この記事の結論
この記事で分かること
- 定義は「特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有すると認められた者」です。
- 要件は看護系大学院修士課程の修了と総計38単位。ここが認定看護師との決定的な違いです。
- 役割は6つ(実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究)。認定看護師の3つより広く設定されています。
- 14分野(がん看護・精神看護・地域看護・老人看護ほか)。認定看護師より括りが大きい分野構成です。
- 実務研修(通算5年以上・うち3年以上は当該分野)と更新(5年ごと)は認定看護師と共通です。
- 医療行為の幅を広げたいなら、特定行為研修のほうが目的に近い選択になります。
「専門看護師と認定看護師、名前が似ていてよく分からない」
「大学院に行かないといけないって本当?」
「どちらを目指すべき?」
いちばん大きな違いから書きます。専門看護師になるには、看護系大学院の修士課程を修了し、所定の38単位を取得する必要があります。認定看護師には大学院の要件はありません。ここが決定的な差です。
役割の数も違います。認定看護師は実践・指導・相談の3つですが、専門看護師は実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つと定められています。「調整」「倫理調整」「研究」が入っているところに、この資格の性格が表れています。
この記事では、看護師の求人情報サービスを運営する立場から、専門看護師の定義と6つの役割、14分野の一覧、認定看護師との違い、そしてどちらを目指すべきかの判断軸を整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・公益社団法人日本看護協会「専門看護師」ページ
定義:「ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することを認められた者」
6つの役割:①「個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)」②「看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)」③「保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)」④「倫理的な問題や葛藤の解決を図る。(倫理調整)」⑤「看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)」⑥「実践の場における研究活動を行う。(研究)」
分野:現在14分野(がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護、遺伝看護、災害看護、放射線看護)
要件:日本国の看護師免許を有すること/看護系大学院修士課程を修了し、総計38単位を取得/実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修/認定審査(書類審査・筆記試験)に合格
更新:5年ごとに更新(書類審査)
・同協会の資格認定制度ページでは、2028年度より「自己研鑽」「研修実績及び研究業績」が変更される予定とされています
・認定看護師:役割は実践・指導・相談の3つ。A課程21分野・B課程19分野。実務研修通算5年以上(うち3年以上は認定看護分野)+認定看護師教育機関の修了+認定審査。更新は5年ごと
制度・分野・審査方法は変更されることがあります。受験を検討される場合は、必ず日本看護協会の最新の公表情報をご確認ください。
結論|違いは「大学院」と「役割の数」です
| 専門看護師 | 認定看護師 | |
|---|---|---|
| 教育 | 看護系大学院修士課程(総計38単位) | 認定看護師教育機関 |
| 役割 | 6つ(実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究) | 3つ(実践・指導・相談) |
| 分野 | 14分野 | A課程21分野/B課程19分野 |
| 認定審査 | 書類審査・筆記試験 | 認定審査 |
| 実務研修 | いずれも通算5年以上(うち3年以上は当該分野) | |
| 更新 | いずれも5年ごと(書類審査) | |
| 特定行為 | — | B課程は特定行為研修を組み込んでいます |
実務研修の年数(5年以上・うち3年以上は当該分野)と、更新の周期(5年ごと)は同じです。違うのは教育の入口と、求められる役割の広さです。
6つの役割が意味すること
専門看護師の役割には、認定看護師にない「調整」「倫理調整」「研究」が含まれています。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 実践 | 個人・家族・集団に対して卓越した看護を実践する |
| 相談 | 看護者を含むケア提供者にコンサルテーションを行う |
| 調整 | 保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う |
| 倫理調整 | 倫理的な問題や葛藤の解決を図る |
| 教育 | 看護者に対しケアを向上させるための教育的役割を果たす |
| 研究 | 実践の場における研究活動を行う |
「倫理調整」は、治療方針をめぐる本人・家族・医療者の葛藤に向き合う役割です。そして「研究」が役割に含まれているため、大学院での教育が要件になっている、という関係が見えてきます。
14分野の一覧
| 分野 | 分野 |
|---|---|
| がん看護 | 精神看護 |
| 地域看護 | 老人看護 |
| 小児看護 | 母性看護 |
| 慢性疾患看護 | 急性・重症患者看護 |
| 感染症看護 | 家族支援 |
| 在宅看護 | 遺伝看護 |
| 災害看護 | 放射線看護 |
出典:日本看護協会「専門看護師」。分野は変更されることがあります。
認定看護師の分野(クリティカルケア、緩和ケア、感染管理、皮膚・排泄ケアなど)と比べると、専門看護師の分野は括りが大きく、対象や領域で分かれています。「家族支援」「遺伝看護」のように、認定看護師にはない切り口の分野もあります。
取得までの流れ
- 看護師免許を取得
- 実務研修を通算5年以上積む(うち3年以上は専門看護分野)
- 看護系大学院の修士課程に進学し、総計38単位を取得して修了
- 認定審査(書類審査・筆記試験)に合格
- 専門看護師として登録
- 5年ごとに更新(書類審査)
大学院の要件が、最大のハードルです
- 修士課程は通常2年。働きながら通える課程もありますが、時間の確保が必要です
- 学費がかかります。国公立と私立で差があります
- 専門看護師教育課程を持つ大学院は限られており、通学圏に該当する分野の課程があるとは限りません
- 実務研修5年以上を満たしてから進学するのが一般的な順序です
教育課程の設置状況・単位数・学費は大学院により異なります。日本看護協会と各大学院の公表情報でご確認ください。
どちらを目指すべきか|3つの判断軸
| 判断軸 | 専門看護師が向く | 認定看護師が向く |
|---|---|---|
| やりたいこと | 組織の仕組みや倫理的な課題に関わりたい | 特定分野の看護技術を深めたい |
| 時間と費用 | 大学院2年分を確保できる | 教育課程の期間で収めたい |
| 特定行為 | — | B課程なら特定行為も併せて学べます |
「医療行為の幅を広げたい」なら別の道もあります
手順書に基づいて一定の医療行為を実施できるようになりたい、という目的であれば、認定看護師のB課程か、特定行為研修を単独で受講する道があります。特定行為研修は保健師助産師看護師法に基づく研修制度で、資格認定制度とは別のものです(特定行為研修とは)。
取る前に確認してほしいこと
- □ 勤務先に資格手当があるか。月額いくらか
- □ 大学院に通う間の勤務の扱い(休職・時短・派遣扱いなど)
- □ 学費の支援があるか。返還の取り決めはあるか
- □ 取得後、その役割で活動する時間が確保されるか
- □ 通学圏に該当分野の教育課程があるか
- □ 更新の要件(5年ごと)を満たし続けられる環境か
資格手当の額は法令で定められていません。取得を決める前に、勤務先の賃金規程を確認してください(看護師が給料を上げる方法)。
よくある質問
専門看護師と認定看護師の違いは何ですか?
最も大きな違いは教育の要件です。専門看護師は看護系大学院の修士課程を修了し総計38単位を取得する必要がありますが、認定看護師には大学院の要件がありません。また役割の数も違い、専門看護師は実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つ、認定看護師は実践・指導・相談の3つです。実務研修(通算5年以上・うち3年以上は当該分野)と更新(5年ごと)は共通です。
専門看護師になるには大学院が必要ですか?
必要です。日本国の看護師免許を有したうえで、看護系大学院修士課程を修了し総計38単位を取得することが要件とされています。加えて実務研修が通算5年以上あり、うち3年以上が専門看護分野の実務研修であること、認定審査(書類審査・筆記試験)に合格することが必要です。
専門看護師は何分野ありますか?
14分野です。がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護、遺伝看護、災害看護、放射線看護があります。認定看護師の分野と比べると括りが大きく、「家族支援」「遺伝看護」のように認定看護師にはない切り口の分野もあります。
「倫理調整」とはどんな役割ですか?
日本看護協会は専門看護師の役割の一つとして「倫理的な問題や葛藤の解決を図る」ことを挙げています。治療方針をめぐる本人・家族・医療者の間の葛藤に向き合う役割にあたります。認定看護師の3つの役割には含まれていない、専門看護師に特徴的な役割です。
働きながら取得できますか?
働きながら通える課程もありますが、修士課程は通常2年で、時間の確保が課題になります。また専門看護師教育課程を持つ大学院は限られており、通学圏に該当分野の課程があるとは限りません。勤務先の支援制度(休職・時短・学費補助)の有無を先に確認してください。
資格に更新はありますか?
5年ごとに更新(書類審査)が必要です。なお日本看護協会の資格認定制度のページでは、2028年度より「自己研鑽」「研修実績及び研究業績」が変更される予定とされています。最新の要件は同協会でご確認ください。
給料は上がりますか?
資格手当の有無と金額は勤務先が決めるもので、法令で定められているわけではありません。大学院の学費と2年間の時間を投じることになるため、取得を決める前に勤務先の賃金規程で手当の項目と金額、学費の支援と返還の取り決めを確認してください。
医療行為の幅を広げたい場合はどちらがよいですか?
手順書に基づく特定行為を実施できるようになりたいのであれば、認定看護師のB課程(特定行為研修を組み込んだ課程)か、特定行為研修を単独で受講する道があります。専門看護師の要件に特定行為研修は含まれていません。目的が「医療行為の幅」であれば、特定行為研修を軸に考えるほうが近道です。
まとめ|大学院に行けるかどうかが、最初の分かれ目です
- 定義は「特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有すると認められた者」
- 要件は看護系大学院修士課程の修了と総計38単位。ここが認定看護師との決定的な違いです
- 役割は6つ(実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究)
- 14分野。認定看護師より括りが大きく、対象や領域で分かれています
- 実務研修(通算5年以上・うち3年以上は当該分野)と更新(5年ごと)は認定看護師と共通です
- 医療行為の幅を広げたいなら、特定行為研修のほうが目的に近い選択です
専門看護師は、看護のなかでも「組織や倫理の課題に関わる」方向の資格です。技術を深めたいのか、仕組みに関わりたいのかで選ぶと、迷いが減ります。認定看護師の詳細は認定看護師とはをご覧ください。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。
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