし求人の出方には差があります。
| 職場 | 准看護師の求人 |
|---|---|
| 介護施設(特養・老健・グループホームなど) | 多くあります |
| クリニック・診療所 | 多くあります |
| 訪問看護 | 事業所により対象としています |
| 病院(病棟) | あります。ただし施設により配置の方針が異なります |
| 美容クリニック | 採用している施設があります(美容看護師の資格) |
| 大学病院などの大規模病院 | 看護師に限定している施設が多くあります |
求人の募集条件が「看護師」に限定されていることがあります。応募前に、准看護師が対象に含まれているかを必ず確認してください。
介護施設で働く場合の実際は介護施設で働く看護師、デイサービスはデイサービスの看護師をご覧ください。
給与の差は約97万円です
| 看護師 | 准看護師 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 推定年収 | 524万7,200円 | 427万5,200円 | 97万2,000円 |
| 月額 | 36万5,900円 | 30万3,200円 | 6万2,700円 |
| 年間賞与 | 85万6,400円 | 63万6,800円 | 21万9,600円 |
| 平均年齢 | 42.1歳 | 51.8歳 | 准看が9.7歳上 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(企業規模計10人以上)。いずれも所得税等を控除する前の額。
准看護師のほうが平均年齢が約10歳高いのに年収は約97万円低いという関係です。同年代で比べると差はさらに開きます。詳しくは准看護師の給料と年収をご覧ください。
平均年齢51.8歳が示していること
准看護師の平均年齢は51.8歳。看護師(42.1歳)より約10歳高くなっています。これは、新しく准看護師になる人が減っていることを示す数字です。
- 日本看護協会は准看護師養成の停止に一貫して取り組んでいるとしています
- 養成所を停止した地域もあります
- ただし准看護師制度そのものの廃止は決まっていません
- 現に免許をお持ちの方の資格が失われることもありません
制度の今後については准看護師制度は廃止されるのかで詳しく扱っています。
これから准看護師を目指す場合
准看護師学校養成所は、入学資格が中学校卒業以上、修業年限2年です。看護師の3年課程より入口が広く、期間も短くなっています。
- 働きながら通える課程があります
- 准看護師試験は各都道府県知事が実施します
- 取得後、看護師への進学ルートが用意されています
取得の道筋は准看護師になるには、看護師への進学は准看護師から看護師になるにはにまとめています。
「正看護師」という資格はありません
准看護師と対比して「正看護師」という言い方がよく使われますが、法律上の名称は「看護師」です。履歴書や書類には「看護師免許」「准看護師免許」と正式な名称で書いてください(看護師の履歴書の書き方)。
よくある質問
准看護師とは何ですか?
保健師助産師看護師法第6条により、「都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者」と定められています。前条(第5条)に規定することとは、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助です。看護師は厚生労働大臣の免許で、条文に「指示を受けて」という文言はありません。
准看護師にできない医療行為はありますか?
条文上、行為の種類による区分はありません。看護師も准看護師も「療養上の世話又は診療の補助」を行う立場です。違いは行為の範囲ではなく、准看護師は医師・歯科医師・看護師の指示を受けて行うという業務のしかたにあります。ただし実務上は、看護計画の立案や他の看護職への指示は看護師が担当します。
看護師との違いは何ですか?
免許を与える者(厚生労働大臣か都道府県知事か)と、「指示を受けて」行うかどうかの2点が法律上の違いです。加えて、養成の入学資格(高校卒業以上が中心か、中学校卒業以上か)、修業年限、試験の実施主体が異なります。実務上は、認定看護師・専門看護師の対象が看護師であること、ケアマネジャーの受験資格に准看護師が含まれないことなどの差があります。
准看護師はどこで働けますか?
介護施設、クリニック・診療所、訪問看護、病院など、看護師とほぼ同じ場所で働けます。ただし求人の募集条件が「看護師」に限定されていることがあり、とくに大学病院などの大規模病院では看護師に限定している施設が多くあります。応募前に准看護師が対象に含まれているかを確認してください。
給料はどのくらい違いますか?
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」では、准看護師の推定年収は427万5,200円、看護師は524万7,200円で、差は約97万円です。ただし准看護師の平均年齢は51.8歳と看護師(42.1歳)より約10歳高いため、同年代で比べると差はさらに開きます。
准看護師の平均年齢が高いのはなぜですか?
新しく准看護師になる人が減っているためと考えられます。日本看護協会は准看護師制度が創設された当時から一貫して准看護師養成の停止に取り組んでいるとしており、養成所を停止した地域もあります。ただし准看護師制度そのものの廃止は決まっておらず、現に免許を持つ方の資格が失われることもありません。
ケアマネジャーは目指せますか?
介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験資格となる国家資格等の一覧に、准看護師は含まれていません。看護師は含まれています。介護分野へのキャリアを考えている方にとっては、実務上の差として大きい部分です。看護師へ進学すれば対象になります。
「正看護師」という資格はあるのですか?
ありません。准看護師と対比するための通称で、法律上の名称は「看護師」です。履歴書や職務経歴書には「看護師免許」「准看護師免許」と正式な名称で書いてください。
まとめ|違いは「行為」ではなく「指示関係」です
- 准看護師は都道府県知事の免許で、医師・歯科医師・看護師の指示を受けて業務を行います(保助看法第6条)
- 行為の範囲は、条文上は看護師と同じ「療養上の世話又は診療の補助」です
- 実務上の差は看護計画の立案、認定・専門看護師、ケアマネの受験資格などに出ます
- 養成は中学校卒業以上・2年課程。試験は都道府県知事が実施します
- 看護師との年収差は約97万円。平均年齢は准看護師のほうが9.7歳上です
- 「正看護師」は通称。書類には「看護師免許」「准看護師免許」と書きます
准看護師という資格を評価するときは、「何ができないか」ではなく「指示を受ける立場である」という一点から考えると、実務のすべてが説明できます。看護師との違いは准看護師と看護師の違いで詳しく整理しています。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
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