この記事の結論
この記事で分かること
- 所定内給与額で比べると、看護師33万3,200円 < 一般労働者全体34万600円です(令和7年賃金構造基本統計調査)。
- 「高すぎる」と言われるときに使われる年収524万7,200円には、夜勤・残業分39万円と賞与85万円が含まれています。
- 看護師は一般労働者全体より平均年齢で2.3歳若く、勤続で約3年短い状態でこの水準です。
- 一方、一般労働者の女性平均28万5,900円と比べると4万7,300円高い水準です。比べる相手で結論が変わります。
- 「割に合わない」と感じる部分の多くは、給与ではなく労働条件(記録の時間・研修の扱い)にあります。
- 自分の水準は年齢・勤務先の規模・夜勤回数・賞与・基本給の5点で切り分けてください。
「看護師は給料が高すぎる、って言われるのが納得いかない」
「この仕事量で、この額は割に合わないと思う」
「実際のところ、他の仕事と比べて高いの?低いの?」
数字で答えます。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で、看護師の所定内給与額は33万3,200円。一般労働者全体(男女計)の34万600円を、7,400円下回っています。
「高すぎる」と言われるときに使われているのは、たいてい年収524万7,200円という数字です。しかしこの金額には、夜勤手当や残業代にあたる超過労働給与額(月3万2,700円)と、年間賞与85万6,400円が含まれています。比べる相手も、比べる項目も揃っていないまま話が進んでいる、というのが実情です。
この記事では、看護師の求人情報サービスを運営する立場から、公表統計で他の職種とどう比べるべきか、「高すぎる」と言われる理由、そして「割に合わない」と感じるときに何を変えられるかを整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」。一般労働者の賃金(所定内給与額)は男女計34万600円、男性37万3,400円、女性28万5,900円。平均年齢44.4歳、勤続年数12.7年。男女間賃金格差(男=100)は76.6
・同調査における看護師:所定内給与額 33万3,200円/きまって支給する現金給与額 36万5,900円/年間賞与その他特別給与額 85万6,400円/推定年収 524万7,200円/平均年齢 42.1歳/勤続年数 9.8年
・同調査の定義:概況でいう「賃金」は所定内給与額を指し、超過労働給与額(①時間外勤務手当 ②深夜勤務手当 ③休日出勤手当 ④宿日直手当 ⑤交替手当)を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額
・同調査の女性の賃金カーブ:45〜49歳および55〜59歳の30万5,700円が最も高い
統計は調査年により改定されます。金額は全国平均であり、個別の給与を示すものではありません。職種間の比較は年齢・勤続年数・労働時間などの条件が揃っていない点にご留意ください。
結論|同じ土俵(所定内給与額)で比べると、看護師は平均をやや下回ります
| 比較対象 | 所定内給与額(月) | 看護師との差 |
|---|---|---|
| 看護師 | 33万3,200円 | — |
| 一般労働者 男女計 | 34万600円 | 看護師が7,400円低い |
| 一般労働者 男性 | 37万3,400円 | 看護師が4万200円低い |
| 一般労働者 女性 | 28万5,900円 | 看護師が4万7,300円高い |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」。いずれも所定内給与額(超過労働給与額を除く、所得税等の控除前)。
「高すぎる」も「安すぎる」も、どちらの主張も、比べる相手を選べば作れてしまいます。これがこの議論が終わらない理由です。
看護師のほうが平均年齢は低く、勤続も短い
| 看護師 | 一般労働者全体 | |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 42.1歳 | 44.4歳 |
| 平均勤続年数 | 9.8年 | 12.7年 |
看護師のほうが2.3歳若く、勤続も約3年短い状態で、所定内給与額が7,400円低いという関係です。年齢と勤続を揃えれば、差はもう少し縮まると考えられます。
「高すぎる」と見える理由|年収で比べているからです
看護師の年収524万7,200円は、次の3つを足した金額です。
| 構成 | 金額 | 性質 |
|---|---|---|
| 所定内給与額 ×12 | 399万8,400円 | 他職種と比べられる部分 |
| 超過労働給与額 ×12 | 39万2,400円 | 夜勤・残業・休日出勤の対価 |
| 年間賞与 | 85万6,400円 | 賞与のない業界も多くあります |
つまり「高い」と言われている部分の中身は、夜勤と賞与です。夜勤は深夜に働くことへの対価であり、賞与は制度がある職場とない職場で差が出るものです。
時給に直すと見え方が変わります
夜勤手当は、深夜に働いたことへの割増です。労働基準法では、22時から5時までの深夜労働に25%以上の割増賃金が定められています。この割増分を「給料が高い」と表現するのは、正確な比較とは言えません。
また看護師は交替制勤務のため、生活リズムが固定されません。同じ月収でも、日勤のみの仕事と同列には置きにくい面があります。
「割に合わない」と感じるのは、何と比べているのか
「看護師 給料 割に合わない」という検索も月350件ほどあります。この感覚には、はっきりした根拠があります。
| 負担の内容 | 給与に反映されているか |
|---|---|
| 人の生命に関わる責任 | 手当として明示されることはほぼありません |
| 生活リズムが崩れる交替制 | 深夜割増と夜勤手当で一部が対価になっています |
| 記録の時間 | 時間外として扱われているかは職場により差があります |
| 感染や針刺しのリスク | 手当としては明示されにくい部分です |
| 患者・家族への対応 | 同上 |
| 継続的な学習 | 研修が勤務時間扱いかは職場によります |
「割に合わない」と感じる部分の多くは、給与ではなく労働条件の側にあります。とくに記録の時間と研修の扱いは、職場によって差が大きいところです。ここは転職で変えられます。
年齢と勤務先で、看護師の中でも大きく違います
| 条件 | 推定年収 |
|---|---|
| 20〜24歳 | 440万1,400円 |
| 50〜54歳(ピーク) | 577万7,000円 |
| 企業規模 10〜99人 | 469万8,200円 |
| 企業規模 1,000人以上 | 569万8,700円 |
同じ「看護師」でも、条件によって100万円以上変わります。「看護師の給料」という一括りの議論に、あまり意味はありません。詳しくは年代別と勤務先別をご覧ください。
「給料が安い」と感じたときに確認すること
感情ではなく、確認できる項目で切り分けてください。
- □ 自分の年齢階級の平均と比べてどうか(20代なら440万〜501万円が目安)
- □ 勤務先の規模はどこか(10〜99人なら469万円台が目安)
- □ 夜勤は月何回入っているか(平均の超過労働給与額は月3万2,700円)
- □ 賞与は年何か月分か(平均は年85万6,400円)
- □ 基本給はいくらか(手当込みの月給と混同していないか)
- □ 記録の時間は時間外として支払われているか
この6項目で説明がつかない差があるなら、そこが動かせる余地です。上げ方は看護師が給料を上げる方法にまとめています。
他の医療・介護職と比べると
| 推定年収 | 平均年齢 | |
|---|---|---|
| 看護師 | 524万7,200円 | 42.1歳 |
| 准看護師 | 427万5,200円 | 51.8歳 |
准看護師との差は約97万円です(准看護師の給料と年収)。介護職との比較は介護士の給料はいくら?、介護職の給与水準の背景は介護職の給料が安い理由で扱っています。
よくある質問
看護師の給料は本当に高すぎるのですか?
比べる項目によります。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で所定内給与額を見ると、看護師は33万3,200円で、一般労働者全体(男女計)の34万600円を7,400円下回っています。年収524万7,200円という数字には、夜勤手当や残業代にあたる超過労働給与額(月3万2,700円)と年間賞与85万6,400円が含まれています。「高い」と言われるときは、この年収で比較されていることがほとんどです。
他の職種と比べると、どのくらいの水準ですか?
所定内給与額で比べると、一般労働者の男性平均37万3,400円より4万200円低く、女性平均28万5,900円より4万7,300円高い水準です。また看護師の平均年齢42.1歳・勤続9.8年に対し、一般労働者全体は44.4歳・12.7年で、看護師のほうが年齢も勤続も下回っています。
夜勤手当を含めて比較するのは不公平ではありませんか?
比較の目的によります。手取り額の話であれば含めるのが実態に合いますが、職種間の賃金水準を比べるのであれば、超過労働給与額を除いた所定内給与額で見るのが揃った比較になります。労働基準法では22時から5時までの深夜労働に25%以上の割増賃金が定められており、夜勤手当はその対価にあたる部分を含みます。
「割に合わない」と感じるのは自分だけでしょうか?
同様の検索は月350件ほどあります。生命に関わる責任、感染リスク、患者・家族への対応といった負担は、手当として明示されにくい部分です。ただし記録の時間が時間外として支払われているか、研修が勤務時間扱いかは職場により差が大きく、ここは転職で変えられる部分です。
自分の給料が安いのか判断する方法はありますか?
年齢階級別の平均、勤務先の企業規模別の平均、夜勤回数、賞与の支給月数、基本給の額の5点で切り分けてください。20〜24歳なら440万1,400円、企業規模10〜99人なら469万8,200円が目安です。これらで説明がつかない差があるなら、勤務先の給与体系そのものが低い可能性があります。
看護師の給料は今後上がりますか?
将来の見通しを断定することはできません。統計上は一般労働者全体の賃金が令和6年に前年比3.8%、令和7年に3.1%上昇しています。看護師の賃金は診療報酬をはじめとする制度の影響を受けるため、個々の職場の状況によって差が出ます。個人として動かせるのは、勤務先の規模、夜勤の回数、役職や資格の3つです。
女性の平均より高いなら、恵まれているということですか?
一面ではそう言えますが、その比較には注意が必要です。一般労働者の男女間賃金格差は男を100として76.6であり、女性の平均そのものが男性を大きく下回っています。低い基準と比べて高いことが、労働の対価として適切かどうかは別の問題です。所定内給与額で男女計と比べると、看護師は7,400円下回っています。
給料を理由に転職するのは印象が悪いですか?
面接では、条件をそのまま並べるのではなく「経験や役割が評価される環境で長く働きたい」といった形で伝えるのが無難です。ただし譲れない条件は、書類の段階や面接で率直に伝えたほうが、入職後のずれが減ります。伝え方は看護師の志望動機と面接の記事にまとめています。
まとめ|項目を揃えれば、議論はだいたい終わります
- 所定内給与額では、看護師33万3,200円 < 一般労働者34万600円です
- 年収524万円には夜勤・残業分39万円と賞与85万円が含まれています
- 「高すぎる」と言われるとき、比べられているのはこの年収です
- 看護師は一般労働者全体より平均年齢で2.3歳若く、勤続で約3年短いです
- 「割に合わない」の中身は、給与より労働条件にあることが多いです
- 自分の水準は年齢・規模・夜勤回数・賞与・基本給の5点で切り分けてください
他人の評価に納得がいかないときほど、同じ項目で比べた数字を1つ持っておくと落ち着きます。この記事の数字はすべて厚生労働省の公表資料から取っています。全体像は看護師の給料・年収はいくら?をご覧ください。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。
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