この記事の結論
この記事で分かること
- 「初任者研修+実務経験3年」の経過措置は平成31年3月31日で終了しています。古い情報が最も多い分野です。
- 現行のルートは介護福祉士、または介護福祉士実務者研修の修了の2つです。
- 介護職員基礎研修課程・訪問介護員養成研修1級課程は旧課程で、新たに取得できません。
- 実務者研修に実務経験の要件はありません。保有資格により2〜6か月で修了できます。
- 基準では「専ら指定訪問介護に従事するもの」とされており、兼務には制限があります。
- 公的統計に「サービス提供責任者」の給与区分はありません。手当の額は面接で確認してください。
「初任者研修と実務経験3年でサ責になれるんじゃないの?」
「実務者研修を取れば、すぐサ責になれる?」
「サ責になったら給料はいくら上がるの?」
最初に、いちばん誤解の多い点を訂正させてください。「介護職員初任者研修+実務経験3年」でサービス提供責任者になれるという取扱いは、すでに終わっています。
この取扱いは経過措置として設けられていたもので、平成31年(2019年)3月31日をもって終了しました。いまサ責を目指すなら、介護福祉士か、介護福祉士実務者研修の修了のいずれかが必要です。
この記事では、介護の求人情報サービスを運営する立場から、現行の資格要件、実務者研修から目指す道筋、給与の水準、そして「サ責になると給料が上がるのか」という問いへの答えを整理します。
この記事で参照した公開情報(2026年8月27日確認)
・指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第5条第4項:サービス提供責任者は「介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者であって、専ら指定訪問介護に従事するもの」
・「厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者」(平成24年3月13日 厚生労働省告示第118号):第一号 社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項第2号の指定を受けた学校又は養成施設において1月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を習得した者/第二号 介護職員基礎研修課程又は1級課程を修了した者/第三号 障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの基準第5条第2項に規定するサービス提供責任者
・同告示の附則(平成30年3月22日):改正前の第三号に該当していた者は「平成31年3月31日までの間は、引き続き当該サービス提供責任者の業務に従事することができる」
・厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(月給・常勤の者、令和6年9月):介護職員の平均給与額 338,200円/平均基本給等 253,810円。「サービス提供責任者」は独立した職種区分としては公表されていません
資格要件の運用は指定権者(都道府県・市町村)により細部が異なる場合があります。ご自身が要件を満たすかどうかは、必ず勤務予定地の指定権者または勤務先にご確認ください。
結論|現行の要件は「介護福祉士」または「実務者研修修了」です
| 資格・研修 | サ責になれるか | 備考 |
|---|---|---|
| 介護福祉士 | なれます | 基準の条文に明記されています |
| 介護福祉士実務者研修 修了 | なれます | 告示第一号に該当します |
| 介護職員基礎研修課程 修了 | なれます | 旧課程。現在は実施されていません |
| 訪問介護員養成研修 1級課程 修了 | なれます | 旧課程。現在は実施されていません |
| 初任者研修+実務経験3年 | なれません | 経過措置は平成31年3月31日で終了 |
| 訪問介護員養成研修 2級課程 | なれません | 旧課程 |
| 無資格 | なれません | — |
これから目指す方が現実的に選べるのは、実務者研修か介護福祉士の2つだけです。介護職員基礎研修と1級課程はすでに実施されていないため、いま新たに取得することはできません。
「初任者研修+3年」が使えなくなった経緯
| 時期 | 扱い |
|---|---|
| 〜平成30年度 | 経過措置として、該当者はサ責の業務に従事できました |
| 平成31年(2019年)3月31日 | 経過措置の終了日 |
| 平成31年4月〜 | 新たにこの要件でサ責になることはできません |
なお、この経過措置期間中は、初任者研修修了者がサ責として作成した訪問介護計画に基づく支援について、報酬上の減算が設けられていた時期があります。制度の変遷が複雑なため、古い情報が残っている記事が多い分野です。
いまでも「初任者研修+3年でサ責になれる」と書いている記事は、更新されていない情報です。応募先で「うちは初任者研修でも大丈夫」と言われた場合は、指定権者に確認することをおすすめします。
実務者研修ルートが最短です
| 実務者研修 | 介護福祉士 | |
|---|---|---|
| 要件 | 受講のみ(実務経験は不要) | 実務経験3年+実務者研修+国家試験など |
| 期間 | 保有資格により2〜6か月 | 年単位 |
| 試験 | 国家試験はありません | 国家試験があります |
| サ責になれるか | なれます | なれます |
実務者研修には実務経験の要件がありません。受講して修了すれば、サ責の資格要件を満たします。期間は保有資格によって変わり、初任者研修を修了している方は短縮されます。
詳しくは実務者研修の最短期間|保有資格別2〜6ヶ月、費用の抑え方は実務者研修を無料で取る5つの方法と実務者研修の給付金をご覧ください。スクールの選び方は実務者研修はどこがいい?にまとめています。
介護福祉士まで取るなら、順番は変わりません
介護福祉士の受験には実務者研修の修了が必要です。つまり実務者研修は、サ責への近道であると同時に、介護福祉士への通り道でもあります。どちらを目指す場合も、まず実務者研修という順番になります(介護の資格は何から取る?)。
「専ら指定訪問介護に従事するもの」という条件
見落とされやすい要件です。基準の条文にはこう書かれています。
サービス提供責任者は「介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者であって、専ら指定訪問介護に従事するものをもって充てなければならない」(指定居宅サービス等基準 第5条第4項)
資格を持っているだけでは足りず、その事業所の訪問介護に専従していることが必要です。他事業所との掛け持ちや、他サービスとの兼務には制限がかかります。運用は指定権者により異なるため、事前の確認が要ります。
給料|公表統計に「サービス提供責任者」の区分はありません
ここは正直に書きます。厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査には、「サービス提供責任者」という独立した職種区分がありません。介護職員の区分に含まれる形で集計されています。
| 職種 | 平均給与額 | 平均基本給等 |
|---|---|---|
| 介護職員 | 338,200円 | 253,810円 |
| 生活相談員・支援相談員 | 353,950円 | 277,800円 |
| 介護支援専門員 | 375,410円 | 290,340円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(月給・常勤の者、令和6年9月)。サービス提供責任者は独立区分として公表されていないため、この表には掲載していません。
「サ責の平均年収は◯◯万円」と具体的な数字を挙げている記事は、出典を確認してください。民間の求人データや独自調査に基づくものが多く、公的統計の裏づけがあるとは限りません。
では、いくら上がるのか
公的統計がない以上、確かなことは「事業所ごとの手当次第」です。実際に確認できるのは次の項目です。
- □ サービス提供責任者手当はあるか。月額いくらか
- □ 資格手当(介護福祉士・実務者研修)は別に付くか
- □ 基本給の等級はヘルパーと分かれているか
- □ 処遇改善加算の配分はどうなっているか
- □ 訪問した分の手当・移動時間の扱い
- □ オンコール・緊急対応の手当
「サービス提供責任者手当は月額いくらでしょうか。また、訪問介護員として訪問した分の手当は別に支給されますか。移動時間はどのように扱われていますか」
訪問した分がどう扱われるかが、意外に大きい
サ責は訪問にも出ます。その訪問が「サ責の月給に含まれる」のか「訪問分として別に支給される」のかで、月の総額は変わります。移動時間の扱いも合わせて確認してください。
サ責になる前に考えておきたいこと
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| 利用者数とサ責の人数 | 負担はこの比でほぼ決まります |
| 登録ヘルパーの人数 | 少ないと穴埋めが常態化します |
| 手当が業務量に見合うか | 数千円の手当で調整業務を丸ごと担う例もあります |
| 記録・計画作成のソフトの有無 | 紙運用だと残業が増えます |
| 管理者との兼務の有無 | 兼務だと責任範囲が一気に広がります |
仕事の中身と配置基準はサービス提供責任者とはにまとめています。訪問介護そのものの実情は訪問介護への転職はきつい?をご覧ください。
よくある質問
サービス提供責任者になるには何の資格が必要ですか?
介護福祉士、または介護福祉士実務者研修の修了が現行の主なルートです。指定居宅サービス等基準では「介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者」とされ、厚生労働省告示第118号で、介護福祉士養成施設等で1月以上必要な知識・技能を習得した者(実務者研修修了者が該当します)、介護職員基礎研修課程または1級課程の修了者が挙げられています。後者2つは旧課程で、現在は新たに取得できません。
初任者研修と実務経験3年ではなれませんか?
なれません。この取扱いは経過措置として設けられていたもので、厚生労働省告示第118号の附則により平成31年(2019年)3月31日をもって終了しています。いまでも「初任者研修+3年でなれる」と書いている記事は更新されていない情報です。応募先でそう説明された場合は、指定権者に確認することをおすすめします。
実務者研修を修了すればすぐサ責になれますか?
資格要件は満たします。実務者研修には実務経験の要件がないため、受講して修了すれば要件を満たせます。ただし基準では「専ら指定訪問介護に従事するもの」とされており、その事業所の訪問介護に専従していることが必要です。また実際に任命されるかどうかは事業所の判断になります。
実務者研修はどのくらいの期間がかかりますか?
保有資格によって変わり、おおむね2〜6か月です。初任者研修を修了している方は履修時間が短縮されます。国家試験はなく、課程を修了すれば要件を満たします。費用の負担を抑える制度もあるため、給付金や事業所の支援制度もあわせて確認してください。
サ責になると給料はいくら上がりますか?
厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査には「サービス提供責任者」という独立した職種区分がなく、公的統計としての平均額は公表されていません。実際の増加額は事業所ごとのサービス提供責任者手当と資格手当によります。面接では手当の月額に加えて、訪問介護員として訪問した分が別に支給されるか、移動時間がどう扱われるかも確認してください。
看護師でもサービス提供責任者になれますか?
介護保険の訪問介護のサービス提供責任者については、基準と告示に挙げられているのは介護福祉士、介護福祉士養成施設等で1月以上必要な知識・技能を習得した者、介護職員基礎研修課程・1級課程修了者です。障害福祉サービスの居宅介護など、制度が異なるサービスでは要件も異なります。個別の判断は指定権者にご確認ください。
他のサービスと兼務できますか?
基準では「専ら指定訪問介護に従事するもの」とされているため、制限があります。運用は指定権者により異なるため、兼務を前提とする働き方を考えている場合は、事前に確認してください。管理者との兼務については認められている場合もありますが、責任範囲が大きく広がります。
介護福祉士と実務者研修、どちらを目指すべきですか?
サ責になることだけが目的なら実務者研修で足ります。ただし介護福祉士の受験には実務者研修の修了が必要なので、まず実務者研修という順番は変わりません。介護福祉士まで取れば、資格手当や配置基準・加算上の扱いで有利になる場面が増えます。長く介護職を続けるのであれば、実務者研修を経て介護福祉士へ進む流れが標準的です。
まとめ|古い情報が最も多い分野です
- 「初任者研修+実務3年」の経過措置は平成31年3月31日で終了しています
- 現行のルートは介護福祉士、または実務者研修の修了の2つ
- 介護職員基礎研修・1級課程は旧課程で、新たに取得できません
- 実務者研修に実務経験の要件はありません。2〜6か月で修了できます
- 「専ら指定訪問介護に従事する」ことも要件です
- 公的統計にサ責の給与区分はありません。手当の額は面接で確認してください
この分野は制度の変遷が複雑で、検索して出てくる情報が古いままになっていることが特に多い領域です。要件に迷ったら、勤務予定地の指定権者に確認するのが確実です。仕事の中身はサービス提供責任者とはをご覧ください。
執筆・監修:江波戸 純希(えばと よしき)
WEBBOX合同会社 代表社員/スキマかんご 編集責任者
- 職業紹介責任者講習 修了
- 有料職業紹介事業の許可を受けた株式会社GRADに在籍
- 看護師専門の人材紹介サービス「ナースJJ」で、看護師の転職支援を担当
- 現在は募集情報等提供事業として、看護・介護の求人情報サービス「スキマかんご」を運営
制度・報酬・求人条件は、厚生労働省をはじめとする行政および各サービスの公開情報を確認したうえで記載しています。制度は改定される場合があるため、最新の内容は各公式サイトでもご確認ください。
※スキマかんごは募集情報等提供事業です。求人者・求職者間の雇用のあっせん(職業紹介)は行いません。応募は掲載施設へ直接お届けしています。
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