この記事の結論
この記事で分かること
- 違いは4層に分かれます——①法律 ②教育 ③待遇 ④キャリア。どの層の話かで答えが変わります。
- 法律上の違いは「免許を出す人」と「指示を受けるか」の2点だけ。行為の範囲は同じです。
- 年収差は約97万円(看護師524万7,200円/准看護師427万5,200円)。同年代で比べると150万円前後まで開きます。
- 認定看護師・専門看護師・特定行為研修・保健師助産師・ケアマネの受験資格は、いずれも准看護師は対象外です。
- 准看護師免許は全国で使えます。地域の制限はありません。
- 進学の判断は残りの就業年数が10年以上あるかが一つの目安になります。
「正看護師と准看護師、結局どこが違うの?」
「仕事の中身は同じって聞いたけど本当?」
「進学するか迷っている」
違いは法律・教育・待遇・キャリアの4つの層に分かれています。混乱するのは、この4つが混ざって語られるからです。順に分けます。
まず法律。保健師助産師看護師法では、看護師は厚生労働大臣の免許(第5条)、准看護師は都道府県知事の免許で、医師・歯科医師・看護師の指示を受けて業務を行う(第6条)とされています。行為の範囲は条文上どちらも「療養上の世話又は診療の補助」で同じです。
そして待遇。推定年収は看護師524万7,200円、准看護師427万5,200円。差は約97万円です。ただし准看護師の平均年齢は51.8歳と看護師より約10歳高く、同年代で比べると差はもっと開きます。
この記事では、看護師の求人情報サービスを運営する立場から、4つの層それぞれの違いと、進学するかどうかの判断材料を整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・保健師助産師看護師法 第5条:看護師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者
・同法 第6条:准看護師とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者
・准看護師学校養成所:入学資格は中学校卒業以上、修業年限2年。准看護師試験は各都道府県知事が実施
・看護師学校養成所2年課程(准看護師からの進学)(日本看護協会「准看護師のための進学特設サイト」):全日制2年/定時制3年/通信制2年。全日制・定時制の入学資格は准看護師資格(中学校卒業の場合は実務経験3年以上)、通信制は実務経験7年以上(※令和8年4月1日から5年以上)
・厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」:看護師 推定年収524万7,200円/月36万5,900円/年間賞与85万6,400円/平均年齢42.1歳/勤続9.8年。准看護師 推定年収427万5,200円/月30万3,200円/年間賞与63万6,800円/平均年齢51.8歳/勤続13.6年
・日本看護協会の資格認定制度(認定看護師・専門看護師)は、看護師免許を有することが要件です
法令・制度は改正されることがあります。個別の業務の取扱いは勤務先および都道府県の看護行政担当課にご確認ください。
結論|4つの層に分けると整理できます
| 層 | 看護師 | 准看護師 |
|---|---|---|
| ①法律 | 厚生労働大臣の免許 | 都道府県知事の免許/指示を受けて行う |
| ②教育 | 3年課程など(高校卒業以上が中心) | 2年(中学校卒業以上) |
| ③待遇 | 年収524万7,200円 | 年収427万5,200円 |
| ④キャリア | 認定・専門看護師、保健師・助産師への進学、ケアマネ受験 | いずれも対象外 |
「仕事の中身は同じ」というのは①の話としては半分正しく、④の話としては誤りです。どの層の話をしているかで、答えが変わります。
①法律の違い|行為ではなく「指示関係」です
| 看護師(第5条) | 准看護師(第6条) | |
|---|---|---|
| 免許を与える者 | 厚生労働大臣 | 都道府県知事 |
| 条文の書き方 | 療養上の世話又は診療の補助を行う | 医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて前条に規定することを行う |
| 行為の範囲 | 同じです | |
「准看護師には点滴ができない」「採血ができない」という説明は、条文上の根拠がありません。違いは行為の種類ではなく、指示を受けて行う立場かどうかです。
免許の効力に地域の制限はありません
准看護師免許は都道府県知事が与えるものですが、その都道府県でしか働けないという制限はありません。全国どこでも働けます。
②教育の違い|入口と年限
| 看護師 | 准看護師 | |
|---|---|---|
| 入学資格 | 高等学校卒業以上が中心 | 中学校卒業以上 |
| 修業年限 | 3年課程・4年制大学など | 2年 |
| 試験 | 国家試験 | 各都道府県知事が実施する准看護師試験 |
日本看護協会は准看護師について「中学校卒業を要件に看護師を補助する資格として発足」「教育内容、時間ともに不足している」と説明しています。この教育年限の差が、④のキャリアの差につながっています。
③待遇の違い|年収差は約97万円
| 看護師 | 准看護師 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 推定年収 | 524万7,200円 | 427万5,200円 | 97万2,000円 |
| 月額 | 36万5,900円 | 30万3,200円 | 6万2,700円 |
| 年間賞与 | 85万6,400円 | 63万6,800円 | 21万9,600円 |
| 平均年齢 | 42.1歳 | 51.8歳 | 准看が9.7歳上 |
| 勤続年数 | 9.8年 | 13.6年 | 准看が3.8年上 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(企業規模計10人以上)。
この表の読み方
准看護師のほうが平均年齢で9.7歳、勤続で3.8年上回っているのに、年収は約97万円低い。年齢と勤続を揃えれば、差はさらに大きくなります。
看護師の50〜54歳の推定年収は577万7,000円です。准看護師の平均年齢51.8歳と同年代で比べると、差は150万円前後まで開く計算になります(准看護師の給料と年収)。
差の内訳は基本給と賞与です
月額の差6万2,700円を12か月分にすると75万2,400円、これに年間賞与の差21万9,600円が加わって約97万円になります。賞与は基本給を基準に計算されることが多いため、基本給の差が賞与でさらに拡大しています。
④キャリアの違い|ここが最も差が出ます
| 看護師 | 准看護師 | |
|---|---|---|
| 認定看護師 | 目指せます | 対象外 |
| 専門看護師 | 目指せます | 対象外 |
| 特定行為研修 | 受講できます | 対象外 |
| 保健師・助産師 | 進学できます | 看護師免許が前提です |
| ケアマネジャー | 受験資格に含まれます | 含まれません |
| 看護計画の立案 | 担当します | 実務上は看護師が担当します |
| 管理職 | — | 職場により制限があることがあります |
認定看護師も専門看護師も、日本看護協会の要件は「看護師免許を有すること」です。准看護師のままでは対象になりません(認定看護師とは/専門看護師とは)。
ケアマネジャーの受験資格に准看護師が含まれない点も、介護分野を考えている方には大きい差です(ケアマネの受験資格)。
求人の出方の違い
| 職場 | 准看護師の求人 |
|---|---|
| 介護施設・クリニック | 多くあります |
| 訪問看護 | 事業所により対象としています |
| 一般病院 | 施設により方針が異なります |
| 大学病院などの大規模病院 | 看護師に限定している施設が多くあります |
募集条件が「看護師」に限定されている求人があります。応募前に対象を確認してください。企業規模の大きい職場ほど年収が高い傾向があるため(1,000人以上で569万8,700円)、応募できる職場が限られること自体が、年収差の一因になっています(勤務先別の看護師の給料)。
進学するかどうかの判断
准看護師から看護師になるルートは用意されています。
| 課程 | 年限 | 入学資格 |
|---|---|---|
| 全日制 | 2年 | 准看護師資格(中学校卒業の場合は実務経験3年以上) |
| 定時制 | 3年 | 同上(昼間・夜間があります) |
| 通信制 | 2年 | 実務経験7年以上(※令和8年4月1日から5年以上) |
判断の目安は「残りの就業年数」です
| 残りの就業年数 | 年収差97万円で試算 |
|---|---|
| 5年 | 約485万円 |
| 10年 | 約970万円 |
| 15年 | 約1,455万円 |
| 20年 | 約1,940万円 |
年97万2,000円の差を単純に掛けたものです。進学中の収入減、学費、勤続のリセットなどを差し引いて判断してください。
残りの就業年数が10年以上あるなら、年収の面では検討する価値のある差です。詳しい進学ルートは准看護師から看護師になるにはにまとめています。
よくある質問
正看護師と准看護師の違いは何ですか?
法律上は、免許を与える者(厚生労働大臣か都道府県知事か)と、「医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて」行うかどうかの2点です。行為の範囲は条文上どちらも「療養上の世話又は診療の補助」で同じです。加えて教育年限、待遇(年収差約97万円)、キャリア(認定看護師・専門看護師・ケアマネの受験資格)に差があります。なお「正看護師」は通称で、法律上の名称は「看護師」です。
仕事の中身は同じですか?
条文上の行為の範囲は同じですが、業務のしかたが違います。准看護師は医師・歯科医師・看護師の指示を受けて行う立場です。実務上は、看護計画の立案や他の看護職への指示は看護師が担当します。日常の処置やケアの内容は重なる部分が多いのが実際です。
准看護師には点滴や採血ができないのですか?
条文上、行為の種類による区分はありません。「准看護師には点滴ができない」という説明には法律上の根拠がありません。違いは行為の種類ではなく、指示を受けて行う立場かどうかです。ただし勤務先の方針により、実務上の役割分担が定められていることはあります。
年収はどのくらい違いますか?
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」では、看護師524万7,200円、准看護師427万5,200円で差は約97万円です。ただし准看護師の平均年齢は51.8歳と看護師(42.1歳)より9.7歳高く、同年代で比べると差はさらに開きます。看護師の50〜54歳は577万7,000円なので、その場合の差は150万円前後です。
認定看護師や専門看護師は目指せますか?
目指せません。日本看護協会の資格認定制度は看護師免許を有することが要件です。特定行為研修も看護師が対象です。保健師・助産師への進学も看護師免許が前提になります。これらを目指す場合は、まず看護師免許の取得が必要です。
准看護師免許は全国で使えますか?
使えます。免許を与えるのは都道府県知事ですが、その都道府県でしか働けないという制限はありません。全国どこでも働けます。
進学したほうがよいですか?
残りの就業年数で考えてください。年収差97万円で単純に試算すると、10年で約970万円、15年で約1,455万円の差になります。ここから進学中の収入減、学費、勤続のリセットを差し引いて判断します。残りの就業年数が10年以上あるなら、年収の面では検討する価値のある差です。あわせて、認定看護師やケアマネジャーなどキャリアの選択肢が広がる点も考慮してください。
求人の数に違いはありますか?
あります。介護施設やクリニックでは准看護師の求人が多くありますが、大学病院などの大規模病院では看護師に限定している施設が多くなります。企業規模の大きい職場ほど年収が高い傾向があるため(企業規模1,000人以上で569万8,700円)、応募できる職場が限られること自体が年収差の一因になっています。
まとめ|どの層の話かを分けて考えてください
- ①法律:違いは「免許を出す人」と「指示を受けるか」。行為の範囲は同じです
- ②教育:中学校卒業以上・2年(准看)と、高校卒業以上・3年課程など(看護師)
- ③待遇:年収差は約97万円。平均年齢は准看護師のほうが9.7歳上です
- ④キャリア:認定・専門看護師、特定行為研修、保健師・助産師、ケアマネはいずれも対象外
- 准看護師免許は全国で使えます。地域の制限はありません
- 進学の判断は残りの就業年数が10年以上あるかが一つの目安です
「仕事の中身は同じ」という言い方は、日々の業務については概ね正しく、キャリアの選択肢については正しくありません。どちらを重く見るかで判断が変わります。資格そのものの位置づけは准看護師とはをご覧ください。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。
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